FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短期筋の買いも戻しから上昇幅拡大

トランプ米大統領が16日に新型コロナウイルスの感染者が少ない地域から経済活動の再啓を認める新指針を発表し、米景気の悪化が一服するとの見方から買いが入った。先物を売り持ちにしていた短期筋が買い戻しを進め、日経平均は上げ幅を拡大した。一方で、日本政府が16日に緊急事態宣言の対象を全国に広げた。外出自粛による国内の経済活動停滞の影響が大きくなるとの警戒感から、陸運など一部の内需関連銘柄に売りが出た。結局、前営業日比607円高の1万9897円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整のドル売りに上値重い展開

ドル/円は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、107.65円付近まで下落した。今週発表された米経済指標が、軒並み歴史的な低水準へ落ち込んだことも、ドルの重石となった。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染ベースが鈍化していることから、下値ではドルを買い戻す動きも見られ、107.70円台へ値を切り返した。午後は、今晩の米国株価や原油先物相場の動向を見極めたいとの雰囲気から、107.75円を挟んで方向感に乏しい値動きとなった。本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄くなった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

先行きイタリア財政危機のリスクも

 4月第2週までのECBの資産買い入れは月額1,400億ユーロの猛烈なペースとなっている。イタリアの国債利回り上昇を抑制しているが、欧州安定メカニズム(ESM)融資枠の利用を巡る連立政権内の亀裂が表面化し、金利上昇のマグマが溜まっている。 深刻な景気後退と財政拡張で、イタリアの公的債務比率の膨張は避けられない。ECBのパンデミック緊急資産購入プログラム‘PEPP)失効後の来年以降、債務返済能力の悪化が改めて問題視されよう。

 

メキシコは原油安と経済停滞と相まって深刻な状況

格付け会社フィッチがメキシコの格付けを『BBB』から『BBB-』とジャンク級の一歩手前まで引き下げ、ペソは売られているが、この後の欧米市場でも追随売りが出てくる可能性がある。フィッチは各下げの理由は『新型肺炎の感染拡大による深刻なリセッション』としている。原油価格の急落を受けた国営石油会社ぺメックスの財政懸念も取り上げており、今後のさらなる格下げの可能性も残す形となっている。 原油先物価格はとうとう18年2カ月ぶりに20ドルを割り込んでおり、世界的な需給関係の崩れから底が見えない相場展開となっており、産油国メキシコとしては国内の経済停滞と相まって深刻な状況に立たされている。にも関わらず、政権から出される対策案は市場を安心させる内容とは程遠いものばかりで、メキシコからの資金撤退の動きも今後はさらに広がっていく可能性がある。

 

トルコリラ/円は感染拡大継続で上値の重い

昨日つけた過去最安値15.43円から東京朝には15.60円台まで反発するも、その後はやや伸び悩んでいる。 なおトルコの主要都市では、先週に引き続き今週末も48時間のロックダウン(都市封鎖)が実施される。もっともトルコでは新型コロナ感染者が毎日4000人以上も増え続け、累計で7万4000人を超えたにもかかわらず完全なロックダウンは実行されていない。世界保健機関(WHO)もトルコの状況に懸念を示しており、まだ暫くは感染ピークに達することは難しい。

 

米国では経済活動を再開させるためのガイドラインを発表

トランプ大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて移動禁止措置を取っていた米国で経済活動を再開させるためのガイダンスラインを発表した。2016年の米大統領選挙のスローガンを彷彿させる『アメリカを再び開く』と題された指針は18ページに及び、米経済専門チャンネルのCNBCによれば『国の地域が従業員の職場復帰を認めるために必要な状況を明らかにしているが、制限を解除する決定は最終的には州知事が下すことになる』という。ガイドラインは経済を再開するための3段階のアプローチを提案している。第一段階では、ジム、レストラン、映画館、礼拝堂などいくつかの企業の再開が含まれる。ガイドラインでは、学校は閉鎖したままにし、雇用主は可能な限りテレワークを奨励し、必要のない旅行を最小限に抑えるべきだと提案している。州や地域がコロナウイルスの再発の証拠を示されなければ、第2段階に移行するよう助言される。

 

米国のV字型回復の可能性は大きく低下

米国経済指標の結果で新型ウイルスによる経済封鎖の影響が明らかになりつつある。米国の最新4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は‐56.6と過去最低となった。NY連銀製造業に続き地区製造業の過去最大の落ち込みが目立つ。また、新規失業保険申請件数も524.5万件と、依然500万件台で4週間で2200万件と、歴史的にも異常な状況が継続している。封鎖が長引けばさらに失業者が増加する可能性も残る。
当初期待されていたV字型回復の可能性は大きく低下した。経済が正常化するのは2021年以降と、景気の低迷が長引くとの悲観的見通しが台頭しつつある。

 

欧米イベント

○未定   4月月例経済報告
○18:00   2月ユーロ圏建設支出
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比0.7%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.0%)
○21:30   2月対カナダ証券投資
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   3月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲7.2%)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(テレビ会議、最終日)

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