FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルスの感染拡大や米中対立への警戒感から売り優勢

米国の新型コロナウイルス1日当たり新規感染者数が過去最多を更新し、一部州の規制再導入など経済『正常化』遅延懸念から、前週末26日のNYダウ730ドル安の大幅安につれて売りが先行した。新型コロナウイルス感染拡大懸念に『香港国家安全法』を巡る米中対立への警戒感が売りを促しヘッジファンドの期末売り等に下げ幅を広げている。上海総合株価指数や香港ハンセン指数が軟調推移したことも嫌気された。結局、前営業日比517円安の2万1995円と反落して終了した。

 

東京外国為替指標:107円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利にの上昇に支えられ、107.37円付近までじり高となった。しかし、25日に付けた107.45円が上値の目処として意識されると上げは一服し、利益確定などのドル売り・円買いに107.15円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の大幅反落やアジア株安を眺めたドル売り・円買いが入り、107.04円付近まで下落した。しかし、今晩の米国株動向を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り107.10円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、欧州タイムで予定されている独仏首脳会談を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1259ドル付近まで値を上げた。

 

中国北京市の新型コロナウイルス集団感染

中国共産党北京市委員会の張強副部長は同市の新型コロナウイルスPCR検査の実施状況について、6月29日午前0時時点で市民829万9000人の検体を採取し、うち768万7000人の検査を終えたことを明らかにした。卸売市場『新発地市場』で集団感染の発生が確認されて以降、同市のPCR検査機関が当初の75ヵ所から144ヵ所に増え、1日の検査件数は最大で108万4000件に達した。集団感染関連の対象者の検査はほぼ終了した。北京市衛生当局の発表によると、6月11日-28日に確認された同市の新規感染者数は累計318人で全員入院中。このほか、医学観察中の無症状感染者は26人となっている。

 

南アランドの上値は重く限定的

南ア政府の追加予算は市場の予想通りだったが、政府が大幅な債務を解消する道筋は見えない。国民の半数が慢性的な貧困に苦しんでいるだけでなく、失業者も増大しそうであるため、債務解消と同時に経済対策も行わなければならず、今後も厳しい状況が続く。今週発表された1-3月期失業率は30.1%まで上昇し、2002年の7-9月期に記録した30.4%以来の結果となった。4-6月期は国民の半数が失業ということが現実的に見えてきたことでランドの上値は重い。今週は1-3月期国内総生産(GDP)、5月貿易収支などが発表される。5月はロックダウンの最中だったこともあり、ロックダウンの影響がどれほど出ているか注目される。

 

需給ひっ迫から銅価格が続伸

26日のロンドン金属取引所(LME)の銅は続伸し、前日比+1.10%の5952ドル/トンで終了した。1月24日以来の高値を記録した。新型コロナウイルスの感染拡大により世界最大の銅生産企業であるチリ国営コデルコがチュキカマタ銅山の操業を停止すると発表し、需給ひっ迫観測が強まった。

 

米シェール開発大手も経営破綻するほど状況は悪化

米石油サービス会社べーカー・ヒューズが26日に発表した米国内石油屈側装置(リグ)稼働数は15週連続で減少し、2009年6月以来約11年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルスの影響で石油の需要が減少し、価格が下落したことが影響している。米エネルギー情報局(EIA)が24日発表した数週間の石油在庫統計で原油在庫は3週連続で増えた。原油の需給は依然として緩和した状態で、一時40ドル台を回復したWTIは伸び悩んでいる。28日には米シェール開発大手のチェサピーク・エナジーが連邦破産法11条の適用を申請し経営破綻したと報じられた。破産申請には30社以上の関連企業も含まれる。債務は118億ドル(約1兆2600億円)、資産は162億ドル。

 

7月2日の米6月雇用統計もサプライズに要警戒

7月2日に発表される米6月雇用統計では、失業率は12.2%で5月の13.3%から低下、非農業部門雇用者数は前月比300万人の増加で、5月の前月比250.9万人の増加からさらなる改善が見込まれている。6月雇用統計の調査対象週(6月7-13日)の失業保険継続受給者数は1952.2万人となり、5月の調査対象週(5月10-16日)の2083.8万人から減少している。雇用統計の集計方法やトランプ政権の給与保証プログラムにより、雇用統計の数字が実際の雇用情勢を反映しなくなっており、5月同様に予想から乖離したサプライズに要警戒となる。

 

欧米市場イベント

○17:30   5月英消費者信用残高(予想:▲25億ポンド)
○17:30   5月英マネーサプライM4
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:80.0)
○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.7)
○18:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比0.6%)
○21:30   5月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.7%)
○21:30   5月カナダ原料価格指数(予想:前月比30.0%)
○21:30   5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比12.8%)
○21:30   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比19.7%/前年比なし)
○24:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○30日04:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事、講演

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