FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:TOPIX先物売りの買戻しで上げ幅拡大

前週末発表された米5月雇用統計や米5月ISM製造業景況指数などの改善で米景気に楽観的な見方が広がり機関投資家がリスク選好の姿勢を強めた。また、外国為替市場での円安進行で自動車株などの買いも指数を押し上げた。後場では、米指数算出会社MSCIが5月末の指数構成銘柄入れ替えに伴う日本株流出を見越した一部ヘッジファンドのTOPIX先物売りの買戻しに上げ幅を広げた。結局、前営業日比304円高の2万2475円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で実需勢のドル買い優勢

ドル/円は、本邦実需勢のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、一時109.75円まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、トランプ米政権の保護主義的な通商政策に対する懸念から上値で利食い売りなども見られ、109.60円付近へ押し戻された。午後は、株価にらみながら109.60円台でもみ合い相場となった。安倍首相が『日米首脳会談では、対北朝鮮で今後の方針をすり合わせる』と発言したものの、市場の反応は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感に欠く値動きが続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

混迷深める米中通商協議

北京で開かれていた米中通商協議が3日に終了した。中国は、米国が関税やその他の貿易制裁を導入した場合、貿易や経済をめぐる両国の合意は全て効力失うとする声明を発表した。通商協議で3750億ドル(約41兆円)に上る中国のモノによる対米貿易黒字の削減方法に関して一定の進展があったと発表した。しかし、トランプ大統領が先週、中国からの輸入品500億ドル相当に制裁関税を課す計画をあらためて持ち出したことで協議の行方は不透明になっている。一方で、中国国営の新華社は『米国が関税などの貿易に関する措置を打ち出すなら、これまでの交渉で双方が達した全ての合意は無効になる』とけん制した。

 

週末の良好な米雇用統計で利上げ後押し

先週末発表された5月の雇用統計は、FRBによる6月の利上げを後押しする内容となった。雇用市場の堅調さが確認されたことで、利上げペースを巡る議論が6月のFOMCでも活発化する。FRBは3月に金利を引き上げたが、年内の利上げ回数見通しについて、3度と4度で意見が二分していた。5月の良好な雇用統計は、4度の利上げ支持派にとって追い風となる。また、最新の金利見通しは、6月12-13日に開催されるFOMCで併せて公表される。

 

ドル安で来年1400ドル到達も:バート・メレク氏

TDセキュリティーズの商品戦略グローバル責任者、バート・メレク氏は、金が今年10-12月(第4四半期)に回復し始め、来年10-12月期には平均1オンス当たり1375ドルに持ち直し、1400ドルの高値を付ける可能性もあると予想した。予想通りなら13年以来の水準となる。金価格は4月11日以来、ドル高が重石となり約5%下落し、1300ドル前後で取引されている。同氏は19年にかけてドルが軟化し、それが金に極めて強力な追い風になるということが上昇の根拠となる。

 

5月29日付シカゴIMM投機筋の対米ドルでの差し引き持ち高

 

      (5月22日)   ⇒   (5月29日)

・円     : ▲2,767   ⇒   ▲8,036

・ユーロ    :+109,744   ⇒   +93,037

・ポンド    :+5,701    ⇒    +9,477

・豪ドル    :▲21,112   ⇒    ▲23,235

 

投機筋の円ショート(円売り)は2週連続となり、円ショート枚数も前週比と比べて増加した。この間5月23日高値110.92円から5月29日安値108.08円と円高が進行したことから、投機筋は逆張りで円売り・ドル買いポジションを積み上げたことになる。投機筋はどちらかというと順張りでポジションを積み上げていくが、今年に入ってからは逆張りの動きが多く見られるようになった。ユーロ/ドルは、ユーロロング(ユーロ買い)が4月17日付けの151,476枚がピークとなり、ユーロ/ドルも1.2413ドルまで上昇したが、その後は下落基調となり5月29日には安値1.1507ドルまで下落した。相当ポジションを切らされている感がある。ただ、ポジション的には高水準にあることから、もう一段の下落となると再びユーロの下落に弾みがつく可能性もある。

 

欧米市場イベント

○16:00   5月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.58%/前年比12.15%)
○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.0)
○18:00   4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○20:30   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○23:00   4月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%)

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