FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルス感染拡大と様子見ムード強く売り優勢

国内で新型コロナウイルス感染拡大が収まらないことが懸念されているほか、週末とあって見送りムードが強く、安値圏でもみ合いとなった。ただ、投資家の買い意欲は強く、巣ごもり関連といったテーマ性のある銘柄が人気化するなど、個別物色の動きが活発化した。結局、前日比103円安の2万6652円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いで104.00円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、米雇用時計関連指標の低調な数字や米長期金利の低下を眺めたドル売り・円買いに押され、104円台半ばから104円台前半へ水準を切り下げた。本日の東京市場でもこの流れが続き、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれると、103.93円付近まで下落した。日経平均の下げ幅が一時200円を超えたこともリスク回避の円買いを誘った。ただ、7日につけた103.91円が下値目処として意識され下げ止まった。午後は、週末を控えた持高調整などのドル買い・円売りが入り、104.05円付近へ値を切り返した。しかし、英国とEUの通商交渉や米追加経済の行方を見極めたいとの雰囲気から上値を追う動きは限られ、104.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台半ばで方向感に欠ける展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英首相は緊急時への備えを加速させる姿勢をアピール

ジョンソン英首相は10日、難航している欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉がまとまらず、協定の年末発効という目標を達成できない『可能性は高い』と述べた。交渉が失敗に終われば、英EU間の物流などが年明け以降に混乱する事態が予想されるため、ジョンソン氏は閣議で準備を指示した。ジョンソン氏はEUのフォンデアライエン欧州委員長との9日の会談で、漁業などの主要な懸案で大きな溝が残っていることを確認した。交渉官レベルで妥協点を模索しながら、交渉を続けるか否かを13日までに判断することで一致した。しかし、欧州委員会は英国と妥結に至らない場合を想定した対応策を10日発表した。ジョンソン氏はこれを受け、緊急時への備えを加速させる姿勢をアピールした。

 

南アではウイルス感染『第2波』と認定:今後の経済的な影響に注意

南ア国内では水曜に6709人のウイルス新規感染者を記録したことで、昨日南ア保健相が緊急テレビ放送で『第2波』と正式に認定した(木曜は1日だけで8166人感染)。保健相は特に15歳から19歳までの感染者数の増加が深刻で、想像以上に拡大しているとしている。日本や米国でも感染者数が過去最大となっているが、為替市場はその影響を受けていない。ランドもこの感染拡大で売られるかは定かではないが、今後の経済的な影響を含め注意する必要がある。

 

EUの制裁によってはとトルコの亀裂深まる:トルコリラの重石

欧州連合(EU)首脳会議で、東地中海のエネルギー資源探査にかかわるトルコの個人や組織への制裁が決定される可能性が高い。加えて、一部通信社が米政府高官の話として『トルコがミサイルシステムをロシアから購入したことを巡り、米国が対トルコ制裁の準備を進めている』と報じている。EUによる制裁は、対トルコ強硬派(仏、ギリシャやキプロス)を穏健派でありEU議長国ドイツがどの程度なだめることができるかがポイントである。EU首脳会議声明の草案では、制裁対象が広げられたとされている。ただ、内容が如何様であれトルコの態度は変わらないと思われ、互いの動向次第ではEUとトルコの亀裂が簡単には修復できないくらい深まってしまう危険がある。

 

ワクチンの効果がでるまでは景気減速を予想:エコノミスト調査

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施した12月のエコノミスト調査によると、承認が見込まれる新型コロナウイルス予防ワクチンによる効果が出るであろう20214-6月期(第2四半期)まで、景気がさらに減速すると予想されていることが分かった。調査によると、複数のエコノミストが、ワクチンが広く行き渡るまでには時間を要することから、来年1-3月も感染者数が高止まるとの見方を示した。
来年1-3月の成長率の平均予想は年率換算で1.9%と、前回11月調査の3.3%から切り下がった。月当たりの新規雇用者数の伸びは295000人にとどまると見込まれており、前回予想のおよそ44万人増から下方修正となった。ただ、エコノミストの多くは、ワクチンの普及で4-6月には景気が大きく回復すると予想した。回答者の62.5%が、4-6月の成長率(年率換算)が0.5ポイント余り押し上げられるとの見通しを示した。

 

米国市場では12月ミシガン大学消費者信頼感指数

11月確定値は76.9だった。また、コンファレンス・ボード(CB)発表の11月消費者信頼感指数は96.1で10月から低下している。米国株式は強い動きを見せているが、大統領選挙後における政治不安やウイルス感染が増えていることから、12月の数値は11月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   英中銀、半期金融安定報告
○16:00   11月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.8%/前年比▲0.3%)
○16:00   10月トルコ経常収支(予想:0.6億ドルの赤字)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○21:00   10月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.1%)
○21:00   10月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.9%)
○22:30   7-9月期カナダ設備稼働率(予想:77.5%)
○22:30   11月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.8%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
○24:00   12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:76.5)
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○12日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比▲3.6%)
○12日01:10   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
○12日02:40   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
〇英・EU、自由貿易協定(FTA)交渉(13日まで)

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