FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日米イベント待ちで方向感欠く展開

外国為替市場での円高進行が嫌気されて小幅に続落して始まったが、日米の金融政策イベントを前に取引見送りムードも強く、大きく売り込まれる展開にはならなかった。前日の米ハイテク株高を受けて、ハイテク株の一角に買いが先行した。米ナスダック指数の戻り基調を受け、グロース(成長)株に資金が向かいやすくソフトバンクGが大幅高となり、1銘柄で日経平均を50円超押し上げた。結局、前営業日比20円高の2万3475円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:終日105.30円近辺でもみ合い相場

ドル/円は、米FOMCの結果発表を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが先行し、105.26円付近まで値を下げた。米長期金利が時間外取引で小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。しかし、8月28日に付けた105.20円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、105.30円を挟んだもみ合う展開となった。午後に入っても、105.30円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。ユーロ/ドルは、1.18ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国景気は一進一退の展開:雇用環境がカギを握る

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国経済は深刻な減速に直面したが、事態収束と経済活動の正常化を受けて底入れが進んでいる。足下では感染拡大の震源地は新興国にシフトするなど不透明感はくすぶるが、主要国での経済活動再開の動きや米中摩擦の余波を受けて外需は底入れが進む。ただし、景気回復の動きにも拘らず不透明要因もくすぶる展開が続くなど、中国景気は一進一退の展開が続いている。8月の小売売上高は名目ベースで前年比+0.5%と自動車販売の押し上げを受けて年明け以降初めて前年を上回ったが、実質ベースでは同▲1.1%と試算出来るなど回復は道半ばの状況にある。 統計公表を巡る『小細工』は統計自体に対する信ぴょう性を損なう恐れもある。他方、景気回復の持続力は雇用環境がカギを握る状況は変わらない。

 

南アランドは17日のMPC会合待ちの展開

昨日ラマポーザ南ア大統領は企業や労働者などの代表で構成される『国家経済開発労働評議会』に出席し、大統領の経済回復計画に合意したと発表した。本日は南アの小売売上高が発表される。7月はたばこや酒類の販売が厳しかったこともあり、前年比では落ち込むことが予測されている。ただし明日17日、南ア準備銀行(SARB)が金融政策委員会(MPC)を開き政策金利を発表することで、本日の指標では動きにくい。

 

トルコとギリシャの地政学リスクが高まる

東地中海の領有権を巡り対立しているトルコとギリシャは昨日、両国軍の高官が北大西洋条約機構(NATO)本部で協議を行った。話し合いで両者の歩み寄りを期待したいところだが、妥協点を見つけるのは簡単ではない。そういったなかトルコメディは昨日、エーゲ海東部に位置するサクズ島(ヒオス島)をギリシャが武装化していると報じた。トルコはこれを国際条約違反だとしており、再び両国の緊張が高まることが危惧される。地政学リスクが強まったままでは、リラの買い難さは続く。

 

メキシコは休場のため急変には注意

FOMCの結果が公表される9月16日は独立記念日でメキシコ市場が休場となる。重要イベントと市場の流動性低下が重なるため、薄商い中で急激な変動が起こり得るリスクもある。そのため、本日からイベント前のリスク管理を徐々に進めておきたいところである。

 

トランプ大統領は中南米系票に訴え:激戦の西部を回る

米大統領選に向け、共和党のトランプ大統領は12~14日の3日間、中南米系の票の掘り起こしを狙い西部州を回った。支持率でリードする民主党のバイデン氏を逆転するには、激戦州で競り勝つことが不可欠。新型コロナ感染防止の規制を無視した集会も開き、なりふり構わず動いた。トランプ氏が訪問したのはネバダ、カリフォルニア、アリゾナの3州である。ネバダとアリゾナでは中南米系の市民を集めた会合を開催し『決してあなた方を失望させない』と訴えた。アリゾナは両氏の接戦で、ネバダでは最近トランプ氏が猛追している。両州の勝敗が全体の情勢に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

米国市場では8月小売売上高が公表

7月実績は3ヵ月連続プラスとなり、総額はウイルスの感染流行前の水準を回復した。ただ、ウイルス感染者は増加しており、経済活動はやや制限されていることから、個人消費の持続的な拡大は期待できない。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表

今回の会合ではゼロ金利政策や量的緩和(QE)が据え置かれると見られている。FRBが新指針でのインフレ平均目標を発表後、初めての会合となるため同時に発表される景気、インフレ、金利見通しに特に注目される。FRBがインフレ平均目標という新指針を発表後、経済専門局であるCNBCが市場関係者対象に実施した調査によると回答者の大半はFRBが2023年まで利上げを行わないと見ていることが明らかになった。新指針では、インフレが平均目標となるため長期にわたり2%を割り込んだあと、平均が2%になるまで2%超のインフレを容認することになるため、当初の想定以上に長期にわたり低金利を据え置く必要が出てくる。焦点はFRBがどの程度までインフレの上昇を容認し、どの程度の期間ゼロ金利を維持するか。一部のFRB高官は2.25%-2.5%くらいは容認できると言及している。インフレの2%達成にはかなりの時間を要すると見られるが、現在のところ2%を上回るという保証もなく、かなり不透明な状況である。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.6%/前年比横ばい)
       CPIコア指数(予想:前年比0.6%)
        小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.3%/前年比0.6%)
○15:00   8月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比横ばい)
○18:00   7月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済193億ユーロの黒字)
○18:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲5.0%)
○20:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、ウェブセミナーに参加
○21:30   7月対カナダ証券投資
○21:30   8月カナダCPI(予想:前月比0.1%/前年比0.4%)
○21:30   8月米小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.9%)
○23:00   7月米企業在庫(予想:前月比0.1%)
○23:00   9月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:78)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.00-0.25%で据え置き)
○17日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○17日05:00   7月対米証券投資動向
○未定   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%で据え置き)
○英中銀金融政策委員会(英MPC、17日まで)
○メキシコ(独立記念日)、休場

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