FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:個別物色の動きが活発化で底堅い展開

前日米国株式市場では、ナスダックが最高値で取引を終了したものの、日経平均は国内での新型コロナウイルス感染拡大や為替の円高基調が重石となり、軟調な展開となった。しかし、その後は前日終値近辺での一進一退の値動きとなった。日経平均はこう着感が強いものの、個別物色の動きが活発化しており、全体が崩れる雰囲気ではなかった。午後にNHKが都内で新たに800人余りが新型コロナウイルスに感染していることを確認したと報じたものの、材料視されず影響は軽微だった。結局、前営業日比49円高の2万6806円と続伸して終了した。12月第2週の海外投資家が6週連続で2557憶円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:総じてドルの上値の重い展開

ドル/円は、米国の低金利政策が長期化するとの思惑からドル売り・円買いが優勢となり、103.30円付近まで下落した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及した面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、103.25円付近まで値を下げた。ただ、11月6日につけた103.18円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.30円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。東京都の新型コロナウイルス専門会議は、都内の医療提供体制に関する4段階の警戒レベルを最も深刻なレベル『ひっ迫している』に引き上げたものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、前日発表されたユーロ圏指標の上振れや新型コロナウイルスのワクチン普及で、欧州景気の回復を期待したユーロ買い・ドル売りが強まり、一時1.2235ドル付近まで上昇し、およそ2年8ヵ月ぶりの高値を付けた。

 

欧州市場では英中央銀行MPCが金融政策発表

前回開催の金融政策委員会(MPC)の会合では、政策金利の据え置きと量的緩和策の規模拡大(1500億ポンドの増額)が決定された。今回は金融政策の現状維持が予想されるが、通商面での合意がないまま、英国は欧州連合(EU)から離脱する可能性があることから、量的緩和策のさらなる拡大を視野に入れた議論が行われる。

 

南アの不安要因はウイルス感染状況の悪化:ランドの重石

南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は9月の金融政策委員会(MPC)から緩和サイクルを停止した。直近のインフレ指標も物価動向の落ち着きを示していたことで、次回会合でも政策金利の据え置きが見込まれている。主要先進国と南アの金利差が意識され、ランド買い意欲は弱まり難い。ただ、上値を積極的に買い進められない要因の1つは、南アの新型コロナウイルス感染状況が悪化していることだと考えらる。感染第2波に襲われた同国は、ラマポーザ大統領が『第2波は第1波より深刻になりかねない』とし、感染抑制のための制限策の延長や強化を発表した。南アはクリスマスと新年を前に夏の休暇シーズンを迎えおり、制限策がどの程度まで効果があるか、見極めが難しいところである。

 

トルコ金融市場への信頼度回復も米国との関係悪化がリラの足かせ

アーバル中銀総裁は昨日、インフレ対策が最優先事項だと述べ、物価低下の道筋がつくまでは金融引き締め策を維持し、データ次第では政策金利の更なる引き上げにも含みを持たせた。11月に14%台まで上昇した消費者物価指数(CPI、前年同月比)は、来年同時期には10%台まで低下を予想している。また、ほとんど効果がなかった為替相場へのリラ買い介入も控え、外貨準備高の拡大に努めるとも述べた。アーバル中銀総裁は就任以降、積極的な利上げに踏み切り、市場オペレーションも簡素化し、金融政策の透明性を高めてきた。これにより投資家のトルコ金融市場への信頼度は上昇しており、リラの底堅さに繋がっています。 一方で、トルコの露製地対空ミサイルS400購入・配備を巡り、同国と米国との対立激化はリラの重しとなっている。昨日もエルドアン・トルコ大統領が『米による制裁はトルコの主権に対する明らかな敵対行動だ』と発言し、北大西洋条約機構(NATO)同盟国としての関係にも疑問を呈した。トルコがNATOを脱退するようなことはないと思われるが、米国との軍事協力関係が薄まれば、地政学リスクの高まりに繋がる可能性も残る。

 

予想されたほどハト派ではなかった米FOMC

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置き、ゼロ金利政策を2023年末まで継続し、月額の債券購入額を1200億ドルで据え置き、購入期間は『今後数カ月にわたって』から、雇用とインフレに『一段と顕著な進展』が見られるようになるまでに変更された。市場で予想されていた債券購入の構成やペースは変更されず、平均残存期間の延長には動かなかったことで、予想されたほどハト派ではなかったとの見方であった。

 

米国ではコロナ危機が低所得層を直撃している構図

米国の感染爆発は日本や韓国の比ではない。全米レストラン協会の調査によれば、米飲食店のうち既に17%にあたる11万店以上が完全閉店か長期閉鎖に追い込まれたとされる。こうした飲食店オーナーのうち5割強は飲食業からの完全撤退を検討、飲食ビジネスの急縮小が飲食店の雇用の減少を促し米11月雇用者数は1019万人と7ヶ月ぶり再悪化、危機前2月に比べ18%低い水準である。何より、12月末に米政府コロナ公的支援が相次ぎ失効し米経済は『財政の崖』に直面する。従業員500人以下の中小企業対象の雇用維持策は利用期限が12月末で切れる。失効すれば失職者、つまり失業者が再び増えかねない。NY州レストラン協会の11月調査によれば、54%の半数以上が『連邦政府による追加支援がなければ今後6ヶ月で廃業する可能性が高い』と答えている。レジャー・接客業の平均給与は週857ドルと全産業平均1029ドルを大きく下回り、コロナ危機が低所得層を直撃している構図が浮き彫りとなった。

 

欧米市場イベント

○16:45   12月仏企業景況感指数(予想:81)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○17:30   11月スウェーデン失業率(予想:8.4%)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比▲0.3%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.2%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   MPC議事要旨
○22:30   12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○22:30   11月米住宅着工件数(予想:153.0万件、前月比0.3%)
○22:30   11月米建設許可件数(予想:155.0万件、前月比1.0%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:80.0万件/559.8万人)
○18日01:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18日02:30   デギンドスECB副総裁、講演
○18日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○欧州連合(EU)財務相理事会

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