FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済活動再開で出遅れ株への買い戻し

新型コロナウイルス感染に対する緊急事態宣言が全面解除され経済活動再開への期待が広がり空運株や鉄道株など出遅れ銘柄中心に買いが入り約3ヶ月ぶりに2万1000円台に乗せた。朝方から幅広い銘柄が買われ2万1000円台を回復、その後も一段高となった。市場では『節目と見られていた2万1000円を上抜け、買い戻しが入りやすい水準となった』との指摘があった。結局、前日比529円高の2万①②⑦1円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108.00円の上値の重さを確認

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、107.92付近までじり高となった。NY原油先物が時間外取引で上昇したことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、心理的節目の108.00円はドル売り・円買いオーダーが厚いとみられ、上げは一服した。その後は、短期筋の利食い売りも散見され、107.85円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価を睨みながら、107.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。休場明けとなる米国の株式市場や経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国当局による人民元安誘導は円高要因になりやすい

中国では22-28日にかけて共産党政府が全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を開催しているが、開会直後に香港に国家安全法の制定を義務付ける新たな法案が提出された。米トランプ政権は強く非難しているほか、香港では抗議デモが広がっている。全人代では28日の閉会前に採決が行われる予定であり、米中対立やデモの激化に神経質となる地合いが続いている。25日には中国人民銀行による人民元の基準レートが、12年ぶりの人民元安・ドル高水準に設定された。米中対立を受けた市場主導の中国からの資本流出懸念と人民元売り圧力のほか、中国当局による米国牽制と輸出テコ入れのための人民元安誘導という2つの側面が意識される。いずれにしても人民元の下落は、リスク回避の円高要因となりやすいので注意が必要となる。

 

欧米景気の先行き回復に対する期待感だけが市場を支える状態

引き続き欧米での感染の沈静傾向に大きな変化はない中で、景気の先行き回復に対する期待が市場を支えた。もっとも、足元の経済指標は、ロックダウン下で景気が記録的に落ち込んでいることを確認するものばかりで、先行きの回復が力強いものとなることを示唆する統計はまだ確認されていない。加えて、コロナ問題などを巡っての米中関係の悪化懸念なども一段と強まったこともあり、全般的には方向感に欠ける展開となっている。これまで発表されている経済統計からは、①. ロックダウン下の影響による景気の落ち込みは過去最大級で、おそらくは市場が織り込んでいた以上に厳しかったこと、 ②先行して経済活動がほぼ制限なく再開されている中国の経済指標からは、再開後の経済活動の回復が弱いことなどが見て取れる。こうしたことから、欧米において感染者のピークアウトが見え始めた4月中旬以降からの、年後半の景気のV字回復的な期待は、相当程度後退している。好材料を多く織り込み、追加の好材料が出てきにくい環境下のマーケットは、マイナス材料に過度に反応する傾向がある点には要注意となる。

 

メキシコの経済活動再開は早過ぎのリスクが潜在

国内情勢としては非常に厳しい状況となっている。自動車産業については徐々に活動を再開する動きを見せているほか、主力のビール産業も6月からの活動再開を目指している状況ですが、新型肺炎の感染ペースは留まるところを見せていない。欧米などは感染拡大が落ち着いたことを確認して経済を再開しているが、メキシコの場合、急ぎ過ぎていることを指摘する専門家が圧倒的多数となっている。そのようななか、自動車産業については、フォルクスワーゲンやアウディなどの主要工場があるプエブラ州が活動を再開できる状況ではないとの見解を先週末に示した。その発表に対して、自動車業界団体は段階的な再開を認めるようにプエブラ州知事に要請するなど政府内はもちろんのこと、州ごとでも新型肺炎に対する意識の違いが鮮明になっている。たしかに経済再開に伴う期待感がペソ相場を支えることは確かだが、今回の急ぎ過ぎた活動再開で払った代償を今後のリスクと捉える市場参加者が多いことも事実である。

 

米国の雇用回復遅れで景気回復に遅れも

この春に解雇された人々の大多数は、かなり早い時期に仕事に戻れると思っていた。しかし、多くの人にとってそれは都合の良い考えだったことが明らかになりつつある。全米各州が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)前の常態に戻るよう奨励するなか、飲食店や工場などは、再開を認められてもそうしないか、スタッフを減員して再開すると述べている。パウエル米FRB議長は米経済の回復に1年以上かかりかねないと警鐘を鳴らしている。

 

米国市場では5月消費者信頼感指数が公表

4月実績は86.9に急低下した。新型コロナウイルスの感染拡大や外出制限などの影響で経済情勢は大幅に悪化したことが要因だった。5月については経済再開への期待が広がっていることから、やや改善する見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲18.9)
○18:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:00   1-3月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲1.6%/前年比▲1.6%)
○21:45   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:00   3月米住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
       1-3月期米住宅価格指数
○22:00   3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.4%)
○22:00   4月ロシア失業率(予想:5.5%)
○23:00   4月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲23.4%/48.0万件)
○23:00   5月米消費者信頼感指数(予想:88.0)
○27日02:00   米財務省、2年債入札
○27日02:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○27日06:00   ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、証言
○トルコ(砂糖祭)、休場

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