FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短期間での急騰から警戒感の売りが重石

朝方の買いが一巡した後は、こう着状態となった。市場では、新型コロナワクチン開発の期待が現実味を帯びたことでムードは一段と良くなったものの、あまりにも短期間で急騰しただけに警戒感も生じた。また、NYダウ先物が軟調な動きとなったことを受けて上げ幅を縮小する展開となった。結局、前営業日比65円高の2万4905円と6連騰して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下で利益確定とポジション調整売り

ドル/円は、9日の欧米市場で103円台半ばから105.64円付近まで、2円を超す急上昇となった。米長期金利が3ヵ月以来の高水準に上昇したことで、日米金利差拡大を意識したドル買い・円売りが上昇要因となった。NYダウ先物がマイナスで推移したほか、米長期金利も低下したことで日米金利差拡大が見込めないことから、利益確定売りやポジション調整等のドル売りに押され、104円台後半での小動きが続いた。ユーロ/ドルは、予定されている欧州経済指標や欧州連合(EU)・英国間交渉の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、1.18ドル台前半でこう着状態が続いた。

 

金のETFへ11ヵ月連続資金流入超

世界の金上場投資信託(ETF)が価値の裏付けとして保有する金現物の残高は10月に20.3トン増加し、金額にして14億ドルの資金が流入した。資金流入の継続は11ヵ月連続となった。一方で、金価格がほぼ横ばいで推移し、相場の動意が乏しかったことを背景に流入ペースが鈍化した。10月の流入は量・金額ともに年初来で最低水準となった。金の国際調査期間であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)がまとめた。地域別にみると、流入の大半は欧州で20.2トンの流入超となった。北米も流入超となったものの、流入量は1.8トンにとどまり2019年12月以来の小ささとなった。アジアは1.1トンの流入超、その他地域では2.8トンの流入超となった。ETFが保有する金現物の残高の累計は3899トンとなり、10ヵ月連続で過去最大を更新した。

 

人事変更によってトルコリラ買い優勢に

トルコリラ安を容認する発言をしていたエルドアン・トルコ大統領の娘婿であるアルバイラク財務相が8日に辞意を表明し、後任には副首相などを務めたエルバン氏に決まった。政策変更の兆候だとの観測が浮上したため、9日の外国為替市場では朝方からリラが買われた。その後、中央銀行のアーバル新総裁が『物価安定のため、あらゆる手段を用いる』と表明しことも、市場は同氏が早期の利上げを示唆したと受け止め、リラ買いが進んだ。

 

メキシコ市場ではインフレ指標が公表:今後の金融政策の参考

今週はメキシコ国内では重要な経済イベントがある。まず本日9日に最新のインフレ指標の結果がある。ここ数カ月は続けて中銀のインフレ目標を上回っており、約1年間続いた利下げサイクルに終止符が打たれるとの期待感があるため、非常に注目である。そして、日本時間の13日明け方にはメキシコ中銀による政策金利発表がある。インフレだけを見れば、利下げ観測は後退しているが、国内景気低迷、そして先日にはロペスオブラドール大統領をはじめ、国際通貨基金(IMF)も利下げ支持の姿勢を示したことで内外からの圧力もあり、中銀は難しいかじ取りを迫られる。

 

米製薬大手ファイザーが暫定評価でワクチン有効性90%以上

米製薬大手ファイザーは9日、開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンが感染を防ぐ有効性が90%以上に上ったとする暫定的な臨床試験の結果を 公表した。安全性の深刻な懸念も見られないとし、今月中にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するとしている。日本政府は同社からこのワクチンを6,000万人分供給を受けることで基本合意している。米国などで実施している最終段階の臨床試験の結果を中間評価した。FDAは、被験者の一定規模を接種完了から2カ月、経過観察するよう求めており、ファイザーは15日から21日までに必要なデータがそろうとしている。同社は年内に5,000万回分、来年は13億回分を製造できるとしている。2回接種が必要という。

 

11月26日の米感謝祭に向けた調整を注視

米国株は10月30日以降、『良いところ取り』の形で大幅高となり、世界株高も誘発されている。しかし、大統領選や議会選の結果やワクチン開発などに対する織り込みも進捗しつつあり、26日の米感謝祭休場にかけては調整下落のリスクに注意を要する。調整株安の材料としては、ヘッジ売りや先物売りなどの買い戻し一巡のほか、大統領選結果の最終確定の遅延、米新政権での組閣人事などでのリベラル左派勢力(反ウォール街勢力など)配慮、追加経済対策の大幅遅延、米欧などでのコロナ感染増継続と経済打撃の本格化、ワクチン開発進展の一旦の織り込みや普及遅延・副作用発覚などの失望、米ネジレ議会のマイナス要因脚光、などが注視される。

 

米大統領選結果の遅延につながる可能性

米共和上院トップのマコネル院内総務は9日、トランプ大統領には米大統領選の『不正』を調べる権利が完全にあるとの見方を示した。上院で、民主党のバイデン候補の勝利を認めないと表明した。『トランプ大統領には大統領選の不正を調べ、法的な手続きを検討する権利が100%ある』と述べた。こうした中、身内の共和党からは同日、コリンズ上院議員とサッシー上院議員がバイデン氏に祝意を表明した。コリンズ氏は次期政権への移行が重要と訴えた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移5万件/失業率なし)
○16:00   7-9月英失業率(ILO方式、予想:4.8%)
○16:00   10月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○16:00   8月トルコ失業率
○16:45   9月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.7%)
○19:00   11月独ZEW景況感指数(予想:41.7)
○19:00   11月ユーロ圏ZEW景況感指数
○23:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○24:00   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○11日02:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○11日03:00   米財務省、10年債入札
○11日04:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言

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