FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末を控えてリスク回避の売りが重石

米国株が終盤にかけて失速したことを嫌気して、売りが優勢の展開となった。新型コロナウイルス感染拡大を受け内外景気の急速悪化への警戒感が高まり海外短期筋が先物に断続的に売りを出し下げ幅を広げた。しかし、日銀による上場投信(ETF)買い観測が下支える一方で、週末に新型コロナウイルスを巡る悪材料が出るとの懸念が重石となり、下げ幅は一時250円超となった。結局、前営業日比167円安の1万9262円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:全般様子見ムード強く107.60円近辺でもみ合い相場

ドル/円は、本邦実需勢などからドル買い・円売りに支えられ107.76円付近まで上昇した。しかし、このところ低調な米経済指標が相次いでいることから、追随する動きは見られなかった。その後は、米長期金利の低下を眺めてドル売りも散見され、107.60円台を中心に取引された。午後は、日経平均株価をにらみながら、107.64円を挟んでのもみ合いが続いた。来週予定されている日銀金融政策決定会合や米FOMCなどのイベントを前に、様子見ムードが強まった。ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスの影響で、欧州経済の先行き懸念が一段と強まっているため、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.0760ドル近辺へ下落した。

 

政府・日銀は景気について悪化の表現でマイナス成長率

政府は23日にまとめた4月の月例経済報告で、景気について『急速に悪化しており、極めて厳しい状況』との判断を示した。『悪化』の表現を使うのはリーマン・ショックの影響が残る2009年5月以来約11年ぶりとなった。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の制約が強まり、消費や生産、雇用などの足元の指標が総崩れとなっている。先行きも『極めて厳しい状況が続く』と記した。日銀も同日、新型コロナウイルス感染拡大による景気失速を踏まえ、2020年度の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しを前年度比でマイナスとする検討に入った。27日に開く金融政策決定会合後に公表する『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』で、成長率見通しを1月時点の0.9%から引き下げる。

 

中韓の個人投資家は原油暴落で巨額損失

銀行のアプリをほんの数回クリックするだけで購入できた原油のデリバティブ商品が、中国と韓国の個人投資家に巨額損失をもたらしている。 米国の個人投資家も似たような惨事に見舞われた。米ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物の一部限月が異例のマイナス価格に沈んだためだ。 この金融商品は中国で『原油宝』と呼ばれており、販売元である中国銀行(BOC)と、購入した投資家の双方が損失を被る構図になりそうだ。

 

コモディティ価格の低迷が中国の回復遅延を物語る

世界貿易機関(WTO)8日公表の予測は20年の世界貿易量は最大-32%減少、主に中国向け荷物を扱う米西海岸コンテナ輸送量は3月まで2ヶ月連続2ケタ減少となった。とりわけ、中国経済は米中貿易戦争が重しとなりコロナ感染拡大前から貿易が鈍化、そこにコロナが追い打ちをかけた。むろん、内需が回復を遂げても世界経済の停滞が長期化すれば、中国経済の成長下押しは避けられず、原油先物の初のマイナス転落等資源やコモディティ価格の低迷が何より中国の回復遅延を物語る。実際、昨年来の減税とコロナ禍により-14%の税収減がたたり中国1-3月の財政赤字は+300億元と前年の1.9倍に急増し、過去最悪となって財政基盤の弱い地方政府などは職員給与の支払いに困窮する始末。大規模な財政出動が叶わなければ、1-3月期に続き外需停滞が響いて4-6月期も2期連続のマイナス成長と景気後退リスクが高まる。

 

ECBも米FRBに追随して投資不適格級の資産開始の観測

ECBは22日に適格担保基準を緩和し、今後、投資不適格級に転落する債券も流動性供給オペの差出担保として受け入れることを発表した。コロナ危機対応の財政出動と深刻な景気後退で債務返済能力が悪化するイタリアの国債格下げなどを視野に入れた措置とみられる。 格下げ後の格付けがBB格以上で、4月7日時点で格付け要件を満たしている債券は、適格担保として認める。ECBは必要に応じて格下げの影響を軽減する追加措置を行うことを示唆しており、米FRBに追随して投資不適格級の資産買い入れを開始するとの観測も一部で浮上している。

 

米経済指標結果から景気失速的な動きが明確に

米商務省が発表した3月新築住宅販売件数は前月比‐15.4%の62.7万戸と予想64.4万戸を下回り2019年5月来で最低となった。
事前に民間マークイットが発表した米4月製造業PMI速報値は36.9、4月サービス業PMI速報値は27.0、4月総合PMI速報値は27.4とそれぞれ過去最低に落ち込んだ。

 

米国市場では3月耐久財受注が公表

2月実績は前月比で増加した。民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は減少した。3月については、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることから、耐久財受注は全般的に減少する見込み。コア資本財の受注も減少が予想されており、1-3月期の米経済成長率が大幅なマイナスとなる公算となっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲4.0%/前年比▲4.7%)
        英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲3.5%/前年比▲4.7%)
○17:00   4月独Ifo企業景況感指数(予想:80.0)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き下げ)
○21:30   3月米耐久財受注額(予想:前月比▲11.9%/輸送用機器を除く前月比▲5.8%)
○22:00   3月ロシア失業率(予想:4.7%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:68.0)

 

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