FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外勢の売り物の買い戻しで上昇

前日までの上昇で高値警戒感が強くなっているほか、週末とあって見送りムードも生じたことで、利益確定売りが先行した。ただ、押し目を各動きも散見され、大きく崩れる雰囲気もなかった。後場になると、先物にまとまった買いが入った。市場では、『来週のメジャーSQ算出日に向け、これまで売っていた海外勢が買い戻したのではないか」との声が聞かれた。また、このところ日銀が通常のETFを買い入れていないことから、買いが入ったのではないかとの思惑も一部に出ていた。結局、前日比167円高の2万2863円と5日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:主要通貨に対してドル安・円安の展開継続

ドル/円は、世界的な景気回復を期待したドル買い・円売りが先行し、109.25付近まで上昇した。しかし、4月6日に付けた109.38円が上値の目処として意識され、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食い売りに押されて109.05円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業のドル売り・円買いも散見された。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めたドル買い・円売りが入り、109.30円付近へじり高となった。ユーロ/ドルは、前日にECB理事会がバンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の増額・期間延長を決定したことが好感され、1.1370ドル台へ上昇した。

 

日本は増税とコロナウイルスで消費落ち込み最大

総務省が発表した4月の家計調査で1世帯あたりの2人以上世帯の消費支出は前年同月比11.1%だった。減少率は比較可能な2001年以降で過去最大となった。増税後の消費低迷の中、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で下押し圧力が強まった。個人諸費は5月も含めた2ヵ月で約22兆円が消えたとの試算もある。今後の経済活動の再開は一進一退が予想され、個人消費の回復には時間がかかりそう。

4月の家計調査では、パック旅行費が97.1%減、遊園地入場・乗り物代が97.8%減、バーなどの飲酒代が90.3%減、マッサージ料金が55.4%減と緊急事態宣言による外出・営業の自粛が響いた。5月も同様の状況が続くとみられ、市場では『2019年は改元に伴う10連休もあって消費が伸びたため、今年5月は前年同月比でみると反動で落ち込みが大きくなる可能性もある』との見方が多い。

 

トルコの現況:外貨準備高の枯渇リスク残る

トルコ政府は、今月にも約40カ国と渡航制限を緩和する方針を発表しており、重要な外貨獲得手段である観光業にとっても光が見えてきた。なお、イランと米国が捕虜交換に合意したと伝わっており、両国関係の改善に繋がることが期待される。そうなれば、イランと地理だけではなく経済的にも近いトルコにとってもポジティブ要因となる。トルコの対外関係では、エルドアン大統領が昨日、東地中海におけるリビアとの資源開発協力について言及した。これまでも、同海域でトルコが行った掘削作業に対し、ギリシャやキプロスは強く反発してきた。トルコが作業範囲を広げるようならば、ギリシャやキプロスが加盟する欧州連合(EU)から非難の声が高まるのは避けられそうにない。また、トルコ中銀の外貨準備高不足は依然としてリラ相場の懸念材料となっている。中銀が昨日発表した5月29日時点での外貨準備高(グロス、金保有高を除く)は、543.6億ドルと前週比で2.22%減、年初来だと33.9%減となった。期待されていた他国との通貨スワップ枠の設定や拡大は、今のところカタールのみとなっている。

 

米国労働市場の早期回復期待が後退 

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は前週比‐24.9万件減の187.7万件となった。経済封鎖以降初めて200万件を下回ったことは好感されている。しかし、予想183.3万件を上回ったほか3月21日の週から11週の申請件数は4300万件に達した。失業中の人数をより正確に見極められると注目度が高い失業保険継続受給者数は2148.7万人で、5月8日の週に2491.2万人のピークから減少傾向にあるものの、前週から予想外に64.9万人から再び増加した。経済再開にともなう再雇用が思うように進んでいない可能性が示唆された。
米国経済の7割を消費が占めるため注目されていたISM非製造業景況指数の5月分の雇用も31.8と4月の30.0から小幅の上昇にとどまっている。このような低調な結果は、先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分が予想を大幅に上回ったことと相反する。
労働市場が最悪期を脱したことは明らかだ。ただ、雇用ぺースが依然遅いことは経済のリスクとなる。パウエルFRB議長やエコノミストは一時解雇が恒久的な解雇になることが経済へのリスクのひとつとして挙げている。

 

米国市場では5月雇用統計が公表

5月雇用統計は市場エコノミスト平均予想で非農業部門雇用者数が前月比800万人減と過去最大の減少となった4月の2053.7万人減から回復が見込まれる一方で、失業率は19.5%と、大恐慌以来で最高に達する見通しとなっている。先行指標として注目の民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分は276万人減と、過去最大に落ち込んだ4月の1955.7万人減から予想900.0万人減以上に改善したため、米国経済の速やかな回復期待も広がったほか、6月にも雇用が増加するとの期待も浮上している。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独製造業新規受注(予想:前月比▲19.9%/前年同月比▲29.7%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲50.00万人/失業率15.0%)
○21:30   5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化▲800.0万人/失業率19.8%/平均時給、前月比1.0%/前年比8.5%)
○23:00   5月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00   5月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○6日04:00   4月米消費者信用残高(予想:▲200億ドル)

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