FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:材料出尽くしによる利益確定売り優勢

前日の米国株高を好感し、朝方は上昇してスタートしてが、その後は利益確定売りが先行しマイナス圏でもみ合う展開となった。バイデン氏の米大統領就任式を控え、様子見姿勢が強まっているとの見方も出ている。イエレン氏の財政拡大に前向きな発言を先取りして日本株は上昇していただけに、本日は材料出尽くし感から様子見ムードが広がった。そのため、短期的なポジション調整主体の方向感のない展開となった。結局、前営業日比110円安の2万8523円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く103.70円近辺でもみ合い相場

ドル/円は、日経平均のさえない動きを眺めたドル売り・円買いに押され、103.75円付近へ下落した。独経済指標の改善やイタリア政局不安の後退を手掛かりとしたユーロ/ドルのユーロ高・ドル安が波した面もあった。午後は、日経平均はアジア主要株価を睨みながら、103.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。日本時間21日午前2時に予定されているバイデン氏の米大統領就任式を前に、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.2145ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

本日は南アで12月消費者物価指数(CPI)が公表:金融政策に影響

南アの12月消費者物価指数(CPI)の結果が注目される。本日のCPIは前年比で3.1%が市場の平均予想となっている。南アフリカ準備銀行(SARB)のCPIターゲットが3-6%となっていることで、辛うじて目標にとどまることになる。もし、3%を下回った場合は、21日予定されている金融政策委員会(MPC)での利下げ予測が一挙に高まり、ランド/円が売られる可能性が高い。また逆に3.3%程度まで上昇していた場合は、仮に0.25%の利下げを行うと、政策金利が3.25%になることで実質マイナス金利になる。SARBはこれを避けることが予想され、当面の利下げ論が大幅に後退することになる。

 

トルコでは不動産バブルの様相:金融引き締め強化継続出来るか注目

昨日、11月トルコ住宅価格指数が発表され、前年比では+29.97%と統計が始まった2011年以来では最高の伸び率を記録した。昨年は11月まで前年比+5%前後で推移していたが、今年になり価格上昇が顕著となっている。ここ半年以上は前年比+20%以上の上昇率が続き、不動産バブルの様相を見せている。住宅価格が高騰している要因の1つは高い建設費とされ、また主要都市では土地不足なども原因のようである。くわえて、中東を中心とした外国からの不動産投資(投機)も価格に反映されているとも言われている。インフレ対策に取り組むトルコ中銀としては不動産バブルを避けたいところである。ただ、エルドアン大統領が再び高金利に懸念を示し始めたため、更なる金融引き締めの強化に踏み切るのは難しくなる可能性もある。しばらく中銀は過去2会合の大幅利上げの効果を見守るだけになるかもしれない。

 

メキシコが米新政権との関係構築していくのか注目

国内ではロペスオブラドール大統領がトランプ米政権との間で表面化した移民問題に関して、バイデン次期大統領に移民改革を実行するよう希望すると言及した。一方、メキシコが麻薬取引関与の疑いがあったシエンフエゴス前国防相の捜査を打ち切ると発表したことに対し、米司法省は『深く失望』と表明した。米国はメキシコ側の要請で訴追を見送った後、同国での捜査のためシエンフエゴス氏を本国に送還した経緯があり、今回の措置に対して不満をあらわにした。これらの問題を解決し、米新政権とどのように関係を構築していくのか今後も注意しておく必要がある。

 

石油需要の回復は今年後半との見方

国際エネルギー機関(IEA)は19日、石油需要の回復について、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け、今年後半になるとの見方を示した。月報で『ワクチン接種が幅広く実施されるまで、国境閉鎖、ソーシャルディスタンス措置、経済閉鎖が今後も燃料需要を抑制する』と指摘した。その上で、ワクチン接種の本格化は年後半になるとの認識を示した。世界的な石油需要の回復は12月に逆転したとして、第1・四半期の需要見通しを日量58万バレル、2021年年間では日量30万バレルそれぞれ引き下げた。

 

新政権人事ではウォール街へ厳しくなる見込み

バイデン次期米大統領の政権移行チームは、バイデン氏が米証券取引委員会(SEC)委員長にゲイリー・ゲンスラー氏、米消費者金融保護局(CFPB)局長に米連邦取引委員会(FTC)委員のロヒト・チョプラ氏を指名すると明らかにした。この人事は、新政権のウォール街への姿勢が大方の予想よりも厳しいものとなることを意味し、ウォール街は今後4年、逆風にさらされる見込みだ。プログレッシブ(進歩派)は気候変動と社会正義に関する政策課題の推進においてSECとCFPBを重要視している。ウォール街寄りの共和党員らは、今回の人選を左派への迎合と批判し、争いの元となると警告する。

 

次期寒長官候補のイエレン氏の指名承認公聴会での発言

次期財務長官候補のイエレン氏は上院指名承認公聴会で債務の拡大は好まないが積極的な追加経済対策が必要だとの考えを示した。追加支援の有効性はコストを上回ると主張した。さらに、歴史的に低金利の中、積極的な行動は賢明だと、大規模な財政策の実施を擁護した。また、今は増税よりも、国民の食卓に食料を供給することが最優先課題だとして、パンデミックが終息するまで、増税の実施を先送りする意向であることを明らかにし投資家の安心感につながった。ドル政策を巡り、輸出競争での優位性を狙うドル安を求めないとの言及。ただ、『ドル高は国益に叶う』といったような断固としたドル高政策は特に公約しなかった。イエレン氏はハト派との評判が高く、ドル安の流れが簡単に修正される可能性は少ないと予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比0.5%)
○16:00   12月英CPIコア指数(予想:前年比1.3%)
○16:00   12月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比1.2%)
○16:00   12月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数)
○16:00   12月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.3%)
○17:00   12月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.1%)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比▲0.3%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.2%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   12月カナダCPI(予想:前月比横ばい/前年比1.0%)
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○24:00   1月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:86)
○21日02:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21日03:00   米財務省、20年債入札
○21日06:00~   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%で据え置き)
○米大統領就任式

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