FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:トランプ米政権が中国への報復措置を検討との報道を嫌気

前日の米指標悪化にNYダウ288ドル安の反落を受けて改めて新型コロナウイルス感染拡大による急速な景気悪化懸念が意識されて売りが優勢となった。欧米株安を嫌気して寄り付きから2万円を割り込んだ。いったん2万円まで戻したものの、売り直されると下げ幅を拡大した。米国でアマゾンやアップルが時間外で下落したことも警戒材料となっており、下値模索が続いた。また、トランプ米政権が、新型コロナウイルスを巡り、中国への報復措置を検討しているとの報道も嫌気され下げ幅を拡大した。結局、前営業日比574円安の1万9619円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中関係悪化からリスク回避の円買い

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや原油高に支えられ、107.41円まで値を上げた。しかし、前日のNY市場でつけた107.50円が上値の目途として意識され、上げは一服した。その後は、日経平均株価の大幅安を嫌気したドル売り・円買いに押され、107.10円付近へじり安となった。トランプ米大統領が30日に『武漢の研究所が新型コロナウイルスの発生源になった可能性を確信しており、対中報復関税も検討している』と発言したことも、リスク回避の円買いにつながった。午後のこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが優勢となり、107.02円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、多くのアジア市場が休場で、海外勢の流動性が著しく低下していることもあり、1.09ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。

 

ラガルドECB総裁も来年までの経済の正常化は困難との見方

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利を据え置いた。 同時に、パンデミック対処で資金供給を拡大した。銀行向け新たなパンデミック・リファイナンスオペを発表した。条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO3)の条件をいっそう緩和した。金利を預金ファシリティレートの‐0.5%からさらに50ベーシスポイント引き下げ、実質-1%とした。拡大が予想されていたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模は7500億ユーロに据え置きとなった。 ただ、ラガルドECB総裁は一時的で的を絞ったPEPPを必要とあれば2020年以降も延長、または、規模の拡大や期間延長などで修正する準備があるとしたためユーロ売りが一時強まった。パウエルFRB議長と同じく、ラガルドECB総裁も少なくとも来年まで経済の正常化は困難との悲観的見方を示した。

 

トルコの景気低迷が深刻化・長期化する懸念

昨日発表された3月にトルコを訪れた外国人観光客数は、前年比67.8%減と大きく落ち込んだ。1-3月期の観光収入も前年同期比で11%超減少しており、トルコの重要な外貨獲得手段が失われつつある。3月トルコ貿易赤字も53.9億ドルと18年7月以来の赤字幅を記録した。 トルコと経済的結びつきが強いユーロ圏の1-3月期GDP速報値は前期比3.8%減とさえなく、くわえてラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は今年の成長率が最大で12%減まで低下する可能性を示唆した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でトルコの景気低迷が深刻化・長期化する懸念が拭えないなか、通貨リラを積極的に買い上げる地合いにはなりにくい。

 

新型コロナウイルスによる経済活動の制限が緩和方向へ

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため世界各国でとられてきた外出や経済活動を制限する措置について、新たな感染者数の減少を受けて制限の緩和に踏み切る国が相次いでいる。ヨーロッパでは感染者が増加するペースがゆるやかになっているとして、経済活動の再開が段階的に始まっている。このうち、ヨーロッパ最大の経済大国、ドイツでは先月20日から一部の店舗の営業が再開され、2万人を超える人たちが死亡したフランスやスペインでも、今月から段階的に商店や学校を再開させる方針。また、感染拡大の早い段階で外出制限に踏み切ったニュージーランドでも、先月28日から飲食店の営業などが再開された。東南アジアではタイが今月末まで非常事態宣言を延長する一方、各地で休業措置がとられている店舗について、3日から一部の営業再開を認めるとしている。

 

V字回復に繋がらないと米財政赤字の一段の悪化懸念

IMF見通しによれば、20年の米財政赤字はGDP比15.4%と、日本の7.1%やユーロ圏の7.5%を大幅に上回り、債務残高のGDP比131%は第2次世界大戦直後の1946年(119%)を超える。米FRBの無制限QE(量的緩和)に米10年債利回りは0.6%台に抑制され、2兆ドルの利払い費は年120億ドルと19年度(3750億ドル)の3%強にとどまる。だが、巨額の財政支出をコロナ『危機収束』と経済『V字回復』に繋げなければ財政赤字の一段の悪化が懸念される。

 

新債券王のジェフリー・ガンドラック氏の警告:株価は再び安値を試す可能性

債券ファンド『ダブルラインキャピタル』率いる『新債券王』の異名を取る著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏は27日CNBCに出演、経済再開に歓喜する投資家に対し、『急激な失業増大などこれから起こる社会不安を分かっていない』と警告し『(株価は)再び安値を試す可能性が高い』との相場観を示した。確かに、感染拡大は最悪期を脱し、3月23日に付けた1番底を割り込むとの見方は後退しているが、トランプ政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたケビン・ハセット氏は26日、米ABCテレビのインタビューで『米経済はかなり深刻な状況にあり、失業率は大恐慌以来、見たことない水準に達するだろう』と憂慮の念を示した。米FRBの保有資産は過去2ヵ月間で58.6%拡大して6.5兆ドルと前人未踏の域へ膨らみ、3月27日に成立した約2.2兆ドルの景気刺激策に加え、トランプ大統領は4月24日に4840億ドルの追加策に署名、『戦時下の大統領』としてウイルス戦争に果敢に挑む。だが、新型コロナ収束や景気回復を期待した足元の米国株の上昇は未だ危うさを孕んでいる。

 

米国市場では4月ISM製造業景況指数が公表

米4月ISM製造業景況指数は37.5と、3月の49.1から大きく落ち込む見通し。新型コロナウイルスの蔓延による製造業への悪影響が示され、先行きへの懸念から安全通貨のドルに買いが入りやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.3%)
○17:30   4月英製造業PMI改定値(予想:32.8)
○17:30   3月英消費者信用残高(予想:7億ポンド)
○17:30   3月英マネーサプライM4
○22:45   4月米製造業PMI改定値(予想:36.7)
○23:00   4月米ISM製造業景気指数(予想:36.0)
○23:00   3月米建設支出(予想:前月比▲3.5%)
○スイス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ポーランド、ロシア、トルコ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ(レーバーデー)、休場

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