FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日の米国株安を嫌気した売り優勢

前日の米国株安が嫌気され、東京市場も朝方から売りが先行した。商いが薄い中、仕掛け的な売りが入り、下げ幅を一時350円超に拡大したが、日銀の動きが意識され、前引けにかけて下げ幅を縮めた。3月末までは年金のリバランスの買いや配当再投資の買いなどが下値を支えたとみられるが、前日から名実とともに新年度相場入りしたことで、これらの支えが望めなくなった。そのため、買いが入らない中、売りに押されやすい状況となっている。結局、前日比246円安の1万7818円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の下落幅拡大を眺め円買いがやや優勢

ドル/円は、国内輸入企業や国内機関投資家などのドル買い・円売りに支えられ107.57円付近までじり高となった。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染拡大による死者が、ニューヨーク州を中心に急増していることから、上げは一服した。その後は、利食い売りなども見られ、107.40円台を中心に取引された。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めたドル売り・円買いに押され、107.25円付近へ下落した。しかし、今晩の米国株の動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気から下押しは限られ、107.30円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動で、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.09ドル台前半から1.09ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

トルコ経済の先行き不透明感が深りトルコ売り

トルコでは昨日、新型ウイルスの新たな感染者が2150人弱ほど確認され、感染累計が15600人を超えた。一方で回復した人数は330人程度にとどまっており、今後も同様のペースで感染が広がれば医療機関の許容量を超えてしまうと危惧する声が高まっている。新型コロナ感染による医療崩壊が現実味を帯び始めているにもかかわらず、エルドアン・トルコ大統領は経済活動の停止につながることを恐れてロックダウン(都市封鎖)の宣言に躊躇している。このままでは新型コロナへの対応が後手に回ることが目に見えており、感染爆発となればトルコ経済へのダメージは計り知れない。2018年のトルコショック後に財政基盤がより脆弱となったトルコにとって、欧米のような積極的な景気支援策をとることもできず、トルコ経済の先行き不透明感は深まるばかりである。リラ円は心理的節目16円を割り込み、史上最安値15.46円が視野に入ってきた。

 

南アの5大銀行の格下げでランドの上値を抑える

昨日、3大格付け会社の1つであるフィッチ・レイティング(以下フィッチ)は南アの5大銀行を更に格下げしBBにした。また、アウトルックも引き続きネガティブにしている。フィッチは今回の引き下げについて『南アフリカの非常に密集して脆弱な社会構造のために、パンデミックに特にさらされている』と警告し、『顧客の活動の低下、利ざやを圧迫する金利の低下、信用損失の増加』なども格下げ要因としている。銀行の格下げは南アだけではないが、先週ムーディーズに南ア債を格下げされていることもあり、相次ぐ格下げは南アにとっては悪材料でランドの上値を抑える。また、株式市場が軟調に推移していることで、ランド/円の上値を抑える。

 

昨日公表の米国経済指標は概ね市場予想ほどは落ち込まず

米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM製造業景況指数は49.1と、2月50.1から12月以来の50割れと活動の縮小に転じた。しかし、予想44.5程は落ち込まなかった。
米国商務省が同時刻に発表した2月建設支出は前月比▲1.3%と、予想外に2019年5月来のマイナスに落ち込んだ。下落率は2018年10月以降で最大となり、新型ウイルス蔓延の影響が広がる以前から建設支出がかなり落ち込んでいたことが明らかになった。
事前にマークイットが発表した3月製造業PMI改定値は48.5と速報値49.2から下方修正され過去最低に落ち込んだ。しかし、予想48.0は小幅上回った。また、米国の民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は前月比▲2.7万人と、2017年9月来の減少となった。ただ、予想の▲15.0万人ほど減少しなかった。ただ、月半ばまでの統計となるため、外出規制が本格化した20日以降の大幅な雇用削減の影響はまだ出ていない。

 

米シェールオイル生産大手が原油下落で初めての破綻

米国で新型原油シェールオイルを生産するホワイティング・ペトロリアムは1日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を米裁判所に申請した。米メディアによると、最近の原油相場の急落を受け、経営が悪化したシェールオイル生産大手が破綻するのは初めてとなった。原油相場は、新型コロナウイルスによる世界的な経済活動の停滞で需要が減少する中、有力産油国のサウジアラビアとロシアの増産方針を打ち出したことで、供給過剰懸念が高まり、1バレル=20ドル付近に低迷している。米国のシェールオイル業者は、この価格水準では採算割れとみられ、経営が厳しくなっている。

 

欧米イベント

○15:00   3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.1%)
○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○18:00   2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.2%/前年比▲0.7%)
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   2月カナダ貿易収支(予想:18.7億カナダドルの赤字)
○21:30   2月米貿易収支(予想:400億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:350.0万件/488.2万人)
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比0.2%)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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