FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:国内経済活動の再開期待から買い優勢

国内経済活動の再開期待が支えとなり米中対立警戒が一旦後退したとの見方も広がり海外投資家による先物への断続的な買いが入り上げ幅は一時280円を超え2月27日以来約3ヶ月ぶりに2万2000円台に乗せた。しかし、後場に入ると新規の売買材料が乏しく、直近で急ピッチに株高が進行したことを背景に短期的な過熱感が意識され、利益確定売りが出て上値を抑えた。結局、前週末比184円高の2万2064円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:全米各地に拡大する抗議デモを嫌気したドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、107.86円付近まで上昇した。しかし、29日のNY市場で付けた107.89円が上値の目処として意識されると、上げ幅は一服した。その後は、白人警官の暴行で黒人男性が死亡した事件をめぐり、抗議デモが全米各地に拡大していることが嫌気され、107.65円付近へじり安となった。午後は日経平均株価の伸び悩みや米長期金利の低下を眺めたドル売り・円買いが入り、107.52円付近まで軟化した。しかし、今晩発表される5月米ISM製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気から下値を追う動きは限られ107.55円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.114ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となった。

 

世界では国内企業を守る保護主義が台頭

新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷や中国の影響力拡大を背景に主要国で外国からの投資を制限する動きが強まっている。コロナ危機の発生以降、世界では自由市場を掲げる国が巨額の補助金を投入し、ハイテクや鉱山、製薬など、自国の有力企業を安値で買い上げようと狙う外国資本への防御策を強化している。
これまで国外の投資家を受け入れてきた英国もここにきて、中国系企業による国内ハイテク企業の買収を阻止し、こうした保護主義的な動きに加わった。

 

移行期間延長なければ英国のEUからの『合意なき離脱』のリスク高まる

英国のEU離脱を受けた新たな貿易協定の交渉が難航している中、年末までとなっている移行期間を延長するかどうかを決める期限が6月末に迫っている。今後の通商関係をめぐる交渉は続いているものの、ほとんど進展が見られていない。交渉は6月1日に再開する予定だが、交渉継続の是非を判断する6月の英・EU首脳会議まで交渉ラウンドは1回しか残されていない。英政府は今も移行期間の延長を要請しない姿勢を維持しており、ジョンソン英首相は6月の首脳会議まで十分な進展がない場合、交渉を打ち切る考えを示している。そうなると、移行期間内でEUとの貿易協定を結べず、『合意なき離脱』の状態になる。新型コロナの感染拡大で大きな打撃を受けている英経済は一層厳しい局面を迎えることが予想される。

 

南アランドの再下落には注意が必要

南アフリカも他国同様にロックダウンの水準をレベル4からレベル3に引き下げる。これにより800万人程度の労働者が仕事に復帰するとされている。新型コロナウィルス感染の第2波の恐れはあるが、目先は南ア株が上昇すればランド/円も先週同様に堅調に推移する可能性がある。しかし、南ア経済は決して回復傾向にはない。失業率も50%を超えると言われ、どの格付け会社からも投資不適格の烙印を押されたままで、株価や原油価格の上昇トレンドが停止すると、再びランド/円は下値模索の展開となりやすい。

 

米国ではロックダウン前後にも人種差別の事件

5月25日に米ミネソタ州ミネアポリスで無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイドさんが、警察に膝で首を抑えられて死亡するという事件が起きた。そしてこれに抗議するかたちでミネアポリスでは暴動が起こった。しかし、このロックダウン前後にも、ジョギング中の黒人男性が白人親子に撃たれる事件、セントラルパークで犬を虐待している白人の動画を撮影している黒人に対し、その白人が警察に黒人に襲われていると通報した事件など、人種差別の事件が多数おこりどれも動画で拡散された。それ以前にも車に乗っているだけで撃たれるなど、白人警官の黒人に対する過剰暴力は問題になっていた。

 

米国のデモは頂門の一針になる可能性も

火元のミネソタの失業率は8.1%と全米で2番目に低い。それにもかかわらず炎上したのはデモの『聖地』として、州外から経済的な理由を含め様々な不満を募らせた人々が集まっためである。ミネソタ州セントポール氏のカーター市長は『暴徒化し逮捕された人は皆よそから来ていた』と語った。失業率上昇はトランプ政権批判につながる。当然、11月の大統領選で接戦が予想される州では与党不利・野党優位に働く。とりわけ、トランプ米大統領が前回2016年の選挙で辛うじて勝利したミシガンの失業率は22.7%、ペンシルべニアは15.1%と高く、各州に割り当てられた選挙人の数も比較的多い急所である。こうした州で、ひっくり返されるようなことになればトランプ氏の再選は厳しくなる。市場が再選は難しいとの判断に傾けば、株式市場の金融緩和期待は低下し、不況下の株高というバブルはしぼむ。コロナバブルに踊る市場にとって、米国のデモは頂門の一針になる可能性がある。

 

米国市場では5月ISM製造業景況指数が公表

4月実績は41.5だった。新規受注指数と雇用指数は大幅な低下を記録した。5月については、雇用指数がさらに低下する可能性があること、新規受注については、過半数の企業が4月実績との比較で大幅な改善は期待できないことから、全体的には4月実績をやや上回る水準にとどまる見込となっている。

 

欧米イベント

○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:40.3)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:36.8)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:39.5)
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:40.8)
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:40.0)
○23:00   5月米ISM製造業景気指数(予想:43.5)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比▲6.0%)
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支
○ノルウェー、スイス、ドイツ(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、フランス(五旬祭翌日の月曜日)、休場

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