FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中の高官会談で安心感が広がり下げ幅縮小

前場は前日のNYダウ170ドル安の反落や1ドル106円台後半の円高進行が嫌気された。また、北京市や米国一部州コロナ感染再拡大に経済再開鈍化を警戒した売りが優勢となった。さらに『ウイグル人権法』(少数民族弾圧で中国制裁に道を開く)成立による米中関係悪化も相場の重荷となった。後場になると、日銀のETF買入期待や、米中のハワイでの高官会談を受けた一定の安心感が支えになり下げ幅を縮小した。結局、前営業日比100円安の2万2355円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、テキサス州やフロリダ州などで新型コロナの感染者が急増していることが嫌気され、106.70付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時300円を超えたことや米長期金利が低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。しかし、12日に付けた106.59円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き、106.90円付近へ値を持ち直した。午後は、今晩の米株価動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がり、106.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢参入待ちの様相となっている。

 

米中高官ハワイ会談:建設的な対話と報じられる

中国国営新華社は18日、米ハワイ時間17日に開催されたポンペオ米国務長官と中国外交トップ楊潔チ(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員との会談について『米中関係や世界や地域問題など種々意見交換し双方の立場を明示、両国首脳が達した共通認識の実行に向け行動し、接触や意思疎通を継続することで合意した』と『建設的な対話ができた』と報じた。なお、中国外務省報道官は、楊政治局員が米国に対し、主張した内容を公表し、、1)米中関係を協調・協力・安定した関係に戻す、2)台湾は『1つの中国』原則が米中の政治的基礎、3)香港と新疆ウイグル自治区については中国主権を尊重し内政干渉を止めるよう求めたー等中国側の主張を公表した。

 

英国では金融政策決定会合を開催:資産購入プログラム規模拡大を予想

英政府統計局が17日発表した5月の消費者物価指数(CPI)が4年ぶり低水準にとどまり、英国中銀が本日予定している金融政策決定会合で資産購入プログラムの規模を拡大するとの予想をさらに強める結果となった。市場は英中銀が資産購入プログラム規模を現状の6450億ポンドから7450億ポンドに拡大を予想している。

 

欧州の新車販売台数は最悪を脱するも回復鈍い

欧州自動車工業会(ACEA)が17日に発表した5月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は前年同月比57%減の55万8502台だった。新型コロナウイルス対策で多くの販売店の営業が制限された4月の下落率(80%)から縮小したが、米国や中国と比べ回復は鈍い傾向にある。欧州は5カ月連続で前年割れし、2カ月連続で18カ国すべてが2ケタ減となった。主要市場のドイツ、フランスとイタリアでいずれも50%減だった。英国は89%減、スペインは73%減と激しい落ち込みが続く。

 

住宅関連指標は回復傾向でも予想を下回る結果

米商務省が発表した5月住宅着工件数は前月比+4.3%の97.4万戸と4カ月ぶりのプラスに改善した。しかし、予想110.0万戸は下回った。今後の住宅着工件数の先行指標となる5月住宅建設許可件数も前月比+14.4%の122万戸と4カ月ぶりのプラスとなった。市場予想124.5万戸を下回った。住宅市場も回復基調ながら遅いペースとなりそうだ。

 

バイデン支持率上昇:今年最大の開き

ロイター/イプソスの世論調査によれば、11月大統領選挙でのバイデン民主党候補への支持が48%と共和党トランプ大統領の35%を13ポイント上回り、今年の調査で最大の開きとなった。トランプ大統領の仕事ぶりへの不支持は57%、支持は33%と議会が弾劾調査を行っていた昨年11月以来の低水準となった。白人警官の暴行による黒人男性死亡事件を受け全米で抗議活動が続き、同調査では3分の2が抗議に同情的だった。

 

米国とメキシコの関係悪化への懸念が浮上

メキシコのロペスオブラドール大統領が15日の記者会見で『要請があれば、人道的理由でベネズエラに対してガソリンを販売する』と述べたことが話題に挙がっている。現在、ベネズエラでは米国からの制裁と経済危機により石油精製所を効率的に運営することができず、深刻なガソリン不足に陥っているが、先月にはイランが燃料タンカー5隻をベネズエラに送り、1隻がベネズエラに到着したとの報道が伝わった。米国がベネズエラに対して厳しい経済制裁を課すなかでの支援行為に対して、米国ではイランを警告するなど緊張感が高まっていたが、ここへきて両国が良好な関係であったメキシコがベネズエラに対して人道支援を行うことに対して、米国とメキシコの関係悪化への懸念が浮上している。今のところ米国側からの正式な見解は聞かれていないが、実際にメキシコがガソリンをベネズエラに販売した場合、米国からの何らかの対応は避けられないと見られ、同問題には今後も注視する必要がある。

 

FRBは危機体制は崩さない方針:パウエル米FRB議長議会証言

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日間にわたる上下院での半期に一度の金融政策に関する証言において、いまだに危機体制を崩していないことを明らかにした。議長は最近見られる予想を上回る米国経済指標の結果に『米国経済は回復開始の初期段階』との判断で、7月にかけて強い雇用の増加を予想しているとの見解を示した。しかし、経済が危機前の水準を大幅に下回っており、FRBは現時点では利上げを考えることも考えておらず、バランスシートの縮小に踏み切るまでにはかなりの時間がかかるとした。このため、回復を支援するためにかなりの長期間、ゼロ金利や量的緩和(QE)を据え置く必要があるとの考えを繰り返した。『現状で、バランスシートの規模を懸念すべき時ではない』とし、必要とあれば追加措置の可能性も除外しない考えを示した。追加金融政策の手段では、『イールドカーブコントロールの導入に関して決定はしていない』としたほか、『マイナス金利は米国にとり適切ではない』との見方を改めて明らかにしている。

 

欧米イベント

○16:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは7450億ポンドに引き上げ)
○20:00   MPC議事要旨
○21:30   4月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲12.6%)
○21:30   6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲23.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:130.0万件/1980.0万人)
○22:00   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比2.3%)
○19日01:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19日01:15   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(19日まで)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件

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