FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安を懸念した売り優勢

寄り付きから300円を超える下落となり、その後も下げ幅を拡大した。先週末の米長期金利が1.7%台上昇したほか、NYダウが大幅安となったことが嫌気されたことに加えて、日銀の政策変更を受けて、ファーストリテイリングなど指数寄与度の大きい銘柄に対する売り圧力が強まった。また、ルネサスエレクトロニクスの工場火災による半導体不足懸念で、完成車メーカーや自動車部品の関連株が下落したことも重荷になった。結局、前営業日比617円安の2万9174円で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いに上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、108.96円付近まで値を上げた。しかし、19日の海外市場でつけた高値109.05円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利の低下や日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いに押され、108.75円付近へ軟化した。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、108.80円前後で取引された。今週う予定されているパウエル米FRB議長の議会証言や米国債入札を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.1895ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国では離脱の経済への影響が懸念:ポンドの上値を圧迫

英国がEU離脱に伴う英本土と英領北アイルランド間の食品などの物流への規制導入を一方的に10月まで先送りしたことに対し、EUは国際条約『離脱協定』に違反するとして法的措置に着手した。EUは英政府に措置開始を通知する書簡を送付し、1カ月以内の回答を求めている。EUは協議による事態打開を模索しているが、EU司法裁判所が英国に今後制裁金を科す可能性もある。英国が昨年末にEUを完全離脱し、英・EU間の貿易にさまざまな規制が課されるようになったことが打撃となり、英国の1月EU向け輸出は前月比で40.5%減少した。EUからの輸入も28.9%減少し、徐々に離脱の経済への影響が懸念され、ポンドの上値を圧迫する可能性がある。

 

トルコ中銀総裁の突然の更迭

アーバル前総裁は、悪化するばかりのインフレを抑制するために金融引き締めを進め、合計8.75%の政策金利引き上げを実施してきた。金融市場はアーバル氏の物価鎮静に向けた断固たる態度を好感していた。しかしながら、エルドアン大統領は金利高に不満を持ち続け、先週18日の金融政策決定会合で市場予想を上回る利上げが決定されたことで、ついに堪忍袋の緒が切れた。一部メディアによれば、カブジュオール新総裁は 『中銀は高金利政策を進めるべきではない』という趣旨の論文を発表したとされている。また、エルドアン大統領と同じ考えである『利上げはインフレをもたらす』との意見も主張していた。今のところ、新総裁の下での次回会合は予定通り4月15日に開催されるが、緩和にむけた地ならしが行われることは充分に考えられる。

 

南アでは今週の経済指標に注意:インフレ指標結果次第では利下げも

南アでは今週、小売売上高などの経済指標が発表されたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)前だったこともあり、ZARの反応が限られた。南アの国内情勢を全く無視した値動きが続いたが、今週はようやく南ア発の要因でZARが動く可能性がある。経済指標では24日に3月消費者物価指数(CPI)、25日に3月生産者物価指数(PPI)が発表される。25日には南ア準備銀行(SARB)が金融政策委員会(MPC)を開く。SARBは3.5%で金利を据え置くと予想されるが、CPIやPPIが弱い結果となった場合には利下げ期待が出てくる可能性もある。また、国営電力会社エスコムが長期に渡り電力の負荷制限を行うことになっただけでなく、デ・ルイター最高経営責任者(CEO)に対する人種差別発言の調査が入るなど、エスコム関連ではネガティブな要素が多く、懸念材料となる。

 

メキシコでは電力産業改正法案を巡る懸念続く

メキシコ国内で何かと物議を呼んでいる電力産業法改正法案である。国営の連邦電力委員会(CFE)が発電した電力を優先して採用するほか、民間企業とすでに結んでいる売買契約の条件を修正できるなど、CFEが電力セクターで有利になるような事項が多数含まれていることから、民間の電力部門参入を妨げるほか、国民の負担増にもつながるとして、経済界からは批判が相次いでいた。にも拘わらず、ロペスオブラドール政権は強硬的に議会で可決にもっていき、3月9日に公布された。ただ、16日に2人の裁判官が11社の民間企業からの差し止め要求を受け入れて、電力産業法改正法が憲法に反するとの見解を示した。これを受けて大統領は17日の定例記者会見で『このまま違憲であると言い続けるのであれば、憲法改正も視野に入れている』と半ば脅しの発言をした。大統領の国営会社を強引に復興する行為が新たな火種を生んでいることは確かである。

 

米国ではSLRを今月末に終了すると発表

連邦準備理事会(FRB)はパンデミックにより混乱した金融市場への対応として昨年4月から実施していた大手銀に対する『補完的レバレッジ比率(SLR)』の条件緩和措置を今月末に終了すると発表した。銀行を優遇しているとする民主党からの圧力を受けた対応との見方もあるが、銀行の基盤が十分に強いという見方が背景となる。ただ、金融安定化のため『適切な措置を講じる』とし、規制の内容を今後修正する可能性も残した。

 

米国市場では2月中古住宅販売件数

1月実績は669万戸で市場予想を上回った。住宅ローン金利は低水準で推移していること、雇用情勢の改善などが影響しているとみられる。2月については、中古住宅価格の中央値は上昇していることや、住宅在庫は低水準にとどまっていることから、販売件数は1月実勢を下回る可能性が高いと予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ失業率
○17:30   2月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.0%)
○18:00   1月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○21:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○22:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○22:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○23:00   2月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.8%/年率換算650万件)
○23:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23日00:15   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23日00:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○23日02:30   クオールズFRB副議長、講演
○南アフリカ(人権の日の振替休日)、休場

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