FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好決算銘柄がけん引して下げ幅縮小

前日米国株安を受けて下落して始まり一時200円を超える下げとなったが、売り一巡後は下げ渋る展開となった。市場では、予想を上回る好決算銘柄が目立っており、これらが株価を下支えする要因になっている。また、大きく下げたマザーズ市場で、追証が一巡したとみられることも、市場を落ち着かせる要因となった。結局、前日比8円安の2万3485円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:104.70円付近で小動きの展開

ドル/円は、日経平均株価の続落やアジア株安をながめたドル売り・円買いに押され104.70円付近まで下落した。米追加経済対策を巡る与野党の協議が引き続き難航していることも、ドルの重石となった。米上院は連邦最高裁判事に保守派のエイミー・バレット高裁判事を充てる人事案を採決し、賛成多数で招致したものの、市場の反応は限定的だった。午後に入っても、ドル/円の軟調地合いは続き、104.68円付近まで値を下げた。しかし、前日につけた104.66円が下値の目処として意識されると下げ一服、104.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。今週予定されている日銀金融政策決定会合やECB理事会を前に、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に下落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.1835ドル付近へじり高となった。

 

欧州のソーシャルボンドの発行がユーロ下支え

欧州では前週、EUがコロナ復興支援の財源として、初のソーシャルボンド(社会貢献債)を発行し、2330億ユーロ(約29兆円)という記録的な注文を集めた。為替相場では『非欧州の投資家からの需要が、ユーロ高の一因となった』という解説も見られている。EUは前週の起債により、『緊急時失業リスク緩和支援(SURE)』プログラムの下で計画しているソーシャルボンド1000億ユーロ発行のほぼ5分の1を達成した。引き続き発行余地が残されており、今後も潜在的なユーロの押し目買い材料として注視される。

 

トルコと欧米関係悪化が泥沼化

エルドアン・トルコ大統領は25日、米国が(ナゴルノ・カラバフ紛争でトルコが支援する)アゼルバイジャンに、対トルコ制裁について言及したことを明らかにした。怒りにまかせたままエルドアン大統領は『制裁するなら直ぐにしろ』と米国を挑発した。これまでも、露製地対空ミサイルを巡り米トルコ間の緊張は高まっていたが、エルドアン大統領の開き直りとも言える発言は状況悪化に拍車を掛けかねない。市場では、米国による対トルコ制裁がより厳しい措置になるとの見方もでている。
さらに、エルドアン大統領は、マクロン仏大統領のイスラム教に対する考え方に対して『仏の指導者はメンタルチェックが必要』と仏にとっては侮辱的な発言をした。当然ながら仏政府は猛反発し、駐トルコ大使の召還を決定した。くわえて、エルドアン大統領はイスラム諸国で広まる仏製品ボイコットに歩調を合わせ、トルコも不買運動に参加すべきとの考えも示した。トルコ仏の溝はこれまで以上に広まり、簡単には埋められない状態である。エルドアン大統領の米国やフランスに対する強気な態度が改められるとは思えず、関係悪化が泥沼化しかねない様相では、まだ暫くはリラの買い難さが続く。

 

南アランドの安定はトルコほどリスクが少ないため

南アにとってポジティブなのは、地政学上でトルコのように多国間との争いが少なく、政治的なリスクも少ないことがあげられる。経済政策では行き詰っているが、幸いにラマポーザ政権がある程度安定していることは、ランドが大きく売られずに済んでいる大きな要因となっている。ただし、南ア経済的が行き詰っていることや、欧米の新型コロナウィルス感染第2波、米大統領選挙など、リスク回避になりやすくランドが売られる要素も多くある。

 

メキシコ大統領自身がペソ売り材料となるリスク

国内での新型コロナウイルスの感染拡大は依然として懸念材料ではあるものの、ここまで通貨ペソが底堅い理由には1年間続いている利下げサイクルの終焉を期待する声が目立つことである。直近に発表された隔週CPIは前年比で+4.09%と中銀目標の上限4.00%を超えてきている状況であり、中銀が『インフレリスクを考慮すると利下げ余地はわずか』との認識であるならば、次回会合での利下げ終了宣言もあり得る。
一方で、ロペスオブラドール大統領は先週末の定例記者会見でメキシコ中銀に利下げ圧力とも捉えられる発言をした。大統領は国内の金利はなお高いことを指摘し、『融資を促して経済を立て直すためには中央銀行がさらに金利を引き下げる必要がある』と述べた。新型コロナウイルスの現状把握についても、大統領と保健省・州知事では全く見解がかみ合わず、大統領は経済回復のために規制措置は取らない姿勢を貫いている。今回の金利見通しについても、大統領と中銀とでは見解の相違が生まれる可能性が出てきており、大統領自身がペソ売り材料となるリスクを残している。

 

価格の上昇が影響し米9月新築住宅販売件数は8月から減少

米国の新築住宅件数は、住宅市場全体に占める割合は小さいが契約時点での統計となるため先行指標として注目される。米商務省が発表した9月新築住宅販売件数は14年ぶりの高水準となった8月から3.5%減の95.9万戸と予想102.5万戸に満たなかった。価格の上昇が影響した。需要の急増や材料費の高騰で、中間価格は前年から3.5%増の32.68万ドルとなった。住宅市場の需要が供給に追い付いていない状況があらためて証明された。売却にかかる期間は3.6カ月で、統計が開始された1963年来で最短となった8月の3.4カ月からは拡大したが依然低い水準である。歴史的にも低い住宅ローン金利と郊外物件の需要拡大が居住住宅投資を押し上げており、7-9月期国内総生産(GDP)の成長に貢献したと見られている。

 

先行き経済対策から米国債金利の先行観は強い

金融市場で米財政への関心が強まっている。米大統領選では両候補が強力な経済対策を訴えており、2021年の財政赤字は一段と膨らむ公算が大きい。米国債金利は先週大きく上昇し、先高観も根強い。米10年物国債は23日に0.87%まで上昇した。26日は株安を受けて、やや低下したが約4カ月ぶりの高水準にある。背景にあるのは11月3日の大統領選を前に今後米財政が拡張されるとの見方が主要因となっている。

 

欧米市場イベント

○16:45   9月仏卸売物価指数(PPI)
○18:00   9月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比9.6%)
○21:00   9月メキシコ貿易収支(予想:40.00億ドルの黒字)
○21:30   9月米耐久財受注額(予想:前月比0.5%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○22:00   8月米住宅価格指数(予想:前月比0.7%)
○22:00   8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.2%)
○23:00   10月米消費者信頼感指数(予想:102.0)
○23:00   10月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:18)
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、2年債入札
〇英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による協議(ロンドン、28日まで)

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