★日経平均株価:イタリアやスペインの政局不安から売り優勢
イタリアやスペインの政局不安に欧州財政不安が高まり前日欧州株やNYダウが全面安となったほか、外国為替市場での円高進行も重しとなり、一時420円を越す下げ幅となった。しかし、時間外取引NYダウ先物の反発や日銀の株式ETF買いに下げ渋った。結局、前日比339円安の2万2018円と大幅続落で取引を終了した。
★東京外国為替市場:米長期金利上昇でドル下げ止まり
ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、一時108.77円までじり高となった。しかし、イタリアの政局先行き懸念から円売りは続かなかった。その後は、日経平均株価がさえない展開となったことで108円台半ばへ押し戻された。午後は、株価をにらみながら108.60円前後での狭いレンジでもみ合いとなった。月末に絡む本邦実需勢の売り買いが一巡したことで、商いは薄くなった。ユーロ/ドルは、急落した反動から持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが入り、1.15ドル台前半から1.15ドル半ばへと水準を切り上げた。一部のメディアが『イタリアのマッタレッラ大統領は真夏の総選挙を避けたい意向を示した』と報じられると、ユーロ買いにつながった。
★マレーシアリンギが下落:インフラ投資停滞を懸念
マレーシアリンギは対ドル相場で下落し、一時1米ドル=3.99リンギ代を付け、1月中旬以来およそ4ヵ月ぶりのリンギ安・米ドル高水準となった。28日にマハティール首相がマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画を中止すると発表した。マレーシア全土でインフラ投資が停滞し、経済成長に悪影響を与えるとの懸念からリンギ売り・米ドル買いが優勢となった。また、消費税廃止による財政悪化懸念も引き続きリンギ相場の重石となっている。
★イタリアのリスクが周辺国にも波及
イタリア国債のデフォルト(債務不履行)に備えた保証コストを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは、5年物が一時276ベーシスポイント(1bp=0.01% )まで急上昇し、トルコやブラジル、南アフリカを上回った。債務残高が欧州で2番目に大きいイタリアだが、格付け大手3社は投資適格級を付与している。もっとも、親欧州連合(EU)派とEU懐疑派との対立で再選挙が見込まれる中、同国の政治および財政リスクは高まりつつある。また、周辺国への波及も懸念されている。ポルトガルの5年物CDSは7ヵ月ぶり高水準となり、スペインのCDSも13ヵ月ぶりの高水準となっている。
★進まない英国のEU離脱問題:6月後半の英国リスクに注意
EUは、アイルランドと英領北アイルランドとの国境に税関などのハードボーダー(物理的な壁)導入を回避する方策について、6月28-29日に開く首脳会議までに英側がより詳細な立場を示さない場合、離脱交渉が合意に至らず決裂する危険を示すはるかに強い警告を準備している。離脱交渉を前進させるには英政府が文書で確定的な提案を行うことが不可欠だと考えているが、メイ英首相はそのような案をまだ提示していない。
★欧州リスクからの逃避資金が米2年債に
米国債相場が2016年以来最大の上昇を記録する中、2年債で強気姿勢に転じ、10年債の売りポジションは縮小した。イタリア政治不安の深刻化で金融市場が混乱する中、投資家は資金の避難先として米国債に向かった。米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、大口投機家は先週、米2年債で1年ぶりに買い越しに転じた。FRBの金融政策予想に最も影響を受けやすい2年債の利回りは、その数日前に10年ぶりの高水準に達していた。10年債は売りポジションが大きいものの、過去最大の規模からは縮小している。
★欧米イベント
○15:00 4月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%)
○15:00 4月独輸入物価指数(予想:前月比0.7%/前年比0.8%)
○15:00 4月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比6.55%)
○15:45 4月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○15:45 1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%)
○16:00 5月スイスKOF景気先行指数(予想:104.7)
○16:55 5月独雇用統計(予想:失業率5.3%/失業者数変化▲1万人)
○18:00 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:0.2)
○20:00 MBA住宅ローン申請指数
○21:00 5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%)
○21:00 1-3月期ブラジルGDP(予想:前期比0.3%/前年同期比1.2%)
○21:15 5月ADP全米雇用報告(予想:19万人)
○21:30 1-3月期カナダ経常収支(予想:182億カナダドルの赤字)
○21:30 4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.6%)
○21:30 4月カナダ原料価格指数
○21:30 1-3月期米GDP改定値(予想:前期比年率2.3%)
○23:00 カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.25%で据え置き)
○31日03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
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