FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物の軟化に連れて売り優勢

新型コロナの感染拡大や米欧の貿易摩擦への警戒感から前日の米国株が下落した流れを引き継ぎ、朝方から売りが先行した。売り一巡後は、12月期決算銘柄は、明日が配当金や株主優待の権利取り最終日となるため、これらを意識した買いが入り下げ渋った。しかし、時間外取引のNYダウ先物が軟化したことで、下げ幅を広げる場面もあった。結局、前営業日比274円安の2万2259円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:新型コロナ感染者急増で有事のドル買い優勢

ドル/円は、世界で新型コロナの感染者が急増していることから、流動性の高い基軸通貨のドルを確保する動きが広がり、107.25円付近までじり高となった。本日は五・十日にあたり、本邦輸入勢のドル買い・円売りも多く観測された。しかし、17日に付けた107.44円が上値目処として意識されると上げは一服し、107.20円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価をにらみながら、107.10円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、1.12ドル台半ばで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

IMFが2020年の世界経済の見通しを下方修正

2020年の世界経済はウイルスパンデミックによる景気への影響で深刻なリセッション入りが警戒されている。国際通貨基金(IMF)は2020年の世界経済の見通しを4月時点での予想▲3%から▲l4.8%へ一段と引き下げた。米国は▲8%と、従来の▲5.9%から下方修正された。ユーロ圏は▲10.2%と、▲7.5%から引き下げ、英国は▲10.2%と、▲6.5%から下方修正された。唯一中国は+1.0%とプラス成長予想となった。米国株式相場が危機前の水準を上回り過去最高値付近で推移する中、IMFのチーフエコノミストは回復には長期間要する可能性があり、『市場は速やかな回復に楽観的過ぎる』と警告している。

 

トルコ中銀の金融政策会合では利下げ予想:トルコリラの上値の重石

本日はトルコ中銀の金融政策発表が注目される。政策金利の1週間レポレートは現行8.25%から8.00%に引き下げ、というのが市場予想の中心値である。昨年7月から始まった一連の金融緩和のなかでは、最小の下げ幅となる見込みである。ただ、トルコ中銀は市場予想を裏切る(ほとんどが下げ幅を拡大)ことも多く、8%割れの可能性も高い。いずれにせよ、実質金利マイナスが続くなかでの利下げ継続では、通貨リラの地合いは強まり難い。 なお、4月末に中銀が公表した四半期インフレ報告書では、20年末のインフレ見通しをそれまでの8.2%から7.4%に引き下げた。こちらの見通しについての中銀の見解についても、その声明ではポイントとなる。

 

南アフリカでは難しい状況が今後も続く

昨日発表された補正予算で、ムボウェニ南アフリカ財務相は『23-24年には債務をGDPの87.4%まで縮小させる』と発言した。財務相の今回の演説は、市場では非常に正直な発言が目立ったとしている。財務相は現在南アが迎えている危機的な状況に対して目を背けなかったことは評価されているが、南アの状況は厳しいままである。
 南アの国民の半数近くが慢性的な貧困にあえぎ、1-3月期ですら30%以上だった失業率が今後は50%を超えると言われている。また税収も3000億ランド不足するとしていいる。その中でウイルスで失われた労働力のために、雇用創出で196億ランド、脆弱性のある世帯に追加で255億ランドの支援、水質の改善と公共交通機関に90億ランドなどを発表した。ウイルス感染による被害救済をしつつも、財政赤字削減を目指すという難しい状況が今後も続く。

 

第2次米中貿易戦争が高まりつつある:中国を為替操作国認定の可能性も

米中の第1段階の貿易合意に関して、中国が輸入肉や大豆の国外荷主に積み荷が安全性基準を満たし、新型コロナウイルスに汚染されていないことを証明する文書への署名を求めていることで、トランプ米政権の対応にも要注目となる。 トランプ米大統領が先週、中国との『完全なデカップリング(切り離し)』に言及して以降、第2次米中貿易戦争の可能性が高まりつつあることで、毎年4月に予定されている米財務省による為替報告書が発表され、中国を再度、為替操作国と認定する可能性にも要警戒となる。

 

米欧貿易戦争が新たな成長リスクへ

米国はフランス、ドイツ、スペイン、英国からの31億ドル相当の輸入品に新関税を検討しており新たな貿易戦争に繋がりかねない。対象となるのはオリーブ、コーヒー、チョコレート、ビール、ジンや一部の機械、トラックなどで、最大で100%の関税率を課すことを検討していると、USTRが23日に公表した書類で明らかになった。7月26日までが公示期間となる。 欧州の大手航空機メーカー、エアバスと、米国の航空機メーカー、ボーイング助成金を巡る米国とEUの長期にわたる論争が背景にある。世界貿易機構(WTO)は昨年10月に、ドイツ、フランス、スペイン、英国によるエアバスへの助成金を違法との判決を下した。米国の訴えを認め、75億ドル規模の欧州輸入品に関税を賦課することを承認した。WTOはさらに昨年12月EUが違法な助成金を終了していないとし、米国に対欧州製品にさらに関税を課すことを容認した。 一方、EUは米国によるボーイングへの助成金を巡り対米商品112億ドルへの関税発動をWTOに申請している。さらに、EUはウイルスにより強化されていた渡航規制を緩和する中、対象国として米国を除外する方針である。

 

米国市場では5月耐久財受注が公表

4月実績は2ヵ月連続の大幅減少となった。工場封鎖の影響で自動車・同部品の受注が50%以上減少となった。『航空機を除く非国防資本財」(コア資本財)の受注は相対的に小幅な減少にとどまった。5月については、生産工場などの稼働率が上昇していることから、全体的には10%超の大幅な増加となる可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲12.0)
○18:30   4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.00%に引き下げ)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月4日分)
○21:30   5月米耐久財受注額(予想:前月比10.9%/輸送用機器を除く前月比2.5%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率▲5.0%)
           個人消費(確定値、予想:前期比▲6.8%)
           コアPCE(確定値、予想:前期比1.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:133.5万件/2000.0万人)
○21:30   シュナーベルECB専務理事、講演
○22:30   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:30   メルシュECB専務理事、クノット・オランダ中銀総裁、講演
○24:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、ディスカッションに参加
○26日02:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○26日02:00   米財務省、7年債入札
○26日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:5.00%に引き下げ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ