FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻り待ちの売りが強い展開

朝方は前日のNYダウが大幅反発した流れを引き継ぎ上昇して始まったが、日経平均の最近の上昇ペースが急だったこともあり、次第に戻り売りが優勢となった。国内で8日に新たに確認された新型コロナの感染者数は500人を超え、過去最多を更新したことも重荷となった。市場では『新型コロナ感染の終息が見え始めた欧米と、これから新規の感染者数が増加していく可能性のある日本との差が意識されている』との声があった。今週に入り日経平均は前日までで1500円超上昇しており、戻り待ちの売りが出やすい面もある。一方で、新型コロナに対する米国の追加経済対策や、9日のOPECとロシアなど非加盟の主要産油国を加えた『OPECプラス』会合での協調減産合意への期待もあり、下値を探る動きも限られた。結局、前営業日比7円安の1万9345円と4日ぶり小反落して終了した。

 

東京外国為替市場:109.10円が上値目途として意識された

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、109.06円付近までじり高となった。しかし、前日の海外市場で付けた109.10円が上値の目途として意識され、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食いも見られ、108.95円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価をにらみながら、108.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩予定されている週間の米新規失業保険申請件数やパウエル米FRB議長の講演を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく、1.0860ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

原油の減産強調不調なら再び株式市場の混乱も

産油国の政府系ファンド(SWF)による投資縮小のリスクが顕在化してきた。足元の原油価格では、中東の主な産油国の財政が大幅赤字となりかねず、各国とも株式の売却に乗り出した。株式市場は落ち着きを取り戻したかにみえる。ただ9日に予定される減産協議が不調に終われば、原油価格の急落から株式市場が再び混乱する展開も予想される。

 

トルコ感染拡大と薄い景気支援策で先行き懸念高まる

トルコでは、3月11日に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、加速度的に感染が広がっている。日本とは違い検査数の多さもあるが、4月7日時点での感染者累計は3万4000人を超えて世界全体で9番目の規模となった。しかしながら、エルドアン大統領は実質的なロックダウン(都市封鎖)に踏み切れていない。 トルコ政府の対応としては、感染が拡大し始めた先月21日にまず65歳以上の外出を禁止し、先週末には20歳以下の外出も禁じた。これにどれほどの法的拘束力があるかハッキリしていないが、いずれにして21歳から64歳に関しては特段の制限はない。また、政府は4日、交通機関など公共の場でのマスク着用を義務付けた。それにともない、外出禁止令の対象となっていない市民(21歳から64歳)に対し、1人当たり週5枚のマスク(布製ではない)を無料配布することを発表した。エルドアン政権は先月、新型コロナ感染拡大にともない150億ドルの景気支援策を発表した。しかしながら、対策には必要ないと思われる税免除も含まれており、資金繰りに苦労する事業や個人への直接支援につながっていないという実情がある。また、政府は金融機関に流動性供給を続けているが、市中では銀行による中小企業への貸し渋りも発生しており、こちらに対する不安も高まっている。

 

ユーロ圏では危機対応策の財政措置がまとまらず

欧州中央銀行(ECB)は、8日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で、新型コロナウイルス危機対応として最大1兆5000億ユーロ(1兆6000億ドル)の財政措置が必要になる可能性があると主張していたことが明らかになった。ユーログループは、16時間にわたる討議にもかかわらず、合意を形成することができず8日にいったん散会し、9日に再開することになった。複数の当局者によると、ユーログループでは、フランスとイタリア、スペインが危機を巡る欧州の今年の対策は1兆ユーロを大きく上回るべきだと主張した。ECBの推計に沿う内容となっている。

 

FOMC議事要旨から迅速な対応が求められていたことが判明

米連邦準備理事会(FRB)が8日公表した3月の2回の緊急連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、新型コロナウイルスの発生が米経済に悪影響を及ぼし、金融市場を混乱させた迅速さに懸念を強め、『強力な措置』の決定につながったことが分かった。
新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が深刻化する中、FRBはこれまでで最も迅速に前代未聞の規模の支援策を導入した。議事要旨はこうした対応の経緯の詳細を初めて明らかにした。混沌とした数週間でFRBが下した判断は向こう数十年間の世界経済を形作る可能性がある。 緊急会合は3月2日と15日に行われた。政策当局者は金利をゼロ付近に引き下げ、海外の中央銀行へのドル供給を拡大したほか、危機時の金融政策の代表格となった大規模な資産買い入れプログラムを再開した。最初の利下げは2日夜のビデオ会議を経て、翌3日に発表した。 新型ウイルスの感染拡大や、感染拡大を抑えるための対策が米経済に与える打撃に対応するため、FRBが過去最大の規模の支援策を導入することを、いかに速く求められていたかが議事要旨からうかがえる。

 

米国市場では4月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

3月CB消費者信頼感指数は、新型コロナウイルスの感染が急速に広がっていることを受けて低下している。米国ないでの感染被害はさらに広がっていることから、4月の数字は3月実績を大幅に下回る可能性が高いとみられている。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00   2月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲2.9%)
         製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00   2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:60.00億ポンドの赤字/10.00億ポンドの黒字)
○15:00   2月独貿易収支(予想:165億ユーロの黒字)
○15:00   2月独経常収支(予想:170億ユーロの黒字)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月12日分、3月18日分)
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.2%)
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.15%)
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲35.00万人/失業率7.2%)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.4%/前年比0.5%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.0%/前年比1.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:525.0万件/800.0万人)
○23:00   2月米卸売在庫(予想:前月比▲0.5%)
○23:00   2月米卸売売上高
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:75.0)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○10日05:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」の会合(テレビ会議)
○米債券市場は短縮取引(聖金曜日の前営業日)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

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