FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りとETF分配金支払いに絡む売り思惑

前場は前日までの3営業日で600円近い上昇となり、約1ヶ月ぶり高値を付け利益確定売りが優勢となった。また、日本株の上場投信(ETF)分配金支払いに絡む売りへの警戒感も重荷となった。ただ、昨日大幅上昇した中国・上海株が本日も堅調に推移したことで、相場の一定の下支えとなった。結局、前営業日比99円安の2万2614円と4日ぶりの下落となった。

 

東京外国為替市場:107円台前半から半ばでのレンジ相場

ドル/円は、仲値にかけて、実需筋の目立った売買はなく、107.35円付近で小動きとなった。日経平均株価の下げ幅が100円を超えたことが嫌気されると、一時107.25円付近へ下落した。ただ、昨日NY市場で付けた安値が意識されると下げ渋り、ポジション調整などのドル買い戻しが持ち込まれ、107.40円付近へ値を上げた。午後は、日経平均株価の下げ幅が縮小されると、107.50円付近へ小幅値を上げた。ユーロ/ドルは、1.1310ドルを挟んで狭いレンジ取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀金融政策決定会合では年後半の景気持ち直しシナリオ維持

日銀は14-15日の金融政策決定会合で、国内景気が年末にかけて持ち直すとの基本シナリオを維持する見通しだ。複数の関係者が明らかにした。同会合で議論する『経済・物価情勢の展望』(展望リポート)で、こうした見方を盛り込むとみられる。
6月調査の日銀短観では、大企業・製造業で足元の業況判断DIが大幅に悪化する半面、先行きは改善する見通しが示された。日銀では、経済活動の再開で消費回復への期待が出ているほか、政府・日銀の一連の対策が景気を下支えするとの見方が出ている。
ただ、新型コロナの不確実性は引き続き大きい。展望リポートでは、新型コロナの第2波懸念や海外経済の回復の鈍化などから景気の下振れリスクが大きいことを強調する可能性が高い。日銀は感染症や金融市場の動向を注視しながら、追加の政策対応が必要か慎重に検討する方針である。

 

欧州市場では5月鉱工業生産が公表

経済活動の段階的な再開によって、5月の鉱工業生産は前月比で増加する見込み。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は消えていないことから、鉱工業生産が年初の水準を回復するのは来年以降になるとの見方が出ている。

 

現行の経済活動維持なら仏経済の第3四半期は急回復

フランス銀行(中央銀行)は6日、国内の経済活動が少なくとも現行水準を維持すれば、第3・四半期の国内総生産(GDP)が14%拡大するとの見通しを示した。前四半期の落ち込みから急回復し、2020年の見通しを上方修正する可能性があるという。第2・四半期のGDPは14%縮小を想定した。従来の15%縮小からやや上方修正した。
フランス政府は3月中旬に欧州で最も厳格なロックダウン(都市封鎖)措置を実施し、第1・四半期のフランス経済は5.3%縮小した。ただ、ロックダウン措置は5月11日から解除が始まった。中銀の試算によると、国内の経済活動は通常状態を7%下回る水準にあるという。先月は9%、3月のロックダウン開始時は32%下回っているとしていた。

 

トルコとEUとの関係悪化懸念:トルコの景気回復の足かせ

年400億ドル規模のエネルギー輸入を減らすためトルコは、東地中海における資源開発を進めている。これに対し欧州連合(EU)加盟国のキプロスは、自国海域を侵犯されているとトルコに強く反発している。当然ながらEUもキプロスを支援しており、来週のEU外相理事会では対トルコ追加制裁についても話し合われる可能性が高まっている。トルコ側は強気姿勢を崩さず、チャウショール・トルコ外務相の発言では『トルコへの制裁が決定された場合、報復措置を取る』が伝わっている。どのような報復措置がトルコ側から取ることができるか分からないが、いずれにせよトルコとEUとの関係の悪化が懸念される。トルコ経済は欧州に依存している部分も多く、もしEUとの溝が広がるようならばトルコ景気回復にとって足かせとなる。

 

南アフリカのウイルス感染抑制は厳しい見通し

先週2日にハウテン州の保健省は、州の公立病院のすべてがウイルス感染患者で満床になっていると発表した。また西ケープ州は、州内の死亡率は米国のNYと同程度まで高まっているとの警告を出している。病床不足は上記2州だけでもない。また医療器具の不足についても病院関係者は声を出している。目標の感染曲線を緩やかにすることも、なかなか難しい状況である。3日の時点で上記ハウテン州では709人もの公的医療従事者がウイルス検査で陽性と判明し、民間関係者は905人が陽性となっている。また先月の11日から22日までの11日間だけで、ハウテン州は14388件もの新規感染件数が記録されている。

 

米ISM非製造業景況指数パンデミック前の水準回復も雇用の戻りは鈍い

米供給管理協会(ISM)が発表した6月ISM非製造業景況指数は57.1と、3カ月ぶりに50を上回り活動が拡大した。経済活動の再開が奏功し、パンデミックで経済封鎖が始まる前の2月来の高水準に回復した。1カ月の上昇幅は1997年の統計開始以来で最大を記録した。4月にはパンデミックによる経済封鎖が影響し、同指数は122カ月連続で拡大したのち急激に低下した。低下幅は過去最大と記録している。
6月の全米の製造業や非製造業の結果が出そろったが、いずれも4月に底入れ後、経済活動の再開を受けて反動を証明した。6月ISM製造業景況指数は52.6と、予想外に50を回復し、2019年4月来で最高となった。製造業PMIは49.8と、50の回復はならなかったが5月の39.8から過去最大となる10ポイント上昇した。サービス業PMI改定値は47.9と、速報値46.7から予想以上に上方修正され5月37.5から10.4ポイント上昇とやはり過去最大の上昇を記録した。ただ、雇用は43.1と4カ月連続で50を割り込み依然、活動が縮小している。5月の31.8から改善したものの6カ月平均の43.4や前年同月の55.2を大幅に下回ったままで懸念材料となる。雇用の伸びが停滞した場合、消費を抑制し経済の回復も遅らせる。

 


欧米イベント

○15:00   5月独鉱工業生産(予想:前月比11.1%/前年同月比▲16.9%)
○15:45   5月仏貿易収支(予想:55.00億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○17:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数(予想:▲21)
○22:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、ウェブセミナーに参加
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日02:00   米財務省、3年債入札
○8日02:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○8日02:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○8日03:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加

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