FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:朝鮮半島情勢の先行き不透明感を懸念した売り

20日のNY原油先物市場で史上初めて価格がマイナスとなり、経済活動が冷え込むとの懸念からリスク回避の売りが優勢となった。また、アジア株が総じて軟調なのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大も引き続き懸念された。北朝鮮の金生恩(キム・ジョンウン)委員長が手術を受けて重体にあるとの報道を受け、朝鮮半島情勢の先行き不透明感を懸念した売りが膨らんだ。結局、前営業日比388円安の1万9280円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:北朝鮮の情勢不透明感を嫌気したリスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され107.50円付近へ下落した。複数のメディアが『北朝鮮の金正恩委員長が手術後に危険な状態にある』と報じたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、107.40円付近まで値を下げた。ただ、今晩の米国株価や原油先物相場の動向を見極めたいとのムードもあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、107.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、原油先物価格の暴落による世界景気の先行きを警戒したユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.0840ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国は監視社会から新型コロナウイルスを感染拡大を阻止

中国政府は新型コロナの感染拡大を阻止するために、『デジタル感染追跡』や『外出制限』の徹底など強硬策でコロナの封じ込みに成功した。こんな非常事態では、欧米型のリベラルな経済よりも、中国の統制的な経済対策の方がうまく行くことが証明された。このデジタル監視はプライバシーにもかかわり、その正当性に議論は多いが、コロナの封じ込みに大きく効果を発揮したのは確かである。 中国はコロナ感染の防止策として、場所ごとに固有のQRコードを貼りだし、市民はそれをスマホで読み込み、これで誰が、いつ、この場所にいたのかという記録ができるようにした。どのレストランでご飯を食べたのか、地下鉄のどの車両に乗っていたのかまですべてを政府に報告するという、すさまじい監視社会ぶりだが、その甲斐あって、中国は抑え込みに成功した。

 

WTI原油先物市場で何が起きたのか?

WTI原油先物価格はサウジアラビアの増産を受けて20ドル付近まで急落したが、しばらくはこの水準を底にしたもみ合いが続いた。市場は当然のように20ドルで下値を確認したとの認識からロング積み増しとなった。それが限月交代直前になって20ドルを割り込んでくるといった不穏な動きとなった。5月限から6月限へのロールオーバーが思っていたほど進んでいない中、CMEが『マイナス価格もあり得る』との見解を表明した。これが引き金になって、投げ売りが投げ売りを呼ぶ展開となった。『5月限を売って6月限を買う』動きが加速した。投機筋の売り仕掛けも観測された。また、原油先物では受け渡し日に、決まった受け渡し場所がオクラホマ州クッシングという内陸地。単純にタンカーを用意すれば良いというわけにはいかない地理的な環境も影響した。保管場所の確保や保管コストが増大しており、『原油をもらっても困る』という現状では、史上初めてマイナス価格付けたことも致し方なかったかもしれない。

 

EUと英国の貿易や外交・安全保障関係をめぐる交渉再開

欧州連合(EU)と1月末にEUを離脱した英国は20日、貿易や外交・安全保障関係をめぐる交渉会合をテレビ会議で行った。3月上旬の初会合後、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2回の会合が中止されており、会合開催は約1カ月半ぶりとなった。
今回は5日間の日程となっている。英国がEUに事実上残留している『移行期間』が終了する年末までの自由貿易協定(FTA)締結を引き続き目指すが、双方の溝は依然大きい。交渉の遅れも重なり、実現はこれまで以上に危ぶまれており、期間延長が焦点となっている。

 

米FRBがマイナス金利を否定している限りドル安は抑制

米連邦準備理事会(FRB)がマイナス金利を否定している限り、米国の短中長期債金利はゼロ%の下限フロア接近で現状からの低下余地狭まりが意識され、為替相場でも当座の米輸入減と貿易赤字減などとあいまって、現状からのドル安余地は制約が見込まれる。それに対して米国株は政策総動員の遅行効果や先行きの新型コロナ感染減期待、過剰流動性マネーの『待機滞留』膨張などもあって、一旦は反発余地が潤沢に残されている。

 

MZMの急増後は反動逆流で株式への資金回帰へ

米国内で現金、預金、MMFなど、支出・消費にすぐさま回り得る短期流動性資産の総計がMZM(Money Zero Maturity、償還期限がゼロの資金)と呼ばれるものだ。セントルイス連銀算出の全米合計では、4月6日週に19兆1240億ドルと過去最高を更新してきた。昨年末比では+2.13兆ドルの増加となっている。しかも前週3月30日週には前年同期比で+6285億ドルと、これまでの最高であるNY同時テロ時(2001年9月)の+1773億ドルから3.5倍もの記録的な急増となった。前年比変化率でも最新4月6日週には+20.3%と、やはり2001年以来の急拡大となっている。過去に安全逃避などでMZMが急増したあとには、反動逆流が株式への資金回帰と株高を高確率で支援してきた。しかもMZM急増は過剰流動性やカネ余りと表裏一体であり、その点でも株価にはプラス材料となりやすい。

 

米国市場では3月中古住宅販売件数が公表

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月中の販売件数は減少したとみられる。在庫水準が低下傾向にあることも影響しているとみられる。この状況は4月以降も続くとみられる。 市場予想は540万戸

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移17.25万件)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○16:30   3月スウェーデン失業率
○18:00   4月独ZEW景況感指数(予想:▲42.3)
○18:00   4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   2月カナダ小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.3%)
○23:00   3月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲8.1%/年率換算530万件)
○ブラジル(チラデンテスの日)、休場

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