FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く上値の重い展開

前日の米国か株式市場が堅調だったほか、原油価格の上昇により信用不安が後退したことで、朝方から買い優勢で始まった。ただ、新型コロナウイルス感染拡大を受けた国内景気下押し懸念や日銀ETF買い見送り観測に先物主導で下げに転じた。また、週末である上に米国で重要経済指標の発表を控えているため見送りムードが台頭、徐々に全般的に伸び悩む展開となった。結局、前日比1円高の1万⑦8②0円と5日ぶり小反発して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く107円台後半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦実需勢のドル買い・円売りに支えられ108.15円付近まで上昇した。しかし、新型コロナウイルスの感染者が世界全体で100万人を突破したことから、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の上げ幅縮小やNYダウ先物の下落を眺めたドル売り・円買いが入り、107円台後半へ押し戻された。午後は、日経平均株価をにらみながら107.90円前後でもみ合う展開となった。今晩発表される3月米雇用統計や3月米ISM非製造景況感指数を前に、様子見ムードも広がった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスの感染に歯止めがかからないことから、1.08ドル台半ばで上値の重い展開となった。

 

GPIFの運用は四半期ベースで過去最大の赤字幅の可能性

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の1~3月期の運用は17兆円前後の赤字になるとみられることが2日、民間エコノミストの試算で分かった。運用資産の半分を国内外の株式に投資しており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な株安が響いた。四半期ベースで過去最大の赤字幅とみられ、2019年度全体でも8兆円前後の赤字になる見込みだ。世界経済の減速懸念が拡大する中、株式比率の高い運用のリスクが顕在化した形。ただGPIFは長期的な運用をしており、短期的に運用が赤字になっても直ちに年金の支給に影響は出ない。

 

新興国企業の債務借り換え問題のリスク

ドル需給がひっ迫する中で、先進国や新興国の民間企業がこれまで借り入れてきた膨大なドル建て債務を返済できるのか、借り換えできるのか、目下金融市場で最大の関心事となっている。米金融大手ゴールドマン・サックスは先月22日、新興国が今後1年以内に償還しなければならないドル建て債は総額340億ドル(3.67兆円)と試算し、バーレーンやエクアドルなど一部の産油国を除き、ほとんどの新興国は外貨準備を使って債務返済できると予想した。ただ、同社の予想は新興国の政府債務が対象であり、より大きな規模の民間債務は含まれていない。

 

米国の過去弱気相場では現職大統領は敗北

2020年3月の時点で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、ニューヨーク株式市場は、史上最高値から20%以上下落したことで、11年間に及ぶ『強気相場』から『弱気相場』入りが確認された。米国の過去の弱気相場では、高値からの下落率は平均で38%、元の水準に戻るまでは平均で2年4カ月かかっている。 米国の大統領選挙での再選に向けた選挙期間中に景気後退に陥った例は2回あるが、どちらも現職が敗北している。
・1980年のカーター大統領:イラン革命による原油価格の高騰
・1992年のブッシュ大統領(父):湾岸戦争による景気減速(経済こそが重要、愚か者)


世界経済の悪化を警戒しリスク回避の動きが優勢

各国の3月製造業PMIが警戒された通り軒並み活動の縮小を示した。さらに、米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数は前週比334.1万件増の664.8万件と、予想376.3万件を上回る過去最多で脅威の結果となった。失業保険継続受給者数は302.9万人と2013年以降で最高となったが、予想494.1万人は下回った。新型ウイルスを巡る外出自粛で経済がほぼ停止状態であることが前週に続き影響した。米国でも新型ウイルスによる死者の数が急増しており外出自粛が4月末まで延期されたが、一段と延期される可能性も除外できない。経済活動の再開が遅れると、失業者がさらに増え、中小企業の破綻や商業不動産市場の混乱などさらなる経済の悪化が警戒され、政府の過去最大の経済救済策でも支えられない可能性が懸念材料となる。

 

米国市場では3月雇用統計が公表

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は前月比-2.7万人と、2017年9月来の減少となった。ただ、予想の-15.0万人ほど減少しなかった。この結果は月半ばまでの統計となるため、外出自粛が本格化した20日以降の大幅な雇用削減の影響はまだ含まれていない。米雇用統計の結果に完全に反映するのも1,2カ月先になる可能性がある。
ウイルスの影響で、セントルイス連銀は第2四半期の失業率が30%まで上昇すると試算しているほか、カプラン米ダラス連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁は10%超えに達すると見ている。米連邦議会予算事務局(CBO)も、第2四半期の国内総生産(GDP)が7%マイナス成長、失業率は10%超えを予想している。
また、製造業の雇用も相変わらず冴えず、3月ISM製造業景況指数の雇用も43.8と、8カ月連続で50を割り込み活動の縮小を示したほか景気後退時の2009年5月来で最低となった。
■市場予想失業率:3.8%(2月3.5%)非農業部門雇用者数:前月比-10万人(2月+27.3万人)民間部門雇用者数:前月比-12.3万人(2月+22.8万人)平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+3.0%(2月+0.3%、+3.0%)

 

欧米イベント

○15:45   2月仏財政収支
○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.55%/前年比11.85%)
○16:50   3月仏サービス部門PMI改定値(予想:29.0)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:34.3)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:28.4)
○17:00   3月ノルウェー失業率(予想:13.5%)
○17:30   3月英サービス部門PMI改定値(予想:34.8)
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.1%/前年比1.7%)
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化▲10.0万人/失業率3.8%/平均時給、前月比0.2%/前年比3.0%)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:38.5)
○22:45   3月米総合PMI改定値
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:44.0)
○5日 豪州、NZが冬時間に移行

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