★日経平均株価:中国景気の過度な懸念が後退して買い優勢に
前日の米国株式市場でのハイテク株高や、新型コロナウイルスに伴う世界的な経済停滞が早期に収まるとの期待を背景に買いが先行した。また、中国税関総署が発表した3月の中国貿易統計ではドル建ての輸出が前年同月から減少したものの、減少率は市場予想よりも小幅にとどまった。中国景気に対する過度な懸念が後退したとの受け止めが広がったことで、今晩の欧米株の上昇を見込んだ海外短期勢による先物買いが継続した。結局、前日比595円高の1万9638円と反発して終了した。
★東京外国為替市場:円買い先行後は株高からドル買い戻し
ドル/円は、新型コロナウイルスの影響で、米企業の業績悪化するとの警戒感からドル売り・円買いが先行し107.54円付近まで下落した。しかし、前日のNY市場で付けた安値107.51円が意識され下げは一服した。その後は本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、107.65付近へ値を持ち直した。3月中国貿易統計が、まずますの結果となったことも円売り材料となった。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅高を眺めてさらにドル買い・円売りが進み107.75円付近までじり高となった。ただ、今晩予定されている米主要企業の決算や国債通貨基金(IMF)の世界経済見通しを前に、上値を追う動きは限られ、107.70円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、イースター休暇明けとなる欧州勢街の様相となっており、1.0940ドル前後で方向感を欠く展開となった。
★本邦1~3月期のGDP速報値では悪化実態をつかめない可能性も
2020年1~3月期の国内総生産(GDP)からその影響が数字に表れ始めるとみられるものの、注意が必要なのが5月発表のGDP速報値ではサービス行が大きく悪化する実態がつかめない可能性がある。GDPを計算する際の基礎統計のなかで、新型コロナウイルスが直撃するサービス業の統計が速報段階で間に合わない。そのため、1~3月期の速報値では景気悪化度合いを過小評価する可能性が高い。内閣府が5月18日に発表するGDP速報値では、新型コロナによる景気落ち込みの実態が把握できず、6月8日公表のGDP改定値まで待たなければならない。
★中国の3月ドル建て輸出と輸入は予想より減少率は小さい
中国税関総署が発表した中国の2020年3月の貿易統計で、米ドル建ての輸出は前年同月比6.6%減だった。減少率は1~2月の17.2%(速報値)から縮小し、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想(15.9%減)より小さかった。輸入は同0.9%減で、幻想率は1~2月の4.0%(速報値)から縮小した。市場予想は10.0%減だった。貿易収支は199億ドルの黒字となった。1~2月は71億ドルの赤字で、市場予想は210億ドルの黒字だった。
★金ETFに大規模な資金流入が続く
13日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズに8億3782万ドルの流入となり、1月17日(9億6593万ドル)以来、3カ月ぶりの抱き規模流入となった。過去1カ月で41億ドル超の資金流入となり、3月末以降は大規模な流入基調が強まっていた。この日の米国市場でGLDは続伸し、1.71%高の161.14ドルで終了した。一時162.38ドルまで上昇して2013年2月以来、7年2カ月ぶりの高値水準をかいふくした。米FRBの大規模な金融緩和策を受け、フローを伴いながら実物資産の金が買われる流れが強まっている。
★マスクの次は食糧不足懸念も
国際連合食糧農業機関(FAO)は3月下旬、食糧サプライチェーン(供給網)の寸断が4月~5月に具現化する可能性があると警鐘を鳴らした。世界で3番目に大きなコメ輸出国であるベトナムは3月25日、コメの新規輸出契約の締結を一時的に禁止した。コメ先物価格は3月初旬以来12%上昇し、現在1年前と比較して約40%高となっている。小麦先物も急騰している。ロシアやウクライナ、カザフスタンも新たな輸出制限を発表または検討している。
★米ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は悲観的な見解を示す
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は週末のメディアインタビューで新型ウイルスパンデミックに起因する経済活動停止からの回復は効果がある治療法やワクチンが開発されるなどの奇跡が起こらない限り、『長く、困難』な道のりになると悲観的な見解を示した。『速やかなV字型回復は楽観的過ぎる』と警鐘を鳴らした。カシュカリ総裁は、政府や地方自治体が外出自粛を解除し、経済活動が再開したとしても、ワクチンが開発されない限り、消費者の信頼感が回復せず、国民は引き続き外出や旅行、消費を控える可能性があると警告している。 実際、金融機関のエコノミストも当初は大半がV字型回復を予想していたが、ここにきて、L字型回復、U字型回復といった長期にわたり鈍い回復を警戒し始めている。
★米国株式市場では決算発表の本格化で上下に振れやすい
米国株市場では、14日前後から決算発表が本格化していく。コロナ打撃で大幅な悪化が警戒され、決算発表の前段階から米国の株安とリスク回避の円高圧力が強まるリスクをはらむ。同時に米国ではコロナ対策での企業支援策や金融機関サポート策と引き換えに、自社株買いや配当の自粛が要請されている。株主還元策についても失望となるようなら、リスク回避の流れが後押しされる。ただし、米国企業の決算発表については、当座の壊滅的な悪化を織り込む形で米国株は2月後半から3月後半にかけて急落してきた。一定の下振れに対する市場覚悟や備えも整いつつある。そのため決算発表では初期反応こそ米株安・円高に振れても、二次反応としては『一旦の悪材料の出尽くし』や『年後半にかけての業績リバウンド修復期待』などにより、米株高とリスク選好の円安に振れる上下動が注視される。
★欧米イベント
○21:30 3月米輸入物価指数(予想:前月比▲3.2%)
○15日00:05 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○15日01:30 エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○15日04:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ビデオ会議、16日まで)
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(ビデオ会議)
○IMF世界経済見通し発表
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