FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日銀金融政策決定会合:黒田日銀総裁会見に注目

日銀が金融緩和策の減維持を決めたのは市場の予想通りとなった。また、2019年度までの見通しを示す『経済・物価情勢の展望(展望レポート)』で物価の現状判断を上方修正したが、現実を追認したにすぎない。それでも、日銀の会合結果発表の直後に円買い・ドル売りが強まった。これは市場参加者が日銀の政策変更に神経質になっている証拠である。市場では緩和縮小の思惑がなかなか消えておらず、15:30からの黒田日銀総裁の会見で、こうした思惑を打ち消せるかが焦点となる。

 

日経平均株価:日銀金融政策発表後上げ幅拡大

前日の米株式3指数が揃って最高値を更新し海外投資家の買いが先行し米欧に追随して日銀も金融政策の正常化に動くのではないかと警戒していた海外投資家が日銀の『現状維持』発表を受けて買入れた。ただ、市場では『目立った買い材料はないが、強いてあげるとすれば国際通貨基金(IMF)の世界景気見通しの上昇修正。米国と日本の修正幅が目立ったことから、米景気のピークアウト懸念などが後退し、買いやすくなった』との指摘もあった。結局、前日比307円高の2万4124円と大幅3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀会合の結果発表直後乱高下

ドル/円は、日銀が現行の金融政策の据え置きを決定した。同時に発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)ではCPIやGDP見通しも前回から据え置いたが、発表直後には一時ドル売り・円買いが強まり、110.55円まで下押す場面があった。もっとも、その後は一転して買い戻される展開となった。一段の売りを促す材料が乏しく、日経平均株価も310円超の上昇となったことも相場の支えとなり110.80円台まで回復した。ユーロ/ドルは、日銀の金融政策公表後に対円でドル安が進んだ場面では一時1.2276ドルまで上げたものの、買い一巡後は頭の重さが意識されたことで、次第に上値を切り下げる動きとなり、1.2250ドル台まで値を下げた。

 

25日のECB理事会開催:ユーロ高における間接けん制を注視

年明けからはECBの景気判断引き上げが量的緩和縮小の前倒し観測につながり、ユーロ高が加速している。しかし、先走り的なユーロ高は、欧州の経済やインフレの下押し要因となりかねない。その意味で25日の理事会や総裁会見では、慎重なペースでの緩和縮小の強調やユーロ高への間接けん制が注視される。ただ、9月以降にかけて緩和出口が具体化される可能性は高く、中長期スパンではユーロの押し目買い地合いが支援される。

 

米国債の季節要因:長期金利は前半高く後半下落

株式相場の格言では『5月に株を売って逃げろ』と言われている。というのも株式相場は夏枯れ状態になることが多いためである。一方、米国債市場では、年最初の5ヶ月間で、後半7ヶ月に比べ、価格が下落し利回りが上昇する傾向が多い。1998年以降、この傾向が続いている。1月から5月の間で米国ベンチマーク10年債の利回りは平均で0.017%上昇。これに対して6月以降はは0.235%低下となっている。

 

国際通貨基金(IMF)世界成長見通し:世界的に上方修正

・世界経済成長率は2018年、2019年+3.9%(前回:+3.7%)

・中国:2018年:+6.6%(前回:+6.5%)

・ユーロ圏:2018年:+2.2%(前回:+1.9%)

・米国:2018年:+2.7%(前回:+2.3%)

・日本:2018年:+1.2%、2019年+0.9%(前回:+0.7%、+0.8%)

・英国:2018年:1.5%(前回:+1.5%)

IMFは今年、来年の世界経済の成長率予想をいずれも昨年10月時点に比べ0.2%ポイント上方修正し3.9%とした。2011年以降、7年ぶりの高い伸び率を達成するとよそうしている。昨年12月に可決され本年から実施される税制改革が米国の経済成長を押し上げ、世界経済の成長をけん引すると見ている。

 

欧米イベント

○17:30   12月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○19:00   1月独ZEW景況感指数(予想:17.7)
○19:00   1月ユーロ圏ZEW景況感指数
○24:00   1月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:19)
○24:00   1月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:0.6)
○24:00   米上院銀行委員会でグッドフレンド次期米連邦準備理事会(FRB)理事の承認公聴会
○24日03:00   米財務省、2年債(260億ドル)入札
○世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、26日まで)
○北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第6回会合(カナダ・モントリオール、29日まで)
○欧州連合(EU)財務相理事会(ブリュッセル)

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