FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルスワクチンの開発期待からリスク選好の流れ

世界的な新型コロナウイルスワクチンの開発期待によるリスク選好の流れに乗り、前日の米国株式市場でNYダウが2万8000ドルを回復した。およそ半年ぶりの高値を付けた流れを受け、日経平均株価が新型コロナウイルス感染拡大に伴う急落前の水準(2月21日の2万3386円を上回った。ただ、先行きの見通しについては市場関係者の間で、治療法やワクチンへの期待と実体経済とのかい離はまだ大きいとの理由から慎重な見方もある。結局、前営業日比311円高の2万3296円と3日続伸した。

 

東京外国為替市場:様子見基部強く106.00円を挟んでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の大幅高を眺めたドル買い・円売りが先行し、106.05円付近まで上昇した。しかし、21日付けた106.07円が上値目処として意識され、上げは一服した。その後は持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて105.90円付近へ下落した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及した面もあった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数を睨みながら、小幅値を上げて106.00円を挟んでもみ合いとなった。週後半に予定されている国際経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演を前に、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、夕方に発表される8月独IFO景況感指数を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.1810ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

英国の合意なき離脱が現実味を帯びてきた

23日にサンデー・エクスプレス紙が世論調査を行った。調査の内容は『英国は欧州連合(EU)との貿易交渉を停止し、WTOルールに従うべきか?』というものである。この調査の結果で95%(3,663人)が、「EUとの交渉を終了し、WTOルールに従うべき」と回答し、上記の案に反対したのが4%(136人)という極端な結果だった。(残りの1%は未回答等)週末のサンデータイムズ紙は「ゴーブ英内閣府担当相はほとんどの時間を『合意なき離脱』への準備に時間を割いている」と報じている。首相は以前から9月末までに交渉がまとまらなければ、その時点で交渉決裂になるかもしれない。

 

トルコリラ買い材料見当たらず

先週末に発表されたトルコ史上最大規模のガス田発見は、同国経済にとって中長期的にはプラスとされたものの、短期的にはインフラ設置などのコスト増に繋がるとの見方も多く、リラを売り戻す動きが強まった。また、昨日発表されたトルコ7月外国人観光客数は、前年比では85.8%減でした。4-6月と比較すると減少幅は縮小したが、依然として外国からの訪問は避けられている状況である。トルコにとって重要な外貨獲得手段である観光セクターの回復が遅れれば、経常赤字の改善は見込み難く、リラの下値警戒感も高まっている。さらに、トルコと諸外国との関係悪化もリラを買いづらくさせている。一部報道では、トルコが露製地対空ミサイルS400の追加購入をロシアと合意したと報じている。米国はトルコのS400配備に敏感であり、報道が事実であれば、米による対トルコ制裁が危惧される。その他に、東地中海のエネルギー探査を巡りトルコとギリシャの対立は続いたままである。昨日はアラブ首長国連邦(UAE)が飛行訓練と称して戦闘機をギリシャのクレタ島に派遣したと伝わった。トルコは対抗姿勢を強めると予想され、地政学リスクが高まりはリラにとってはネガティブ要因となる。

 

南アランドの上値を抑える要因

南アランドの上値を抑える要因としては、南アの国内経済の鈍化があげられる。昨日アブサ銀行の決算が発表されたが、上半期の1株当たりの利益は93%減少した。また同行は『8月の経済指標はほとんどの地域でウイルス拡大の鈍化を示しているが、不確実性の高まりが企業の信頼と投資を弱め、消費者にとって厳しい状況が続く』と示しているように、今後の経済の鈍化が続くことは南アランドにとってネガティブ要因となる。

 

トランプ米大統領再選なら米中貿易摩擦先鋭化の可能性も

トランプ米大統領は2期目の公約で、経済政策でも中国への強硬な姿勢を示した。再選されれば、米中貿易摩擦の一段の激化が見込まれ、日本企業も影響を受ける懸念がある。トランプ政権の通商政策には、突然に関税引き上げを持ち出すといった『不確実性』が目立った。再選後も同じ手法が取られる可能性が高く、日本は引き続きトランプ氏に振り回される展開も予想される。公約には、『中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻す』という内容が盛り込まれた。トランプ氏は『海外から国内に雇用を戻すことを拒否する米企業に関税を課す』と発言しており、事実上の罰則で企業への圧力を強めて国内生産を促し、雇用を増やす政策を取るとみられる。公約では『中国に新型コロナを世界に拡散させた責任を取らせる』ともしており、米中対立が先鋭化すれば、両国に拠点がある日本企業は、海外戦略の練り直しを迫れそうだ。貿易摩擦が景気悪化につながれば、経済規模の大きな両国だけに、世界中にその影響が波及する懸念もある。そもそもトランプ政権の通商政策は保護主義色が強かっただけに、再選されれば、日本が恩恵を受ける自由貿易体制には逆風となりかねない。

 

米ジャクソンホールでのパウエル米FRB議長発言に注目!

今週の為替相場で注目されるのは、27-28日に開催される米ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀主催によるFRB関連のシンポジウムだ。パウエル議長のオンライン講演は、米東部時間27日午前9時10分(日本時間の同午後10時10分)から予定されている。注目は今後の政策枠組みやフォワード・ガイダンスなどの見直しとなる。基本的には「27日にパウエル議長が明確な発表をすれば、9月15-16日の次回FOMC会合の役割を先取りするような印象を与えるため、踏み込んだ説明には至らないのではないか」(21日ブルームバーグ)との見方が強い。期待ほど緩和強化方針が示されなければ、改めて調整的なドル買い戻しを促す可能性がある。同時にFRB議長講演などで過度な緩和強化期待が後退すると、高値過熱感が警戒される米国株が調整反落となる可能性も無視できない。その場合は安全逃避通貨であるドルと円が同時に上昇となる。円相場はドル/円でのドル高・円安と、クロス円での欧州通貨安・資源国通貨安・円高の綱引き相場が想定される。

 

米国市場では8月CB消費者信頼感指数が公表

7月実績は92.6で市場予想を下回った。期待指数は91.5と、前月から14.6ポイント低下した。8月については、新型コロナウイルスの感染流行は終息していないことや、経済見通しは特に改善していないことから、7月実績と差のない数値となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲10.1%/前年同期比▲11.7%)
○15:00   4-6月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比▲11.7%)
○15:00   4-6月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○17:00   8月独Ifo企業景況感指数(予想:92.0)
○22:00   6月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
       4-6月期米住宅価格指数
○22:00   6月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.6%)
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.3%/78.6万件)
○23:00   8月米消費者信頼感指数(予想:93.0)
○23:00   8月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○26日02:00   米財務省、2年債入札
○26日04:25   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討議に参加
○米共和党全国大会(2日目)

 

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