FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:デジタル化加速期待からIT関連株中心に買い戻し

トランプ米大統領が米国の追加経済対策について、11月の米大統領選後まで協議を打ち切るとコメントしたことで、米国株相場の急を連れて日本株市場も小幅安の展開となった。その後は、国内でのデジタル化加速への期待の高まりでIT関連株中心に買い戻しが入り徐々に下げ幅を縮小した。また、トランプ米大統領の中小・零細企業などへの新たな支援策に関するツイートも買い材料となった。しかし、市場では、ここから買い上がるには追加の材料が必要との声もあった。結局、前営業日比10円安の2万3422円と小幅な反落で終了した。

 

東京外国為替市場:105.70円前後でもみ合いに終始

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の下げ幅縮小に支えられ、105.70円付近へ上昇した。トランプ米大統領が『米上下院は航空会社向け雇用支援250憶ドルと中小企業のための1350億ドルの支援策をすぐに承認すべき、私はすぐにでも署名する』とツイッターに投稿したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後もこの流れは続き、低下していた米長期金利の持ち直しを眺め、105.77円付近までじり高となった。その後は、105.75円前後でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台前半で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国の合意なき離脱まで残された時間が迫る

欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は、欧州連合(EU)は英国との協議で合意を望んでいるが、期限が迫りつつあり年末までに合意できなくなる可能性を排除できないと述べた。欧州議会で、バルニエ首席交渉官と自身のチームがEUの全面的支持を受けていることを指摘した。その上で『合意に達した場合、2021年1月1日の実効に間に合うよう、双方は批准を確実にしなければならない』と述べた。さらに『そうでない場合は、合意なしの状態となる。残された時間は100日を切っており、このシナリオを排除することはできない』と述べた。

 

欧州市場では8月鉱工業生産が公表

7月実績は3ヵ月連続で増加した。自動車メーカーが伸びを主導した。ドイツ経済省によると、『国内産業は危機前すいじゅの90%近くに戻っている』ようである。景況感の改善や工場などの操業時間はやや長くなっていることから、8月も前月比プラスとなる可能性がある。

 

協議中断発言は米大統領選における政治的な駆け引き

早々に退院したトランプ米大統領が『一か八かの賭け』を仕掛けてきた。NY市場もクローズが近づく頃になって、『大統領選が終わるまで追加経済対策の協議は中断すると担当者に命じた』とツイートした。200ドルを超える上昇となっていたNYダウは一気に420ドルを超える下落まで600ドル以上急落させることになった。トランプ米大統領のコロナ感染以降、市場では『妙なバイデン圧勝論』が台頭した。上下両院も民主党が過半数を獲得するのではといった『ブルーウェーブ』への期待感が強まっていたことから、慌てて退院してきたトランプ米大統領にとっては、『民主党の好き勝手はさせない』との意向が強かったのかもしれない。そもそも、追加経済対策は民主党としても大統領選挙前に合意させて『トランプ米大統領の手柄にさせたくない』わけで、『付かず離れずでダラダラと交渉を続ける』つもりだったはずである。そこを逆手にとって、民主党が誠意を示さないために交渉を打ち切ることを表明した。更に、既に合意済みである『給与保障プログラム』の議会承認を早くするように命じるなど、こちらもトランプ米大統領が『自分の手柄にする』ような動きである。市場はかなり神経質にならざるを得ない状況だが、いよいよ重要な最後の政治的駆け引きへと入っていくことになった。 

 

レアアースから聞こえる米中分断の足音

トランプ米大統領、バイデン前副大統領がそろって確保に意欲を燃やす鉱物がある。製品に添加すると性能が増すことから『ハイテク産業のビタミン』と呼ぶレアアース(希土類)である。国防や環境の観点から両氏は供給網での『脱・中国』を掲げる。IT(情報技術)分野で強まる米中の対立と同様に、レアアースでデカップリング(分断)が現実味を帯びてきた。『外国の敵に由来する重要鉱物への過度な依存は、国家安全保障、外交政策、経済に対する異常な脅威となる。』トランプ氏は9月30日、レアアーズの自給を進め、中国依存の低減を目指す大統領令に署名し、こう述べた。バイデン氏は環境政策の一環で電気自動車(EV)の自国製さんを目指す。EVの駆動モーターに使う高性能磁石に必要なレアアース材の自主調達も公約に盛り込んだ。レアアースをめぐって両氏が目指す方向はほぼ重なる。国際的な取引所がないレアアースは当事者間での相対取引が中心である。ブロック経済化が進めば世界全体での『一物一価』は成り立たなくなる。レアアース市場から聞こえる米中分断の足音は日に日に大きくなっている。

 

米国市場では米連邦公開市場試飲会(FOMC)議事要旨が公表

9月15-16日開催のFOMC議事要旨を公表する予定。2023年まで実質ゼロ金利を維持する方針だが、他の主要中銀が慎重姿勢のためFRBの非ハト派見解はドル買いを誘発する要因となる。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独鉱工業生産(予想:前月比1.5%/前年同月比▲8.7%)
○15:45   8月仏貿易収支
○15:45   8月仏経常収支
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:10   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00   9月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:30   EIA週間在庫統計
○8日01:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○8日02:00   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○8日02:00   米財務省、10年債入札
○8日03:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○8日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月15日-16日分)
○8日04:00   8月米消費者信用残高(予想:140億ドル)
○8日05:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○中国(国慶節・中秋節)、休場
○米共和、民主両党副大統領候補のテレビ討論会

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