FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀のETF買いが見送られ下げ幅拡大

NY原油先物相場が一段安となったことが投資家心理を冷やした。また、心理的節目となる2万円を目前に上値が重い展開が続いた。一方、中国政府による特別国債発行などの景気刺激策への期待を背景に上海総合指数などアジア株価指数が底堅く推移したことが相場の下支えとなった。しかし、コロナショックで痛手を負ったファンドも多く、足元では売買代金の減少が顕著になっている。東証1部の売買代金は直近ピークの3月13日(4兆8923億円)から前週末4月17日には2兆6104億円と、ほぼ半減した。個人投資家を中心とした押し目買いが散見されたが、日銀のETF買いが見送られると引けにかけて下げ幅を広げた。結局、228円安の1万9669円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:取引材料難からドル/円は狭いレンジ取引が継続

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、107.89円付近までじり高となた。NY原油先物が一時1バレル=14ドル台へ急落したことを背景に、資源国通貨安・ドル高が波及した。しかし、17日の欧州市場で付けた107.93円が上値の目途として意識されると上げ幅は一服し、107.80円を挟んだもみ合いとなった。午後に入っても、107.80円台を中心とした狭いレンジ取引が続いた。本邦実需筋の売り買いは午前中で一巡したこともあり、午後からのは商いが薄くなった。ユーロ/ドルは、原油先物相場の大幅安がユーる売り・ドル買いを誘い、1.08ドル台後半から1.08ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

NY原油は一時21年ぶり安値

指標となるNY市場のWTI先物は日本時間20日午前の電子取引で、期近の5月物が一時1バレル14ドル台を付けた。前週末からの下げ幅は2割に達し、1999年3月以来ほぼ21年ぶりの安値に落ち込んだ。5月物の取引が21日に終了するのを控え、投機筋の手仕舞い売りが膨らんだ。新型コロナウイルスの感染拡大で世界の石油需要が冷え込んだいることが影響している。外出制限でガソリンなどの消費が落ち込んでいる米国では製油所の稼働が鈍り、原油の在庫が急速に膨らんでいる。貯蔵能力の限界が近づいていることから原油を手当てする動きが細り、売り圧力が強まっている。

 

EUの経済再建計画の議論が物別れならユーロ売りに

州連合(EU)は23日にテレビ首脳会議を開き、新型コロナウイルス危機収束後を見据えた経済再建計画を議論する。焦点の財源確保をめぐっては、イタリアやスペイン救済のため『コロナ債』とも呼ばれる欧州の共通債発行案をフランスが支持している。一方、反対するドイツやオランダとの溝は依然大きく難航は必至と見られる。『われわれには連帯と財政移転が必要だ』。マクロン仏大統領は17日付の英紙フィナンシャル・タイムズで、打撃が深刻なイタリアなどが求める共通債以外に『選択肢はない』と訴えた。各国共同で起債する共通債は、財政状況が悪く信用力が低い南欧諸国の資金調達を容易にする。しかし、自力で低コストに市場から調達できるドイツやオランダは、過度な財政移転や借金の肩代わりを警戒、再建の財源に充てることに反対している。

 

最終的には英国は移行期間の延長を決断する公算が大きい

新型コロナに感染し、容体悪化で集中治療室(ICU)に入ったジョンソン英首相は12日に退院したが、別荘に移って療養を続けており、公務の再開にはなお時間がかかる見通しとなっている。英国は米国、イタリア、スペイン、フランスに続いて5カ国目の新型コロナによる死者数が1万人を超える国となった。英国は3月23日から新型コロナ対策としてロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、3週間ごとに見直すとしたが、英政府は『感染のピークを越えていない』とし、少なくとも3週間延長すると発表した。英国は欧州連合(EU)との『将来の関係』交渉について、『感染拡大を理由として、移行期間の延長を決断することはない』との方針を示しているが、今年末までの移行期間内で合意に達する可能性は極めて低く、『合意なき離脱』と同じ状態になれば、コロナショックとのダブルパンチで実体経済が大きな打撃を受けることになり、移行期間の延長を決断する公算が大きい。ジョンソン政権はメイ前政権と違って議会の過半数を押さえているので、決断さえすれば、容易に方針転換できる。今週の英国で3月の雇用指標やインフレ関連指標などの発表が予定されており、コロナの影響を確認したい。

 

南アランドは利下げで買いにくい展開

南アフリカの金利は2012年7月から2014年初旬まで5.00%を維持していた期間はあったが、先週の利下げで5.0%を初めて割り込んだ。そのため、ランドは高金利通貨とはいえなくなりつつある。利下げ後に南ア株式市場は上昇し、株式市場にはポジティブなニュースになった。しかし、主要格付け機関が先月、相次いで南ア債を格下げし、国の信頼性を失っていることから通貨(ランド)を買う地合いではない。 また南アの企業は95%が中小企業で、4月末まで続くロックダウンにより多くの企業が窮地に立たされていることもあり、南アに資金が集まるのは難しい。

 

トルコリラは下値模索の展開になりやすい

19日時点では、トルコの感染者数累計は世界で7番目の多さとなる8万6000人を超えた。感染による死者数も2000人に達したが、一部メディアは『トルコ保健省が発表した死者数はWHO基準に沿っておらず、実際の数は更に多いのではないか』という見方も報じている。また、22日には、トルコ中銀が政策金利となる1週間レポレートを発表する。中銀は先月、会合日を前倒しして1%の利下げを決定した。昨年7月から既に14.25%の利下げが実施されたが、世界中で金融緩和の流れが進む中で今回も0.5%程度の引き下げが見込まれている。ただし実質金利マイナス幅が拡大することで、先週安値を更新した通貨リラの下値余地は高まる 。下値では16日に記録した過去最安値15.43円を念頭に、割り込むと心理的節目15円が意識される。

 

23日の米新規失業保険申請件数に市場の注目集まる

新規失業保険申請件数は、3月21日週に330.7万件、28日週は686.7万件、4月4日週は661.5万件、4月11日週は524.5万件と、4週間で2203.4万件まで増加しており、4月末までに2000万人程度の失業者が出ることが予想されている。 23日に発表される4月12-18日の新規失業保険申請件数が、『4月の雇用統計の調査対象週となる』ことで、イエレン第15代米連邦準備理事会(FRB)議長が予想した失業率12-13%、非農業部門雇用者数もリーマンショック後の2009年3月に記録した減少幅である80万人(新規失業保険申請件数:65.1万件)を大幅に上回ることが警戒される。

 

欧米イベント

○15:00   3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.7%)
○17:00   2月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○17:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:00   2月ユーロ圏貿易収支(季節調整済、予想:200億ユーロの黒字/季節調整前)
○21:30   2月カナダ卸売売上高

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