FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀とGPIFの買い思惑から下げ幅縮小

新型コロナ感染拡大『第2波』懸念から前日のNYダウ1800ドル超安の過去4番目の下げ幅に投資家心理が悪化しこれまで急ピッチで上げただけに利益確定売りが膨らみ全面安の展開となった。ただ、米国株先物が堅調推移したことから、中盤から戻り歩調となった。また、利益確定売りが重荷になる半面、日銀のETF買いや年金積立金管理独立行政法人(GPIF)に代表される公的年金による買いに思惑が広がり、下値を支えた。結局、前営業日比167円安の2万2305円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下一服でドルの買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時600円を超えたことが嫌気され、106.59円付近まで下落した。仲値に向けて国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。しかし、前日の海外市場でつけた約1ヵ月ぶりの安値106.58円付近が意識され下げは一服した。その後は、米長期金利上昇を眺めたドルの押し目買いが入り、106.80円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価が下げ幅を縮小すると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、107.33付近まで上昇した。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1310ドル付近へじり高となった。

 

欧州市場では4月ユーロ圏鉱工業生産が公表

4月については、ウイルス感染の拡大を抑制するために欧州各国で導入された都市封鎖などの影響を全面的に受けることから、2ヵ月連続で大幅な減少となる可能性が高い。

 

米ZOOMが中国から圧力を受けた可能性

仏AFPは10日、ZOOMでビデオ会議を開いた米・人権団体の有料アカウントが、一時的にではあるが何の説明もなく停止されたことを報じた。同人権団体は、『1989年6月4日の中国・天安門事件』を振り返るビデオ会議を開催し、中国からも含めて250人以上が参加したもよう。その会議の1週間後にアカウントが閉鎖された。アカウント停止により影響を受けた人権活動家らは、米ズームが中国から圧力を受けた可能性があるとしている。ズーム広報の発表『会議が複数の国にまたがって実施される場合、各参加者はそれぞれの国の法令に従うことが求められる』が報じられているが、人権団体が求めた具体的な閉鎖理由については回答がない。

 

メキシコの格下げには注意:通貨下落の可能性高まる

新型コロナウイルスのパンデミックによって、メキシコでは深刻な景気低迷に直面しているが、こうした状況でメキシコ国債が投資適格級を失う可能性も視野に入ってきている。現状、3大格付け機関(フィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、S&Pグローバル・レーティング)のうち、もっともメキシコの外貨建て長期債務格付けが低いのはフィッチで『BBBマイナス』である。ジャンク(投機的)級の1段階上に当たります(見通しは「安定的」)。
続いてS&Pが『BBB』でジャンク級の2段階上、ムーディーズが『Baa1』で3段階上の評価となっているが、両社はともに格付け見通しを『ネガティブ』としており、今後格付けが引き下げられる可能性もある。今後メキシコが投資不適格とされるとメキシコ国債などが売り圧力にさらされ、メキシコからの資金流出が一層進む可能性も高まる。メキシコペソにとっても当然ながらマイナスの影響を受けることになる。

 

米FRBの金融政策決定のポイントは失業率の動向

米連邦準備制度理事会(FRB)は最大雇用、物価安定という2つの責務達成を目指し金融政策を決定する。パウエルFRB議長は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で長期インフレ期待が比較的安定しており、インフレも目標の2%割れで推移していると、インフレの急伸などには懸念を示さなかった。一方で、失業率が長期にわたり高止まりすることを警戒している。このため、今後の金融政策決定において、失業率の動きが鍵を握ることになる。パウエルFRB議長は5月の雇用統計の結果はポジティブサプライズだったが、2200万から2400万人の失業者の雇用を復活させる必要があり、容易に回復するとは見ておらず、『労働市場の回復は先が長い』との見方を示した。また、労働市場に回復が見られるまで緩和措置を継続していくとした。FOMCメンバーは2022年に失業率が5.5%と5%台に戻ると見ており、それまでは、ゼロ金利を据え置く見込みである。

 

米国市場では6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報が公表

5月確定値は72.3で速報値から下方修正された。期待指数確定値は65.9で2013年以来の低水準となった。6月については、経済活動の再開を受けて改善する見込みだが、5月の期待指数が市場予想を下回っており、大幅な改善は期待できない。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲18.4%)
○15:00   4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:110.0億ポンドの赤字/55.00億ポンドの黒字)
○15:00   4月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲15.0%/前年比▲19.3%)
      製造業生産高(予想:前月比▲15.6%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比0.2%)
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:45億ドルの赤字)
○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲10.5%)
○18:00   4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲18.5%/前年比▲28.8%)
○20:00   ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲45.0%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:80.0%)
○21:30   5月米輸入物価指数(予想:前月比0.6%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:75.0)
○ロシア(ロシアの日)、休場

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