FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀の株式ETF買いの観測を好感

国内で19日から都道府県をまたぐ移動制限が全面解除となり景気回復期待から買いが先行した。しかし、新型コロナウイルス感染『第2波』や米中関係を巡る警戒感から一時下げに転じる場面もあった。日銀の株式ETF買いの観測から、上げ幅を広げる場面もあった。ただ、材料難もあり方向感に欠ける展開も続いている。結局、前営業日比123円高の2万2478円と3日ぶりに上昇して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台後半でもみ合う展開継続

ドル/円は、米国の南西部を中心に新型コロナの感染者が急増していることを背景に106.85円付近へ値を下げた。日経平均株価が朝高後に伸び悩んだことも、円買いを誘った。しかし、下値では国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、106.90円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、週末を引けた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、106.80円付近まで下落した。その後は、106.85円付近でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

アジアの地政学リスクは上昇

1950年6月25日午前4時(韓国時間)、北朝鮮軍は、宣戦布告なしに北緯38度線を越えて砲撃を開始し、30分後には約10万の朝鮮人民軍が38度線を越えて侵軍し、朝鮮戦争(1950年6月25日-53年7月27日)が勃発した。
1962年10月、中国軍が中国とインド国境の東部と西部で軍事行動を開始、インドも『祖国防衛』を呼びかけ応戦したことで、宣戦布告なき戦争状態『中印国境紛争』が勃発した。
2020年6月16日、北朝鮮は、韓国との雪解けのシンボルだった南北共同連絡事務所を爆破し、インド軍は、越境を巡り数週間前から中国軍とにらみ合いが続いていた国境付近で衝突が起き、兵士20人が死亡したと発表した。
 核弾頭を130-140保有するインド、280保有する中国、そして、40程度保有すると言われる北朝鮮の周辺で狼煙が燻り始めており、リスク回避要因となる。

 

米中高官ハワイ会談の両国の温度差

中国国営新華社は18日、米ハワイ時間17日に開催されたポンペオ米国務長官と中国外交トップ楊潔チ(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員との会談について『米中関係や世界や地域問題など種々意見交換し双方の立場を明示、両国首脳が達した共通認識の実行に向け行動し、接触や意思疎通を継続することで合意した』と『建設的な対話ができた』と報じた。なお、中国外務省報道官は、楊政治局員が米国に対し、主張した内容を公表し、①米中関係を協調・協力・安定した関係に戻す、②台湾は『1つの中国』原則が米中の政治的基礎、③香港と新疆ウイグル自治区については中国主権を尊重し内政干渉を止めるよう求めたー等中国側の主張を公表した。

一方で、トランプ米大統領は18日、米国は中国との完全なデカップリング(分断)という選択肢を維持していると述べ、中国との関係を絶つことも辞さない構えをあらためて示した。

 

英イングランド銀行の金融政策委員会では量的緩和拡大

英イングランド銀行(BOE)は18日の金融政策委員会で、政策委員9人のうち8人の賛成多数で量的緩和の拡大を決定した。国債や社債買い入れ枠を1000億ポンド(約13.4兆円)増額し、総額7450億ポンドに引き上げ、金融市場に大規模な資金供給を続け新型コロナウイルス蔓延で打撃を受けた経済を下支えする。BOEは3月に2度の緊急会合で政策金利を0.75%から引き下げ、資産購入枠を2000億ポンド増やし、4月以降は毎週140億ポンドの債券を購入、今のペースで7月初めにも上限に達する。なお、政策金利は過去最低の年0.1%に維持された。英中銀は声明で、新たな上限に達する時期を『年が変わる頃』とし購入ペースの減速を示唆した。

 

問題が残るなかでの7月1日のUSMCA発行

7月1日に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の発行が迫るなか、以前より発行前の米・メキシコ首脳会談を提案していたロペスオブラドール大統領だったが、定例記者会見で、新型コロナウイルスの国内での感染拡大を受けて会談が行われる可能性は低い旨を伝えた。USMCAについては、先日も米石油協会(API)がメキシコでの米投資家による燃料補給・貯蔵施設や輸入ターミナルの利用許可が下りづらくなっている点についてUSMCA条項に違反する行為なのではとの指摘があった。こういった問題解決のためにも、両首脳の会談は意見の擦り合わせの場として良い機会だったが、問題が残るなかでの発行となりそうだ。

 

米労働市場の回復の遅れが消費の伸びを抑制する可能性も

米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数が予想ほど減少しなかったため、パウエルFRB議長が警告しているとおり労働市場の回復の遅れが懸念される。雇用の鈍い回復は米国経済をけん引する消費の伸びも抑制する可能性がある。パウエル議長は16日、17日に開催された上下院での半期に一度の金融政策に関する議会証言で、5月雇用統計や小売売上高など予想を上回る米国経済指標の結果に『米国経済は回復開始の初期段階』との判断で、7月にかけて強い雇用の増加を予想しているとの見解を示したものの、経済が危機前の水準を依然大幅に下回っており、FRBは現時点では利上げを考えることも考えておらず、バランスシートの縮小に踏み切るまでにはかなりの時間がかかるとした。2500万人の失業者を復職させるのは容易ではなく時間がかかると警告し、大規模緩和の継続や追加緩和も厭わない視線を示した。同時に、議会にも失業者や小企業を支援するために財政支援が不可欠になると訴えた。

 

欧米イベント

○15:00  5月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比5.7%/前年比▲17.1%)
      英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比4.5%/前年比▲14.4%)
○15:00   5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%)
○17:00   4月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:4.50%に引き下げ)
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:1030億ドルの赤字)
○21:30   4月カナダ小売売上高(予想:前月比▲15.1%/自動車を除く前月比▲13.5%)
○23:15   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○20日01:00   5月ロシア失業率(予想:6.2%)
○20日01:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○20日02:00   パウエルFRB議長、メスター米クリーブランド連銀総裁、イベントに参加
○スウェーデン(夏至祭)、休場
〇欧州連合(EU)首脳テレビ会議

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