FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中東情勢緊張を嫌気して売り優勢

米国のイラン核合意離脱表明を受けた中東情勢緊張を警戒した海外投資家からのリスク回避の売りが優勢となった。また、医薬品株が軒並み安となったことで、株価全体を押し下げた。結局、前日比99円安の2万2408円と反落して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は109円台半ばのもみ合い相場

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、じり高が継続した。その後も、複数のメディアが『リクルートHD,米オンライン求人サービス会社グラスドアを12億ドルで買収すると発表』と報じられると、さらにドル買い・円売りが進んだ。午後は、株価をにらみながら109円台半ばで取引された。ユーロ/ドルは、1.18ドル半ばで方向悪寒に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

注目されていたトヨタ自動車決算は警戒感を払拭

トヨタが発表した業績は、かなり好感のできる内容となった。2019年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が2兆3000億円となり、市場予想の2兆2122億円を上回った。4月27日に同業のホンダが市場予想を大きく下回る営業利益予想を出していたため、トヨタについても事前の警戒感が高まっていたが、払拭される展開となった。19年3月期の想定為替レートを1ドル=105円と、現在の市場実勢の109円台よりも保守的に見積もっているにも関わらず、これだけの数字を出してきたことは好材料となった。

 

日本株は需給相場で上値重い

衆院解散の観測が浮上し『アベノミクス』継続への期待から相場が上昇基調に乗った17年9月から、今年5月8日までの日経平均先物の累積売買高は価格帯別(250円刻み)でみると22,250~22,500円の価格帯が約108万枚と突出して多い。同期間の累積売買高の13%を占め、金額換算では約24兆円になる。相場がこの水準に入ってくると戻り待ち売り圧力が高まる。また、海外投資家は今年1月から3月にかけ先物を約6兆円売り越した。3ヵ月の日経平均先物の売買加重平均価格は約22,300円となる。先物を売った海外投資家にとっては『平均売りコスト』になる一方、国内金融機関や個人などの押し目買いを入れた主体にとっては『平均買いコスト』になる。そのため、相場の下落局面では押し目買い、上昇局面では戻り売りの要因となる。

 

新興国通貨の選別色が強まる

アルゼンチンを巡る混乱をきっかけに経済基盤の脆弱な国を敬遠する傾向が強まってきた。アルゼンチンと同様に経常赤字と高いインフレ率に悩むトルコのリラにも先安感が再燃している。アルゼンチンでは米長期金利上昇をきっかけに対ドルでのペソ安が進み、中銀は通過防衛のための連続利上げを迫られた。政策金利は5月4日にはついに年40%に達したが、それでも通貨安は収まらず、8日には国際通貨基金(IMF)に支援を求めた。ペソの下アク圧力はひとまずおさまったものの、今ペン的な原因であるアルゼンチン経済の脆弱が変わるわけではない。

 

NY市場の原油価格はフェイクニュースで乱高下

NY市場では、トランプ大統領が『イラン核合意』の離脱を正式に表明した。そのイラン合意を巡っては、CNNが『離脱しない可能性』を報じたかと思えば、NYタイムズが『トランプ大統領がマクロン仏だ何時お良に離脱の意向を伝えた』とのヘッドラインが出た。市場では『本当にフェイクニュースはどっち?』と色めきだったが、結果的に元祖フェイクニュースのCNNに軍配が上がった。このニュースに直線影響を受けたのは、WTI原油先物市場だった。CNNニュースを受けて一時67.63ドルまで急落した。ただ、NYタイムズの報道をきっかけに急速に70ドル台を回復するなど、かなり乱高下した。アジア伊時間に入っても、『変に売り込んでしまった』向きが多かったこともあり、70.72ドルまで高値を更新した。

 

欧米イベント

○15:45   3月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%)
○23:00   3月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○10日02:00   米財務省、10年債(250億ドル)入札
○10日02:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10日06:00   ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○英中銀金融政策委員会(MPC、10日まで)

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