FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀のETF買い入れないとの観測から失望売り

先週末の米国株が休場で、売り買いの手掛かりに乏しい中、朝方にNYダウ先物が大きく下げたことから売りが先行した。開始早々に下げ幅を250円近くまで広げた。想定外の弱さとなったことから、押し目を拾う動きも限られ、売りが一巡した後も200円近く下げた水準で模様眺めの様相が強まった。しかし、市場の予想に反して日銀のETF買い入れがなかったとの観測が引き続き売りを促した。ただ、心理的な節目の1万9000円に近付くと押し目買いも入った。結局、前週末比455円安の1万9043円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避から円買いが強まり108円割れ

ドル/円は、NYダウ先物や日経平均株価の下落を眺めたドル売り・円買いに押され、108.00円付近まで下落した。OPECプラスが最終合意した原油の減産規模が、日量1000万バレルから970万バレルに引き下げられ、物足りないと受け止められたことも、リスク回避の円買いにつながった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の大幅安でさらにドル売り・円買いが進み107.86円付近まで下落した。ただ、今秋予定されている米経済指標や主要企業の決算内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、107.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、イースターマンデーで海外勢の流動性が低下しているため、1.09ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

中韓は先行して経済活動の再開観測

中国と韓国はコロナの感染と経済打撃が先行して深刻化する一方、先行して封鎖経済などを強化させてきたこともあり、先行して感染者の減少と経済活動の再開が観測されつつある。中韓経済と関係の深い周辺アジア経済にも、一定のプラス効果をもたらしつつある。
しかも3月以降には米国、欧州、中国などの大学による初期研究として、『高い気温と高い湿度が新型コロナウイルスの感染率の低さに関係している』という分析も見られている。まだ確証には至っていないものの、これから季節的に東南アジアや南アジアなどでは気温と湿度の上昇が見込まれ、湿度上昇地域からの感染者減少の可能性も注視されやすい。

 

OPECプラスで減産決まるも過剰供給が継続となり失望

WTI原油価格は時間外取引で買い先行後に反落。メキシコ側の反対により週末までもつれ込んだOPECプラスと20カ国・地域(G20)エネルギー相は結局970万バレルで合意したことで時間外では一時24.74ドルまで急速に値を上げた。ただ、減産内容としては、サプライズはなく織り込み済だったことですぐに戻り売りに押された。新型コロナウイルスによる需要減3000-3500万バレルなどから過剰供給が続くことになる。サウジアラビアが日量250万バレル、米国が30万バレル、削除を拒否していたメキシコが10万バレル削除することとなった。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は3月14日直近最多の683基から4月10日には504基と179基の減少となっている。

 

新型コロナウイルス感染者拡大でトルコリラの下押し圧力は強い

トルコでは12日までで新型コロナ感染者が累計で5万7000人に迫り、感染による死者数も1198人に達した。10日夜にはトルコ政府がイスタンブールや首都アンカラなどの主要都市を週末2日間のみロックダウン(首都封鎖)することを発表した。突然の知らせだったため市民がパニック的にスーパーに押し寄せた様子が報じられた。混乱の責任を取るためにソイル内相が辞任の意向を表明しましたが、エルドアン大統領は辞任を認めていない。 経済活動を停止させたくないエルドアン大統領は、本日13日からにはロックダウンを解除する見込みであり、中途半端な対策では今後も感染拡大を止めることは難しい。感染の影響はトルコにとって外貨獲得手段で重要な観光セクターへの大きなダメージとなる。先週は、外貨準備金の減少が止まらないトルコ中銀がFRBと通貨スワップラインの設定を協議したと報じられた。ただし、担保となり得る米国債の所有をトルコ中銀が減らしているということもあり、スワップ規模は限定されるのではないかという意見もでている。また、IMFはトルコを支援するための融資に関して前向きであるものの、エルドアン大統領は自らの政策に制限がかかることを嫌がり、かたくなに融資対して否定的である。

 

FRBのバランスシート規模増大でドル供給過剰懸念も

米FRBのバランスシートは、先週4月8日時点で6.13兆ドルに拡大しており、パウエルFRB議長のヘリコプタークレジットと呼ばれる流動性供給により4.5兆ドルが加わることで、10兆ドルのバランスシートが視野に入っており、ドル流動性不足懸念が払拭され、ドル供給過剰懸念が高まりつつある。 一方でドル買い・円売り要因としては、日本政府の緊急事態宣言・緊急経済対策(事業規模108.2兆円)や年金(GPIF)の外債投資拡大(最大31%)による約340億ドルの投資余力、などが挙げられる。

 

 

今週の米新規失業保険申請件数に市場は注目

今週(4月12-18日)は、米国4月の雇用統計の調査対象週(12日を含む週)なので、米国での新型コロナウイルスの感染拡大状況や工場の操業停止に伴うレイオフ関連の報道に要注目となる。米国の新規失業保険申請件数は、3月21日週が330.7万件、3月28日週が686.7万件、4月4日週が660.6万件と3週間で1678万件となっている。今月末までの失業者数は、2000万人程度まで増加するとの見方があるが、イエレン第15代FRB議長は、現状の失業率が12-13%まで上昇していると述べており、労働力人口を1億6000万人とすると失業者数は2000万人程度となる。トランプ米大統領が外出自粛要請を4月末まで延長していることで、サービス業関連でのレイオフが増加する警戒感が高まっている。

 

欧米イベント

○16:00   2月トルコ経常収支(予想:9.9億ドルの赤字)
○16:00   2月トルコ鉱工業生産(予想:前月比1.7%)
○ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場

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