FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外勢の分散投資が下支え

米国株式市場では主要3指数は下落したものの、日本株は米国株の流れを引き継ぐ展開とはならず底堅い展開となった。相対的にハイテク株比率が低い日本株に分散投資で海外勢などの買いが優勢となった。直近のアジア株の底堅さがクローズアップされており、アジアの結びつきが大きいとされる日本株に、海外投資家を中心に見直し機運が広がっている。結局、前営業日比40円高の2万3360円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定のドル買い戻しがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、104.87円付近へじり高となった。ただ、前日の海外時間に約1ヵ月半ぶりの安値104.53円を付けた反動で、利益確定や持ち高調整のドル買い・円売りが入りやすい面もあった。午後は新規の手掛かり材料に乏しく、104.80円前後で小動きとなった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

全国CPIは16年11月以来の下落幅でも円高になりやすい

総務省によると、8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.3となり、前年同月比0.4%低下した。およそ4年ぶりの低下幅となった。緊急事態宣言解除により6、7月はプラスとなったが、8月は再び落ち込んだ。GoToトラベル実施などもあり、宿泊料が前年比で3割超安くなったことが響いた。このほか、電気代やガソリン代などエネルギー価格や日用品の価格下落も影響した。

単純に米国の8月消費者物価コア指数は前年比+1.7%だった。そして昨日の米10年物国債利回りは0.685%で終了した。そのため、実質金利は▲1.015%になる。一方、日本の8月コア消費者物価指数は▲0.4%で、日10年国債利回りは昨日359回債で0.01%で終了した。そのため、実質金利は▲0.39%になる。そのため、実質金利の低いドル売り・円買いになりやすい。実質金利がマイナスということは、将来において通貨の価値が低下するため。

 

ニュージーランドは9年半ぶりにリセッション

ニュージーランドは新型コロナウイルスの封じ込めに成功したとみられたが、8月に最大都市オークランドで感染が再発し、外出制限や行動制限の再発動に追い込まれた。結果、今月予定された総選挙も来月に延期された。また、外出制限や行動制限再発動の影響で改善が進んだ企業マインドは一転頭打ちしており、景気回復の足取りが重くなると懸念される。事態収束に手間取れば政権や与党にとり『逆風』となるリスクもある。新型コロナウイルスの感染拡大と封じ込めに向けた対策の影響で、4-6月の実質GDP成長率は前期比年率▲40.47%と2四半期連続のマイナス成長となるなど9年半ぶりのリセッションとなった。内・外需双方で景気が下振れしており、分野別でもすべての産業で生産がマイナスとなる『総崩れ』状態となった。先行きは企業マインドの改善を受けた景気回復が期待されるも、感染再燃によるマインド悪化に加え、足下のNZドル高は景気回復の足かせとなる可能性もある。

 

東地中海の地政学リスク簡単には解決せずリラの重石

欧州理事会は昨日、欧州連合(EU)加盟国の海域で行われているトルコ資源探査の中止要求を、圧倒的な賛成多数で可決した。もっともトルコが素直に従うとは思われず、トルコEU関係の悪化懸念が通貨リラの重石の1つとなった。ところで、一時は軍事的な衝突さえも危ぶまれたトルコとギリシャだが、現状は軍高官レベルでの話し合いが続いている。ドイツも仲介に乗り出したとも報じられており、来週のEU首脳会議の前に何らかの進展があるかもしれない。ただ、キプロス沿岸でのトルコによるガス田掘削作業に関しては、キプロス共和国を承認していないトルコが権益を譲る可能性は極めて少ないと見込まれる。例えギリシャと折り合いがついたとしても、東地中海の緊張は簡単に緩まないと思われ、地政学リスクの高まりには依然として警戒が必要である。

 

南ア準備銀行は政策金利据え置きで約半年ぶりに上昇

注目された南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、政策金利を据え置くことを決定した。結果を受けてここ最近対ドルで強含んでいたランドだが、約半年ぶりとなる水準までランドは対ドルで上昇した。MPC後にクガニャゴSARB総裁は『新型コロナ次第ではあるが、21年成長は緩やかだろう』『先行き不透明感は高いままであり、今後の決定はデータ次第』『インフレは中期的には抑制されている』『MPCは一時的な価格ショックと感染第2波を注視』と発言している。今回は利下げを見送ったが、今年の成長見通しが悪化する中での利下げ見送りに対して南ア国内で疑問の声も出ている。

 

米国の労働市場の回復は鈍い:航空各社も10月1日で解雇開始

米労働省が発表した11日までの週の週次新規失業保険申請件数は前週比3.3万件減の86.0万件と前週から再び減少したほか3週連続で100万件割れとなった。予想85.0万件ほど減少せず微々たる減少にとどまっている。パンデミックによる経済封鎖から7カ月が経過したが、経済活動の再開が思うように進まず、失業保険申請者は3月にピークで過去最多となる686.7万人に達したのち減少傾向にあるものの依然新規の申請が100万件近くにのぼっている。パンデミック危機前の水準の4倍以上で前回2008年の金融危機時の水準もかなり上回ったままである。正常化にはかなりの時間が要すると見られる。4日までの週の失業保険継続受給者数が1262.8万人と、前回1354.4万人から予想以上に減少し、4月初旬以来で最小となったことはプラス材料となる。エコノミストは今後数カ月内に経済が再び新型ウイルス第2波により脅かされるリスクに警戒。航空各社のCEOは17日、大統領補佐官のメドウズ氏と会見し、解雇を回避するための追加支援を要請。政府支援が得られなければ10月1日付けで計画通り解雇が開始される。労働市場の状況が再び悪化する可能性に警戒される。

 

欧米ベント

○15:00   8月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.7%/前年比3.0%)
       英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.4%/前年比4.2%)
○15:00   8月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○17:00   7月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○21:30   4-6月期米経常収支(予想:1579億ドルの赤字)
○21:30   7月カナダ小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.5%)
○21:30   7月カナダ卸売売上高(予想:前月比3.5%)
○23:00   8月米景気先行指標総合指数(予想:前月比1.3%)
○23:00   9月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:75.0)
○23:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19日01:00   8月ロシア失業率(予想:6.2%)
○19日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○19日04:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

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