FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国原油価格の連日の下落を嫌気した売り

米国株が連日の大幅安となったことを嫌気して寄り付きから3ケタの下落となった。その後も売りが続き、節目の1万9000円をあっさり割り込んだ。下げ幅を400円近くまで拡大し、1万8900円を下回ったところで一旦売り一巡感が出た。米国原油価格の連日の下落を嫌気した売りが引き続き優勢となったが、日銀によるETF購入観測が浮上したことで下げ幅を縮小する展開となった。また、25日移動平均線への接近で下げ渋った。結局、前営業日比142円安の1万9137円と3日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は107円台半ばまでじり安でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、107.87円付近まで値を上げた。しかし、前日のNY市場で付けた高値107.89円が意識されると、利食い売りも見られ107.75円を挟んでもみ合いとなった。午後は、原油安や米長期金利を眺めたドル売り・円買いが入り、107.56円まで下落した。ただ、今晩の米国株の動向を見極めたいとのムードもあり下値を追う動きは限られ、107.60円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南アランドも新興国通貨売りを浴びて下値模索の展開

新興国通貨売りが再び活発化している中、南アランド/円は昨日5.62円まで下落し、最安値の5.61円付近に接近した。昨日発表された経済支援策は10年前に南アで行われたサッカー・ワールドカップで費やした金額の約10倍に当たる。今まではGDPの僅か0.1%程度だった支援策から、GDPの約10%となったことで、ラマポーザ政権の必死さがうかがわれる。しかしながら、南アはコロナウイルスの大流行前にすでに、経済は技術的な不況、信用格付けの格下げ、負荷制限、失業率増加、そして伸び悩む成長率など苦しんでいたことで、今回の支援策だけでランド買いには傾けない。このような状況下で、政権には早めの経済活動再開などの声も高まっているが、感染リスクも高くラマポーザ政権にとっては今後も難しい状況が続く。
 本日は南アの3月消費者物価指数(CPI)が発表されるが、ウイルス感染拡大以来CPIで金融政策を変更する状況ではないので、指標の結果でランドが動くのは難しい。

 

新型ウイルス前から米住宅販売は鈍化していた証拠

全米不動産業者協会(NAR)が発表した3月中古住宅販売件数は前月比‐8.5%の527万戸と予想525万戸を小幅上回ったものの昨年4月来で最低となった。下落率は2015年11月来で最大を記録した。前年同月からは0.8%増と、わずかな伸びにとどまった。同指数は1月または2月に契約が完了した物件数となる。新型ウイルスが蔓延し経済が急速に悪化する前から、住宅販売が鈍化していた証拠となる。 3月末に向けて供給は10.2%減となった。新型ウイルスの影響を受けたビジネスの閉鎖や外出規制を受けて、売り手は家を売りに出す時期を遅らせると同時に、買い手も購入を延期している。

 

NY市場ではWTI原油先物価格暴落の余波が続く

中心限月であるWTI原油先物の6月限は、6.50ドルまで暴落した。その後は11ドル台まで急回復してNY市場を終えた。また、最終日を迎えた5月限は10ドル台までサヤ寄せして取引を終了した。6月限にしても、20ドル台から一気に一桁まで急落して買い戻されるといった乱高下相場となったが、CMEではオプションのストライクプライスにマイナスの価格を加えるなどの処置が行われたほか、米国で最大の原油ETFであるUSOは、受益権の新規発行を停止するなど、こちらも前代未聞の措置が取られることになった。 また、CFDでは、中心限月の6月限がマイナス価格になる可能性もあることから、急遽7月限を対象とする緊急措置がとられるなど、ドタバタ劇が続いている。

 

行き場失うサウジ原油:満載のタンカーが洋上を漂う

市場には原油が溢れ、今や需要が蒸発して買い手を探すことも困難になった。その結果、サウジは産出した原油の大半を洋上で保管するほかなくなっている。 サウジ石油当局の関係者によると、世界のスーパータンカーの少なくとも10隻に1隻は、洋上の原油保管施設として使われている。そうした多くがサウジ産原油を満載したまま、買い手がつかずに海上を漂っている。 異例の市場力学が働き続け、原油相場は下値模索の展開が続いている。

 

大盤振る舞いの米国経済支援:総額3兆ドル超

米議会上院は21日、4840億ドル規模の追加の新型コロナウイルス対策法案を全会一致で可決した。法案は下院に送られ、今週23日に採決される見通し。追加法案は新型コロナウイルス対策では第4弾となる。報道によると、中小企業向け融資プログラムに3210億ドル、中小企業向け緊急災害融資プログラムに600億ドル、病院向けに750億ドル、全国的な新型コロナウイルス検査に250億ドルなど。米国政府による経済支援は総額約3兆ドルとなる見込み。 なお、トランプ大統領は21日、石油・ガス会社の資金援助計画を策定するよう指示したと報じられており、米国政府による経済支援策の総額は3兆ドルを上回る見込み。トランプ政権は米国経済を丸抱えすることになりそうだが、金融市場の安定化を実現することも政権の重大な責務となる。

 

欧米イベント

○15:00   3月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい/前年比1.5%)                
        CPIコア指数(予想:前年比1.6%)
         小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.2%/前年比2.3%)
○15:00   3月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比0.5%)
○17:00   3月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比4.2%)
○18:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:9.25%に引き下げ)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   3月カナダCPI(予想:前月比▲0.4%/前年比1.1%)
○22:00   2月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○22:00   3月ロシア鉱工業生産(予想:前年比0.2%)
○23:00   4月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲20.0)
○23:30   EIA週間在庫統計

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