FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日米国株安を受けやや売り優勢

前日の米国株式市場は追加の新型コロナウイルス経済対策を巡る不透明感で主要3指数が下落し、日本株市場も朝方から軟調な展開となった。ただ、NYダウ先物が堅調に推移したことから、日経平均も一時プラス転換する場面もあった。しかし、再び下げ幅を拡大し幅広い業種で売りが先行した。市場では、米国の追加経済対策を巡る協議や月末にかけて企業決算を控えてる中、投資家の様子見姿勢が強まっているとの見方も出ている。結局、前営業日比104円安の2万3567円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い展開が継続

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、105.61円付近まで値を上げた。日経平均株価がマイナス圏から一時プラス圏へ転じ、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。しかし、米追加経済対策を巡る与野党協議の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後、中国人民元が元高・ドル安に設定されると、持ち高調整などのドル売り・円買いに105.50円付近は押し戻された。午後は、日経平均株価と上海総合株価指数の動向をにらみながら、105.55円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.17ドル台後半で方向性を欠く展開となった。

 

2020年通期の中国GDP見通しを引き下げ

ゴールドマン・サックスは最新リポートで、中国の実質国内総生産(GDP)成長率見通しについて、2020年通期を2%、20年10-12月期を5.2%に引き下げた。9月の鉱工業生産と小売売上高がともに市場予想を上回った半面、7-9月期GDPが予想を下回ったことはサプライズだったと指摘。7-9月期GDP成長率は4-6月期の3.2%から4.9%に加速したものの、市場予想の5.2%に届かなかった。『AAストックス』が19日伝えた。ただ、7-9月の経済指標から、製造業・サービス業ともに4-6月期に比べ回復が続いていることがうかがえるほか、失業率が小幅に低下し、雇用市場も改善がみられたと指摘した。

 

南アは経済対策の財源捻出に苦心

先週15日にラマポーザ南ア大統領が経済対策を発表した。これに対して野党・民主同盟(DA)は、大統領の経済対策を批判している。28日に公表が延期された南ア中期予算の方針だが、新型コロナ対策の特別給付金支給を3カ月間延長するための財源捻出に苦心している。約60億ランドが必要とされるなか、ムボウェニ南ア財務相は『歳出規模を拡大するのではなく、歳出の優先順位を見直す』とし、『それにより他の政府プログラムから財源を補う』と述べた。ムボウェニ財務相の手腕が問われる。 

 

22日のトルコ中銀の利上げを織り込む展開

トルコ中銀が22日に2会合連続の利上げに踏み切ることを市場は織り込み始め、一部では引き上げ幅が前回2%を超えるという予測も出てきたことにも後押しされてリラ買い戻しが進んだ。トルコ中銀は前回9月の会合で2年ぶりの利上げを実施し、その後もスワップ金利を引き上げるなど裏口的な利上げを継続した。しかしながら先週までリラ売りの勢いは緩まず、対円や対ドルで最安値を更新し続けた。市場ではリラ下落に歯止めをかけるため更なる利上げが必要であるという思惑が高まっており、そういったなか、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスの予測・3%の利上げも伝わってきた。
低金利を望むエルドアン大統領の圧力をウイサル・トルコ中銀総裁がかわせるか疑問が残るが、大幅利上げの可能性が無視できない中では下値が限られる。

 

米大統領選は郵便投票急増で波乱含み

来月3日の米大統領選まで20日で残り2週間である。新型コロナウイルスの感染拡大で開票に時間がかかる郵便投票が急増し、接戦となれば勝者確定が数日から数週間後になる可能性が現実味を帯びてきた。米メディアには、開票当初予想される共和党『優勢』の機を捉え、トランプ大統領が早々と勝利宣言するのではという警戒も広がっている。米フロリダ大の調査によると、郵便などで既に投票を済ませた人は18日現在約2800万人で、前回大統領選の全投票者の約2割に上る。郵便投票は民主党支持者の割合が多い。一方の共和党は通常の対面投票を呼び掛けているため当初は優勢に見えるが、郵便票の集計が進むにつれて民主党が増えていくと想定される。調査会社ホークフィッシュは『トランプ氏のリードは数日後には、しんきろうだったことが分かる』と指摘する。同社のモデルでは、開票日に57対43でトランプ氏有利に出ても、最終的に民主党候補のバイデン前副大統領が全国得票で8ポイント上回る。

 

米国債金利の動向が焦点:金利上昇によって他市場への影響も

今週の為替相場では、米国債金利の動向が焦点になる。前週は欧州などでの感染再増加や米追加経済対策の遅れ、コロナ・ワクチン開発の一部難航などで、米国の株安場面があったが、その中でも安全逃避で買われやすい米国債への資金シフトは限定的となっている(金利は下げ渋りで下限切り上がり)。米10年債金利の下限切り上がりについては、前週の米消費関連指標の底堅さのほか、FRBによる金融緩和長期化の織り込み一服と早期の追加緩和観測の後退、米大統領選でのバイデン民主党候補の優勢拡大と、議会選での民主党『上下院』制圧予測によるネジレ解消観測、それに伴うインフラ投資などの財政出動の円滑な出動の見通し(財政赤字は拡大)などが材料になっている。

 

米ハイテク関連は材料出尽くしなどを警戒

今週の米国株市場では前週以降、米国企業による7-9月期の決算発表が本格化している。前週までは強弱混在となっているが、今週からは4月以降の米株高を牽引してきたITハイテク関連企業の決算発表が増加していく。すでにコロナ特需などによる収益改善の織り込みは進んでおり、一旦の好材料出尽くしや期待ハードルの高さに対しての失望リスクなどが警戒される。すでに米ハイテク業界では13日にアップルによる5G対応iPhoneといった新製品の発表が一段落となっており、短期的な好材料の消化が警戒されやすい。

 

米国市場では9月住宅着工件数が公表

8月実績は141.6万戸で、7月実績を下回った。9月については雇用情勢が改善していることや、8月に減少した反動が予想されることから、8月実績をやや上回る可能性がある。市場予想の145万戸は妥当な水準である。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○17:00   8月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:30   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:50   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   9月米住宅着工件数(予想:145.7万件、前月比2.9%)
        建設許可件数(予想:152.0万件、前月比3.0%)
○23:50   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○21日01:00   9月ロシア失業率(予想:6.4%)
○21日02:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○21日04:00   ブレイナードFRB理事、講演
○21日06:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

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