★日経平均株価:NYダウ先物の下げ幅拡大を嫌気
朝方は、米FRBパウエル議長が新型コロナウイルスによる米景気下振れリスクを強調し前日のNYダウが516ドル安の3日続落を嫌気して景気敏感株中心に売りが優勢となり21年3月期の業績予想『未定』企業が相次ぎ業績先行き不透明感も相場の重荷となった。その後は、日銀のETF買い観測が相場を支える一方で米景気悪化懸念にNYダウ先物が下げに転じアジア株式の軟調も投資家心理の重荷となりリスク回避ムードに拍車をかけた。結局、前営業日比353円安の1万9914円で終了した。5月8日以来の2万円割れとなった。5月1週の海外投資家は、1206億円の4週連続売り越しとなった。
★東京外国為替市場:108円台を中心に狭いレンジでのもみ合い
ドル/円は、前日にパウエルFRB議長が景気先行きについて厳しい見方を示したことから、持ち高調整などのドル売り・円買いが先行して106.82円まで下落した。日経平均株価の続落や米長期金利の低下もドル売り・円買いを誘った。しかし、前日につけた106.74円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き106.90円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価にらみながら、106.80円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、FRB当局者がマイナス金利導入に否定的な発言が相次いでいることで、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.08ドル台割れをうかがう展開となった。
★英国の4-6月期GDP成長率は大幅なマイナス成長を予想
英国の20年4-6月期GDP成長率が外出制限の影響で過去最大の縮小が避けられず、英中銀は前期比-25%、英予算責任局は-35%の大幅マイナス成長を予想している。
英国では3月に入り新型コロナ感染者が急増し、英政府は3月23日から外出禁止の封鎖経済を強化、スーパーなど一部を除く多くの商業施設が休業となりGDPの6割強を占める個人消費が冷え込んだ。なお、13日発表された20年の英国1-3月期実質GDP(速報値)は前期比-2.0%と新型コロナウイルスの影響で個人消費が3月に急減し落ち込み幅はリーマン危機直後08年10-12月期以来の大きさとなった。
生産面でも8割を占めるサービス業が1-3月期に前期比-1.9%と統計開始以来で最大の落ち込みだった。単月でみると3月は前月比-5.8%と2月の-0.2%から一気に悪化した。
★欧州連合(EU)の制限解除で第2波感染リスクが広がる
新型コロナウイルスの感染拡大で、欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、事実上停止していた加盟国間の移動の再開に向けた戦略を公表した。EU域内での感染者数の推移が落ち着いたことから、加盟国に徐々に制限を解除するよう提案した。夏のバカンスの時期を前に観光を一部解禁し、経済への影響を抑える狙いだ。
欧州委は解除にあたって、感染状況の改善に加え、移動先での予防措置の実施といった要件を考慮すべきだ、との見解を示した。そのうえで感染が抑えられ、十分な医療態勢を整えられている国は、徐々に国境を開くよう呼び掛けた。実際に制限を解除するかどうかは加盟国の判断になる。
★米国30年債入札は低調な結果
米財務省は過去最大の220億ドル規模の30年債入札を実施した。結果で最高落札利回りは1.342%。また応札倍率は2.3倍と、過去6回入札平均の2.4倍を下回り昨年11月入以来の低水準で、需要は弱かった。各国中銀を含む間接ビッドは65.7%と平均の63.8%を上回った。 低調な結果を受けて、米国債は伸び悩んだ。米10年債利回りは0.63%から0.65%へ上昇した。
★米FRBはインフレよりもデフレを警戒
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレよりも管理がより難しいデフレを警戒している。消費者物価指数(CPI)と同様、米労働省が発表した4月生産者物価指数(PPI)は前月比-1.3%と、予想-0.5%を下回り少なくとも2009年以来で最大の下落率となった。前年比では-1.2%と、予想-0.4%を下回り2015年10月来で最大の下落率となった。変動の激しい燃料と食品を除いたコアPPIは前月比-0.3%と3月+0.2%からマイナスに転じた。前年比では+0.6%と、予想+0.8 %を下回り2015年12月来で最低の伸びにとどまった。4月コアCPIは前月比-0.4%と、3月-0.1%から予想以上に低下し、下落率は1957年の統計開始以降最大を記録した。
★トランプ大統領は中国への制裁を検討
新型コロナ感染の終息が覚束ない中、トランプ大統領は何らかの形で中国の首を差し出さなければ自分の首が危うくなる。つまり、対中制裁という形で中国に『コロナ禍の責任』を取らせる以外にトランプ政権の浮揚は覚束ない。大流行(パンデミック)に直撃された米経済は、感染封じ込め都市封鎖(ロックダウン)により米4-6月期GDP-40%超の空前絶後の大幅マイナス成長が見込まれ、米4月失業率は14.7%と7人に1人が失業する1929年世界大恐慌後の最悪の景気悪化を余儀なくされた。そこでトランプ政権は新型コロナウイルスを『武漢ウイルス』と呼称、新型コロナが武漢ウイルス研究所から拡散した可能性の調査などを通じて何らかの中国への制裁を検討している。
★欧米市場イベント
○15:00 4月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.3%/前年比0.8%)
○15:30 4月インドWPI(予想:前年比0.30%)
○15:30 4月スイス生産者輸入価格
○16:00 3月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲4.0%)
○19:30 ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30 3月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲5.7%)
○21:30 4月米輸入物価指数(予想:前月比▲3.1%)
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:250.0万件/2510.0万人)
○24:00 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○15日00:15 ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○15日02:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○15日03:00 メキシコ中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き下げ)
○15日04:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
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