FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済活動の停滞への懸念が強まる売り優勢

新型コロナウイルスの感染者増加はとどまることを知らず、経済活動の停滞への懸念を強めている。外国為替市場で円高が進行し、NYダウ先物も下落したため、東京市場も軟調地合いとなり、幅広い業種での売りが先行した。本日は3月の配当権利落ち日で、日経平均株価に対し180円程度の押し下げ要因となったとみられている。一時下げ幅が800円を超えたものの後場は日銀のETF買い観測で下げ渋り、結局、前週末比304円安の1万9084えんと反落して終了した。

 

東京外国為替市場:107.00円の心理的節目手前で下げ止まる

ドル/円は、月末・期末に絡む本邦実需勢などのドル売り・円買いや日経平均株価の大幅安を背景に、107円台後半から107.14円付近まで下落した。米国で新型コロナウイルスの感染者が急増していることも、ドルの重石となった。しかし、心理的節目の107.00円が視野入りすると下げは一服した。午後は、NYダウ先物や日経平均株価の下げ幅縮小を眺めてショートカバーが入り、107円台後半へ値を切り返した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

首都封鎖では想定を超す大きな傷を生む可能性も

小池百合子東京都知事が都市封鎖(ロックダウン)に言及後、東京都内の移動を厳しく制限する『首都封鎖』の現実味が高まっている。しかし、政治・経済の機能が集中する首都圏で移動を規制した場合、生産や消費に直接的な打撃が発生するだけでなく、社会心理が不安定化し、マインド悪化から景気のV字回復ではなく、L字回復に陥るリスクも高まる。『コロナショック』への対策として政府・与党は50兆円規模の支援策を検討しているが、その中には『首都封鎖』対策が今のところ入っていない。封鎖中に売り上げがゼロになる中小・零細企業の『所得補償』というセーフティーネットを構築しないまま、強権を発動すると、日本経済に想定を超す大きな傷を生み出すことにもなりかねない。

 

新型コロナウイルス対策資金で欧州分裂の危機

新型コロナウイルスまん延に伴う経済的打撃にどう対応するか、欧州連合(EU)の南北分裂が深刻化している。イタリアなどが求めたEU共通の『コロナ債』をドイツやオランダが拒否した。イタリアのEU不信が強まっている。『この未曽有の困難に立ち向かえないなら、欧州という建物全体が存在理由を失う』。コンテ伊首相は28日付の伊紙ソレ24オレでEUの『連帯欠如』に強い不満を訴えた。
毎日数百人規模の死者を数え影響が甚大なイタリアやスペインは『コロナ債』などと呼ぶ共通債の発行を要求した。EU全体で協力して対策資金を調達すべきだと主張している。しかし、26日のEUテレビ首脳会議では、イタリアなど南欧各国の財政規律の緩みを懸念するドイツやオランダが反対した。債務危機対策基金『欧州安定機構(ESM)』活用でも折り合えず結論を持ち越した。

 

今週末の米3月雇用統計は大幅悪化予想

4月3日には発表される3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比▲10.0万人程度と予想されており、全体の雇用者数は2010年9月以来となる前月比マイナスとなることが予想されている。失業率は2月実績から0.3ポイント上昇の3.8%程度となる見込み。ただし、先週26日発表された米新規失業申請件数(週間)は、市場予想を大幅に上回る328.3万件となった。過去最多の申請件数であり、今週発表される新規失業保険申請件数も300万件を超える可能性があることから、市場関係者の間からは『4月の失業率は二桁に上昇し、リーマン・ショック後に記録した10.0%を上回る』との声が聞かれている。

 

米国企業は投資適格債券発行で資金調達

米連邦準備理事会(FRB)が23日に無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定したことを受け、米国企業による投資適格級債券発行を通じた資金調達額は27日までの週に過去最高の1091億ドルに達した。 IFRリフィニティブのデータによると、ナイキやマクドナルド、ホーム・デポなど49社が27日までの週に投資適格級債を発行した。週間ベースでこれまで過去最高の資金調達額だったのは2019年9月に記録した735億ドルだった。

 

欧米イベント

○15:00   2月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比6.70%)
○16:00   3月スイスKOF景気先行指数(予想:85.0)
○17:30   2月英消費者信用残高(予想:11億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○18:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲11.6)
○18:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.0)
○21:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.0%/前年比なし)
○欧州が29日から夏時間に移行済み

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