FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短期筋による先物主導の買いが上昇をけん引

コロナ治療薬への期待の高まりなどから米国株が強く買われた流れを受けて、寄り付きから300円を超える上昇。早々に上げ幅を500円超に広げた。買い一巡後は動意が限られ、高値圏でのもみ合いが続いた。中国の4月財新製造業PMIが弱めで、11時前にはやや値を消す場面もあったが、ネガティブな反応は一時的ですぐに盛り返した。リスクを取りやすくなった短期筋による先物主導の買いが上昇をけん引した。結局、前日比422円高の2万0193円と終値としては3月6日以来、約2カ月ぶりに2万円台を回復した。

 

東京外国為替市場:ドルの上値が重くじり安の展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ106.88円付近まで上昇した。しかし、このところ低調な米経済指標が相次いでいることからドルの上値は重く、利食い売りなどに106.60円台へ押し戻された。午後に入ると、国内輸出企業などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、106.45円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドル売りにつながった。ユーロ/ドルは、海外時間に予定されている1-3月期ユーロ圏国内総生産(GDP)速報値やECB理事会を見極めたいとのムードが広がり、1.0860ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。

 

世界の金需要1%増:宝飾向けが減少する一方で投資需要が高まった

金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が30日に発表した1-3月の世界の金需要は1083.8トンと、前年同期を1%上回った。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした景気不安から、上場投資信託(ETF)など投資向けの需要が大きく増えた。金相場の高騰で宝飾向けは減った。分野別では、投資向けが539.6トンと前年同期と比べて239.1トン(80%)増えた。景気の先行き不安から安全資産とされる金の投資需要が高まった。世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高は、3月末で過去最高の3185トンとなった。一方、金相場の上昇による買い控えで、宝飾向けの需要は減った。1-3月は325.8トンと前年同期比207.6トン(39%)少なかった。新型コロナウイルス対策として広がったロックダウンも主要な重要国である中国とインドの買いを鈍らせた。

 

欧州市場では1-3月期ユーロ圏域内総生産速報値が公表

欧州委員会が3月13日に公表した予測によると、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、2020年の欧州連合(EU)の成長率は2.5ポイント押し下げられる見込み。1-3月期時点では感染被害の影響は限定的であるものの、ユーロ圏経済は当初の予想以上に縮小する可能性がある。

 

トルコが中国に擦り寄るなど中東の新たな火種に

トルコでは、感染対策を巡る政治対立を受けて有効策が打ち出せず、感染者数(累計)は11万人超と新興国で最大となっている。 エルドアン大統領は感染の一層の拡大が懸念されたラマダンについて、休日の外出規制強化に動く姿勢をみせている。今後はラマダン明けの収束が現実化出来るか否かに注目が集まる。他方、国際金融市場では一時のパニックは収束したが、経済のファンダメンタルズの脆弱さに加え、中銀による過度な金融緩和実施も重なり通貨リラ相場は弱含む展開が続く。 結果、資金流出に伴う外貨準備の減少が続き、今月17日時点の外貨準備高(ネット値)は259億ドルに留まり、足下ではゼロ近傍となっている可能性もある。 世界的に内向き姿勢が広がる一方、エルドアン政権はIMFへの支援要請を拒否するなか、今後は中国が支援に動くことも予想される。原油安で混乱が続く中東に新たな火種が生まれることも懸念される。

 

米国の過去最長の成長期が終了して景気後退入り

米商務省が発表した米国の1-3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率-4.8%と、2008年10-12月期以降で最大のマイナス成長に落ち込んだ。過去最長となった成長期が終了し、景気後退入りが示唆された。同期個人消費速報値は前期比年率-7.6%と10-12月期+1.8%からマイナスに落ち込み予想-3.6%も下回り1980年4-6月期以降40年ぶり最大のマイナスを記録した。4-6月期GDPはマイナス30%、40%と、歴史上最大に落ち込むと警戒されている。

 

FOMCでは当面ゼロ金利維持:長期の景気停滞回避目指す

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策、『必要な金額の国債やMBS(住宅ローン担保証券)購入』する無制限の国債購入策の据え置きを全会一致で決定した。 パウエルFRB議長は追加支援が必要になる可能性が強いとし、最も懸念しているのは長期的に経済が損なわれることだとし、抑制していくことを目指すとした。現状では債務の拡大を懸念する時期ではなく、まず経済を軌道に戻すことが最優先課題との見解を示した。パウエルFRB議長やFOMCは見通しに異例な不透明感があると、かなり慎重だった。治療薬やワクチンで不透明感が強く、経済活動が回復したとしても消費が元通りになる可能性は少ないとパウエルFRB議長は指摘。成長が回復しても危機前の状況に戻るとは見ていない。ただ、経済活動の再開が始まっているほか、新型ウイルスの治療薬の治験でその有効性にかなり期待が広がっており、治療薬やワクチンの速やかな開発成功で消費動向が改善した場合は、警戒されているほど成長が落ち込まない可能性は残る。

 

 

欧米市場イベント

○14:30   1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲4.0%)
○15:00   3月独小売売上高指数(予想:前月比▲8.0%/前年比▲4.8%)
○15:00   3月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.50%)
○15:30   3月スイス小売売上高
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.2%/前年比0.2%)
○15:45   3月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   3月仏消費支出(予想:前月比▲5.8%)
○16:00   4月スイスKOF景気先行指数(予想:63.5)
○16:00   3月トルコ貿易収支(予想:54億ドルの赤字)
○16:55   4月独雇用統計(予想:失業率5.2%/失業者数変化7万4500人)
○18:00   3月ユーロ圏失業率(予想:7.8%)
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比▲3.8%/前年比▲3.4%)
○18:00   4月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比0.1%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.7%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比▲1.5%/前年比▲2.0%)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   4月ノルウェー失業率
○21:00   3月南アフリカ貿易収支(予想:95億ランドの黒字)
21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   2月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比2.2%)
○21:30   3月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲2.0%)
○21:30   3月カナダ原料価格指数
○21:30   3月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲5.0%)
       3月米個人所得(予想:前月比▲1.5%)
       3月米PCEデフレーター(予想:前年比1.3%)
       3月米PCEコアデフレーター(予想:前月比▲0.1%/前年比1.6%)
○21:30   1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:350.0万件/1597.6万人)
○22:45   4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:37.7)

 

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