FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米長期金利の上昇を嫌気した売り優勢

米国株の下落を受けて、寄り付きから300円を超える下落した。しばらくは寄り付き近辺での一進一退が続いたが、徐々に売りに勢いがついた。ハイテク株や値がさ株が軒並み大幅安となったほか、景気敏感株にも売りが広がったことで、リスク回避ムードが強まった。4日の米FRB議長の講演での米国債金利の上昇に対する発言への警戒感や、米金利上昇の持続警戒、日本企業の3月末を前にした年度末決算対策などで、大幅な下落が続いた。市場では(市場のボラティリティをもとに株の組み入れ比率を機械的に決める)リスクパリティ戦略を採る投資信託による売りも相場下落を加速させたとの指摘があった。結局、前営業日比628円安の2万8930円と反落して終了した。2月第4週の海外投資家(外国人)は2週連続の3811億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:日米金利差拡大でドル/円は底堅い展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、106.95円付近へ下落した。東京市場では久しぶりに107円台へ乗せたことで、本邦輸出勢のドル売り・円買いも観測された。しかし、米長期金利が節目の1.50%近くまで上昇し、日米金利差拡大が意識されていることから下値を追う動きは限られた。その後は、新型コロナウイルスワクチンの普及で、米景気が早期に回復するとの期待からドル買いも見られ、107.10円付近へじり高となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、107.05円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.20ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では1月ユーロ圏小売売上高が公表

12月実績は、前月比+2.0%で市場予想を上回った。衣料や靴の販売が11月に減少した反動で増加した。オンラインの販売は減少した。国別ではフランス、ベルギーが増加し、ドイツは減少した。1月は衣料の売り上げは減少するが、12月に減少した製品の一部は反動増が予想されることから、全体的には小幅な増加となる可能性がある。

 

トルコのインフレ加速を確認:予想を上回るCPI

注目された2月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比+15.61%と予想を上回る結果になった。同時に発表された2月生産者物価指数(PPI、前年比)も27%台まで上昇した。インフレ加速が確認され、トルコ中銀が早期の追加利上げに踏み切るとの観測が強まった。ただ、これ以上の物価上昇はトルコ経済回復の足かせとなるとの警戒感もある。今回のインフレデータを受けてトルコ中銀は再び、必要ならば追加の引き締めに動くとの姿勢を示した。しかしながら、次回の金融政策決定会合は2週間後ということもあり、市場の反応は鈍いままである。

 

武装組織が米議会攻撃の計画している可能性

米連邦議会警察は、特定の武装組織が4日に議会攻撃を計画している可能性があるとの情報を得たと明らかにし、警備態勢を強化したと発表した。具体的な組織や計画の詳細は明らかにしていないが、トランプ前大統領の支持者による1月の議会襲撃では警備の不備が指摘されたことから、早期に警告する狙いがあると見られる。

 

本日より米上院で経済対策案の審議を開始予定

先週末の米下院では、バイデン米政権の1兆9000億ドル規模の経済対策案が承認され、上院では特別失業保険給付などの措置が失効する3月14日までの成立を目指して、本日から審議を開始することが予定されている。民主党指導部は、上院で争点になるとみられる連邦最低賃金引き上げを対策法案に盛り込む計画を撤回することで、『バード・ルール』による審議の難航を回避する目論見、と報じられており、本日も、上院での審議状況や関連ヘッドラインに要警戒となる。

 

5日の2月雇用統計:増加予想も冴えない結果になる可能性も

2月の雇用統計のエコノミストの平均予想では、失業率は6.3%と1月と同水準を維持、非農業部門雇用者数は20万人増と、1月の4.9万人増から伸びが拡大する公算となっている。雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示す2月ADP雇用統計は前月比+11.7万人と12月に減少したのち1月+19.5万人に続き増加したが、伸びは鈍化した。米国経済の7割を消費が占めるため重要視されるISM非製造業指数2月分の雇用も、12月に50を割り込んだのち、50を上回る水準を2カ月連続で保ったものの、ペースは鈍化した。また、パンデミックで、最も労働市場の現況を反映するとして注目される週次失業保険申請件数の減少も期待通り進んでいない。新型コロナウイルスがなかなか収束せず、逆に変異種の拡大で一部の州が規制を再び強化させたことが響いた。2月の雇用統計で雇用のプラスは保たれるものの冴えない伸びに留まる可能性がある。

◆市場エコノミスト予想失業率:6.3%(1月6.3%)非農業部門雇用者数:前月比+19.8万人(+4.9万人)民間部門雇用者数:前月比+20万人(+0.6万人)平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+5.3%(+0.2%、+5.4%) 

 

欧米市場イベント

○17:10   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○18:30   2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:51.0)
○19:00   1月ユーロ圏失業率(予想:8.3%)
○19:00   1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲1.4%/前年比▲1.2%)
○21:30   2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   10-12月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲1.9%)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲4.7%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:75.0万件/430.0万人)
○24:00   1月米製造業新規受注(予想:前月比2.1%)
○5日02:05   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国の閣僚会合(テレビ会議)

 

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