FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:悪材料出尽くしから海外勢からの買い戻し

朝方は経済活動停滞への悪影響が懸念され、下げに転じる場面もあった。しかし、欧米での新型コロナウイルス感染者の増加ペースを巡る観測や政府の緊急事態宣言を受け、当面の悪材料は出尽くしたとの見方から海外短期筋の先物の買い戻しが強まり、相場を押し上げた。上げ幅は一時500円を超える場面もあった。

 

東京外国為替市場:ドルは底堅いものの上値も重い

ドル/円は、NY州で新型コロナウイルスの感染による1日あたりの死者数が過去最多を記録したことが嫌気され、108.50円付近まで下落した。しかし、下値では本邦実需勢などがドル買い・円売りに動き、108.80円台へ値を切り返した。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅高をながめてさらにドル買い・円売りが進み109.00円付近までじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドルを下支えした。しかし、前日の欧州市場の高値109.14円が上値目途として意識されると上げは一服した。その後は短期筋などの利益確定売りに押され108.85円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内3月景気ウォッチャー調査は大幅低下

内閣府が8日発表した3月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断DIは14.2で、前月比で13.2ポイントと大幅低下となった。また、先行き判断DIは18.8で、前月比5.8ポイント低下した。

 

2月の旅行収支の黒字額が大幅減少

財務省が発表した今年2月の国際収支統計では、旅行収支の黒字が前の年の同じ月と比べて大きく減少した。新型コロナウイルスの感染拡大で日本を訪れる外国人旅行者が大幅に減ったためで、旅行収支は去年2月の1997億円の黒字から、今年2月は579億円の黒字に減少した。

 

ジョンソン英首相の容態に要警戒

ジョンソン英首相は、新型コロナの発症から10日間で高熱などの症状が治まらないため、予防的措置として検査入院し、集中治療室(ICU)に移され、人工呼吸器は装着していないが、酸素を供給する措置を取っている、肺炎ではない、と報じられており、検査結果などの続報に要警戒となる。

 

ECBの買い入れ枠を使い切った後の手段が必要に

イタリアの国債市場の緊張を受け、ECBは先月、資産買い入れを強化するとともに、パンデミック資産買い入れプログラム(PEPP)を創設した。 買い入れ強化後で初となる購入実績によれば、総額1,200億ユーロの追加買い入れ枠の4分の1を半月余りで使い果たし、総額7,500億ユーロのPEPPを半年で使い切るペースでの資産買い入れを続けている。
 コロナ危機をきっかけに債務危機が再燃するリスクを防ぐECBの決意が感じられる一方、いつまでもECBが国債市場を買い支えていく訳にもいかないことが分かる。そのため、EUの安全網(EU)の利用条件緩和やコロナ共同債の議論が前進するかに注目が集まる。

 

トルコ景気の失速に注意が必要

新型コロナウイルス感染の拡大により、トルコの繊維産業も厳しい状況に陥っている。トルコメディアは7日、欧州のアパレル会社からの注文キャンセルが相次いでいることで、トルコの繊維製品輸出は今後、前年比8割ほど落ち込む可能性を報じた。新型コロナにより自動車や部品の輸出も大きく減少することが見込まれ、主要産業の観光業も打撃を避けられないなかでトルコ景気回復の道のりはかなり遠くなる。

 

バーナンキ元FRB議長発言:4-6月期GDPは30%超縮小の可能性も

バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長は7日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策で経済活動が停止する中、米経済は第2・四半期に30%を超えて縮小する恐れがあり、経済が立ち直るまでに数年かかる可能性があるとの見方を示した。バーナンキ氏は米シンクタンクのブルッキングス研究所で行われたイベントで、新型ウイルス感染拡大に対応してこれまでに打ち出された財政政策、および金融政策は適切だったが、さらなる対応が必要とし、『全般的には経済に極めて悪い年になる恐れがある』と指摘した。『経済の再開に向け実施できることはあるが、再開が危機の再燃につながらないという、より強い確信が得られるまで、経済は通常状態には戻らないと考えている』と述べた。その上で、過去の事例を踏まえると、回復が続く期間は2007─09年の世界的な金融危機後の回復期と比べると格段に短くなると予想した。米経済は回復するが、数年間の回復はわずかなものになるとの見方を示した。

 

欧米イベント

○15:00   3月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比0.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   2月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.2%)
○未定    ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.00%で据え置き)
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:18.00万件)
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲4.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○9日02:00   米財務省、30年債入札
○9日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月15日分)

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