FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引けにかけて出来高伴い強含む

NY州で新型コロナウイルスの感染症の死者数が横ばいとなり、警戒感が後退したことで米国株は急反発したことや、ドル/円の円安基調が好感され、一時600円近くまで上げ幅を広げた。時間外取引でNYダウ先物が反落する等世界的な株価の上値の重さが意識されると日経平均株価も上げ幅を縮め、円買いがやや優勢となった。ただ、14時30分過ぎから出来高を伴い突如として上昇基調が強まり上げ幅を拡大した。結局、前営業日比373円高の1万8950円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整などのドル売り・円買いも観測

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅縮小やNYダウ先物の下落を眺め108.70円付近まで下落した。安倍政権が今晩発令する緊急事態宣言を前に、持ち高調整などのドル売り・円買いも観測された。ただ、下値では値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、108.90円台へ値を切り返した。午後は、欧州通貨やオセアニア通貨に対するドル安が波及、108.67円付近までじり安となった。しかし、今晩の米国株動向を見極めたいとの雰囲気から下げは一服、108.80円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米国で新型コロナウイルスの感染による死者が1万人を超えたことから、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.0840ドル付近へ上昇した。

 

中国では旅行客が戻る

中国では先週末、日本の彼岸に当たる『清明節』の連休を迎えた。新型コロナウイルスの流行を受けた2カ月にわたる封鎖措置を経て、旅行客が戻ってきた。
中国旅行サービス最大手、携程旅行網(トリップ・ドット・コム)によると、週末3日間の連休期間中の旅行予約は前週末比50%、ホテル予約は60%それぞれ急増した。アリババグループ傘下の旅行サービス会社フリッギーによると、鉄道予約は倍増、ホテル予約は30%の伸びとなった。 4日の鉄道利用状況は1月の春節(旧正月)以来の混雑ぶりとなった。

 

協調減産まとまらなければ原油は下値模索

サウジアラビアが率いる石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国による協調減産を巡る緊急会議は9日を軸に調整している。両国は、協調減産の枠外にある最大の産油国、米国に協力を促すが、トランプ米政権は支持基盤のシェールオイル企業を保護する。隣国カナダとともに、サウジとロシアに『減産しなければ両国産原油に追加関税を課す』と圧力をかける。
OPECプラス側は当初、米国の協力に期待を示した。ロシアのプーチン大統領は3日『米国とも協力する用意がある』と述べ、協調減産に参加する産油国を増やす必要があるという考えを表明した。サウジのアブドルアジズ・エネルギー相も同日、米国の参加を念頭に『石油市場の問題解決を求めるすべての国を歓迎する』と強調した。17年からの協調減産に加わらず、下支えされた原油価格の利益だけを得てきたシェール企業をサウジ、ロシアの両国は『敵』とみなす。だが、両国もすれ違いが目立つ。

 

トルコ・南ア・メキシコの新型コロナウイルスの感染程度

人口8200万人以上のトルコでは、3月11日に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された。それから3週間半で感染者累計が2万7000人に達し、拡大傾向は止まらない。人々の予防意識がそれほど高くなかったこともあるようだが、感染が拡大し始めた当初、政府の対応が緩かったことも感染増加の加速につながったようだ。

 人口5800万人超の南アフリカでは、新型コロナの感染者はまだ2000人に達していない。ただし同国では、人口の約3割にあたる1800万人もの人が水道を自由に使えないといわれており、手洗いという重要な感染予防が出来にくい状況だ。気候変動の影響で干ばつが断続的に発生し、くわえて汚職がはびこり水道事業が機能不全となっているなかで、事態の改善見込みは低い。

 人口1億2700万人超えのメキシコでは、新型コロナ感染者が2000人を上回ったばかりだ。ただし、隣りの米国の状況をみても感染拡大は免れないのではないか。ロペス・オブラドール大統領が発表した対策も不十分と受け止められている。また、メキシコを代表するビールの1つコロナビールの売り上げも大きく減少し、同ビールの生産一時停止も発表された。


 今後、新型コロナウイルス感染の拡大がピークとなっても、新興国の状況が悪化していることも十分考えられる。新興国経済への打撃がグローバル経済回復の足かせとなるかもしれない。

 

米経済指標への信頼性が揺らぐ可能性も

新型コロナウイルスの封じ込めに向けた当局の指示で全米の業務がほぼ停止しており、経済指標の算出に必要な調査への回答が低下。今後数ヵ月は、米経済指標への信頼性が揺らぐ可能性があると報じている。同時に、新型コロナウイルスの感染拡大で、どれほど深刻なリセッションがもたらされたかをより正確に知ることも難しくなる可能性がある。

 

米国リセッションでトランプ大統領再選も黄信号か?

米国大統領選挙の年に、米国がリセッション(景気後退)に陥り、失業率が上昇傾向にあった場合、当然のことながら現職の大統領は敗れている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、米国経済はリセッション(景気後退)に陥る可能性が高まっており、失業率も上昇していることで、トランプ第45代米大統領が11月の大統領選挙で再選される可能性は限りなく低下している。
・1980年のカーター大統領:イラン革命による原油価格の高騰
・1992年のブッシュ大統領(父):湾岸戦争による景気減速

 

欧米イベント

○14:45   3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.8%)
○15:00   2月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.9%/前年同月比▲3.0%)
○15:45   2月仏貿易収支(予想:49.30億ユーロの赤字)
○15:45   2月仏経常収支
○20:00   3月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.20%)
○21:00   2月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.3%)
○23:00   3月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:41.0)
○8日02:00   米財務省、10年債入札
○8日04:00   2月米消費者信用残高(予想:140億ドル)
○政府、新型コロナウイルス感染拡大を受けて緊急事態宣言(予定)
○ユーロ圏財務相会合(ビデオ会議)

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