FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀のETF買い思惑から買い戻し優勢に

米FRBの資金供給策に前日の米ダウ平均285ドル高の続伸を受け買いが先行したが東京中心に国内新型コロナ感染拡大が続き日本経済の先行き不安が意識され週末の持ち高調整の売りに押された。しかし、10日は『イースター」』金曜日でアジアや欧米主要市場が休みとなり、海外投資家の商いが乏しく薄商いで日銀のETF(上場投信)買い思惑が買いを誘った。結局、前営業日比152円高の1万9498円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの需給のひっ迫懸念が後退で上値の重い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ108.60円付近へ上昇した。しかし、前日にFRBが新たな資金供給策を導入すると発表し、ドル需給のひっ迫懸念が後退しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、108.50円前後でもみ合う展開となった。午後に入ると、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、108.33円付近まで下落した。NY州で新型コロナウイルスの感染拡大による1日あたりの死者数が、3日連続で過去最多を更新したことも、ドルの重石となった。しかし、今晩発表される米3月消費者物価指数を見極めたいとの雰囲気から下げは一服し、108.40円を挟んだ展開となった。ユーロ/ドルは、イースター休暇中で市場参加者が少なく、1.0930ドル台を中とした狭いレンジ内での取引となった。

 

世界の金ETFに資金が集まる:運用資産残高が過去最高

世界の金上場投資信託(ETF)が価値の裏付けとして保有する金現物の残高が3月末時点で過去最高となった。新型コロナウイルス感染拡大による景気不安を背景に安全資産を求めるマネーの金への流入が続く。米国など各国の金融緩和策も金の需要を高め、3カ月連続で最高を更新した。金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が8日にまとめた。3月末時点で世界の金ETFが保有する金現物の残高は3185トンと前月末から151トン増加した。ドル建ての運用資産残高も過去最高となっている。

 

トルコは感染ピークの見通しが立ちにくい

トルコ国内では新型コロナ感染拡大に歯止めはかからず、昨日も新たな新型コロナウイルスの感染者が4000人ほど確認され、感染者合計がついに4万2000人を超えた。感染による死者数も900人を上回り、医療崩壊の懸念が高まる。65歳以上や20歳以下の外出や主要都市間の行き来は禁止しているが、エルドアン・トルコ大統領は実質的なロックダウン(都市封鎖)を出すことに躊躇しており、このままでは感染ピークの見通しも立ちにくい。新型コロナ感染への恐れがあるうちはトルコの主要産業である観光セクターの回復もままならず、外貨獲得手段が狭まることになる。 外貨に関しては、トルコ中銀・外貨準備高の減少傾向が止まらないのも気になる。昨日のドル/リラは、為替相場全般がドル安に振れたことでドル売り・リラ買い戻しとなったが、トルコの対外債務の多さなどを見る限りではドル化の流れはまだ続く。

 

米国では悪化する雇用指標と強まるデフレ傾向

 米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は660.6万件と、予想550.0万件を上回り前回686.7万件に続き2週連続で600万件台となった。前週は664.8万件から686.7万件に上方修正され過去最大を記録。失業保険継続受給者数は745.5万人と過去最大となった。予想823.6万人は下回った。
また、3月生産者物価指数(PPI)は前月比-0.2%と、2月-0.6%に続き2カ月連続でマイナスとなったが、予想を上回った。前年比では+0.7%と、2月+1.3%から低下したものの予想+0.5%を上回った。食品やエネルギーを除いた3月生産者物価コア指数は前月比+0.2%と、2月-0.3%からプラスに改善し予想を上回った。また、前年比では+1.4%と、低下予想に反して、2月と同水準を維持した。

 

★米FRBは低格付け債購入の導入:低格付け債ETFが上昇

新型コロナウイルスにより金融危機を上回る経済悪化が想定され、世界の中央銀行が前例のない資金供給策を連発する。米連邦準備理事会(FRB)は一般企業に間接融資する緊急措置を発動した。『禁じ手』とされた低格付け債の購入にも着手する。中銀による自国国債の買い入れは、カナダやオーストラリアなどに広がり、新興国中銀も社債などの資産購入を決断した。財政も市場も今や中銀マネーなしで成立しない。9日の米社債市場では、買い手がつかなかった低格付け債の価格が急反発した。FRBは同日朝、2兆3000億ドルもの新たな緊急資金供給を発表したが、柱の社債購入策にリスクの高い『ダブルB(投資不適格)』まで対象として組み込んだ。低格付け債に投資する上場投資信託(ETF)は、価格が7%も上昇し、新型コロナウイルスの影響が深刻化する前の2月の水準まで一気に近づいた。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数が公表

2月実績は前年比+2.4%でやや高い伸びとなった。3月については、新型コロナウイルスによる影響が広がっており、一部項目の物価上昇率は鈍化している可能性があることから、インフレ率は2月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
○16:00   1月トルコ失業率
○21:30   3月米CPI(予想:前月比▲0.3%/前年比1.6%)
         エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比2.3%)
11日01:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○11日02:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○11日03:00   3月米月次財政収支(予想:1500億ドルの赤字)
○20カ国・地域(G20)エネルギー相緊急テレビ会合
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。

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