FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引けに掛けて下げ幅縮小

前日に500円超上げた反動で戻り待ちの売りが先行し大型連休や企業決算発表を控え機関投資家が様子見姿勢を強め時間外取引で米原油先物が一時1バレル10ドル台まで下落したことも投資家心理を冷やした。翌日の休場を前に上値の重さが意識される中、次第に売りが優勢になった。アジア株が弱めのスタートとなったことも手じまいムードを強め、下げ幅を3桁に広げた。前場の東証株価指数(TOPIX)下げ幅0.5%超で日銀ETF(上場投信)買い思惑からの買いや時間外取引の米ダウ先物の下げ幅縮小が投資家心理の支えとなった。結局、前営業日比12円安の1万9771円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:107.20-30円の狭いレンジ内での展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ107.34円付近まで上昇した。NY原油安を眺めた資源国通貨安・ドル高が波及した面もあった。しかし、今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、日経平均株価の下げ幅が100円を超えると、持ち高調整などのドル売り・円買いも散見され107.30円を挟んでもみ合いとが続いた。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.20円台を中心として狭いレンジでの展開となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

B of Aセキュリティーズの顧客が3週ぶりに売り越し

28日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は20~24日の1週間に米株を13億1800万ドル売り越した。3週ぶりに売り越したことになり、4月に入って初めての売り越しとなった。この週は米国で新型コロナウイルスからの経済活動の再開期待で強かった流れが一服し、S&P500は週間で1.31%下落した。主体別動向ではヘッジファンドが10億4000万ドルの売り越しで、2週連続の売り越し。機関投資家は12億7600万ドルの売り越しで、3週ぶりの売り越しだった。一方、個人投資家は8億4000万ドルの買い越しで、珍しく2週連続で買い越しとなった。企業の自社株買いは1億5800万ドルにとどまり、15週連続の買い越しながら4週平均は1億ドル台に低下した。傾向としては前週と同じく個別株売り・ETF買いだった。

 

今週に集中する日米欧の金融政策決定会合

今週は連邦公開市場委員会(FOMC)をはじめ各国中銀による金融政策決定会合が目白押しとなっている。まず、日本銀行は27日の会合で国債購入の上限を撤廃、CP・社債購入の増額を決定した。欧州中央銀行(ECB)は定例理事会でPandemic Emergency Purchase Program (PEPP).で現行の7500億ユーロから1.25兆ユーロ規模に拡大する見通しである。連邦準備制度理事会(FRB)も28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模緩和を据え置きフォワードガイダンスを利用しハト派姿勢を強めると見られている。資産買入れの範囲をさらに拡大すれば株安を食い止める要因となる。

 

南アの銀行について見通しを引き下げ:格付け会社ムーディーズ

 昨日のランド円は南ア市場が『自由の日』で休場だったこともあり、小幅なレンジ内での取引になった。しかし、格付け会社ムーディーズは『南アフリカ経済が景気後退に陥り、2020年に国内総生産(GDP)が実質ベースで6.5%縮小すると予測』と発表している。また新型コロナウイルスの影響で、信用リスクが増加し、これまでの南アの銀行について見通しを『安定的』から『ネガティブ』に引き下げている。このような金融機関の格下げはコロナが蔓延して以来、多くの国でも同様な状況だが、南アの場合はカントリーリスクも高いため問題は深刻である。

 

世界経済や資源相場に先行するバルチックドライ海運指数小幅上昇

国際海運市況であるバルチックドライ海運指数や東証の海運業指数などは、原油急落下でも底固めが堅持されている。世界経済や資源相場に先行する国際海運市況・バルチックドライ海運指数は、3月30日の548を直近最低として4月20日には757と小幅な上昇となってきた。1月17日以来の高値を回復している。22日も694と下げ渋りとなった。その中で3カ月スパンのトレンドを示す13週移動平均線は、方向角度が微妙な上向き化へと転じている。このまま上向き定着となれば、昨年9月からの先行急落の一段落が固まってくる。バルチックドライ海運指数の先行指標としての確度については疑問点もあるが、前回の世界減速と原油急落時には2016年2月で底入れとなった。日経平均株価は、その4カ月後の同年6月で遅行底入れとなっている。2008年9月のリーマン・ショック後には、海運指数も連動崩落を経て同年12月で先行底入れとなった。日経平均は、約3カ月後となる2009年3月で遅行底入れとなった実績がある。底入れとなった。今回の場合、海運指数は今年2月が現状の最安値となっている。あくまで過去のタイムラグでいえば、日経平均は5-6月にかけての2番底形成や本格的な底入れ反転が注目されやすい。

 

米国では経済活動の制限がなくなるのは6月下旬予定

新型コロナウイルス感染防止のため欧米各国が導入した外出禁止などの制限が緩和され、経済活動も再開されるとの期待感が高まってきた。市場が織り込んでいるのは、年半ばまでに感染が収束し、年後半には経済活動がほぼ制限なく再開されていく姿だ。そのためには、そろそろ感染者の減少傾向が明確になっている必要があある。5月1日には、米政府による『社会的距離指針』が期限切れを迎え、その後の判断はトランプ大統領が公表した経済活動再開への指針に基づいて、感染者数の減少傾向が一定基準を満たした地域から順次実施される。 もっとも、NY州は社会的距離指針に基づいた都市封鎖の2週間延長を決めており、その後感染の収束を見ながら経済活動再開への指針に基づいて規制を緩和していったとしても、経済活動の制限がほぼなくなるのは6月下旬までずれ込む。 要するに、この先2週間程度で市場の期待通りの先行きとなるかどうかが概ね判明する。

 

米国では経済活動再開に向けた動きが強まるも再び感染急増の可能性も

米国で新型コロナウイルス感染拡大で休止状態にある経済活動再開に向けた動きが強まっている。ミネソタ、ミシシッピ、コロラド、モンタナ、テネシーの各州は今週、ロックダウン(都市封鎖)措置を緩和し、非必須事業の営業再開を容認する見通しである。ジョージア、オクラホマ、アラスカ、サウスカロライナの各州ではすでに制限措置が一部緩和されている。
ニュージャージー州のマーフィー知事も27日中に、州経済の「責任ある再開」に向けた行程表を発表する見通しである。 しかし、同日までの国内感染者数が97万人超に達し、死者も5万4800人を超える中、公衆衛生専門家らは感染例が再び急増する可能性があると警告し、ウイルス検査の実施を拡大するよう呼び掛けた。

 

欧米市場イベント

○15:45   4月仏消費者信頼感指数(予想:83)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○20:00   3月メキシコ貿易収支(予想:28.00億ドルの黒字)
○22:00   2月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.2%)
○23:00   4月米消費者信頼感指数(予想:88.0)
○23:00   4月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲42)
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

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