FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高に連れて買い優勢の展開

前日の米国株式市場は主要株価3指数が大幅高となったことを受けて、日経平均株価も流れを引き継ぎ朝方から幅広く買いが入った。その後は為替市場での円高進行やNYダウ先物の難関などが重荷となり、上げ幅を縮小する展開となった。本日は3月決算企業の権利付き最終日なので、再投資分の先物買いが入るので下値を支える。大引けにかけて機関投資家の配当再投資の先物買いに上げ幅を広げ、結局、前日比724円高の1万9389円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末がらみのドル売り

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが継続的に持ち込まれ、108.25円付近へ下落した。米国で新型委コロナウイルスの感染者が急増し、中国を抜いて世界最多になったことも、ドル売りを誘った。しかし、今晩の米国株価や経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後には、日経平均株価の上げ幅拡大やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り、108円台半ばへ水準を切り上げた。ユーロ/ドルは、前日に発表された週間の米新規失業保険申請件数の急増で、米景気減速を警戒したユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.10ドル台半ばから1.10ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

原油処分売りでアジア通貨危機以来の価格は急落

北海ブレント油が1バレル=27ドル前後まで下落しているが、大半の石油生産国は現在、原油を20ドル未満で処分売りをしているのが実情で、スポット価格は1990年代末のアジア通貨危機後以来の低水準に落ち込んでいる。石油価格は新型コロナウイルス感染拡大による需要の落ち込みと、サウジアラビアとロシアのシェア争いによる供給増加が相まって急落している。一部の油種はブレント油より低い価格で売られるのが普通だが、現在の市場環境下でその差はさらに拡大した。通常はブレント油より高いその他の油種も、現在はかつてないほどブレント種の価格を下回っている。こうした値引きにより、多くの産油国で1バレル当たりの石油収入は、2020年予算に織り込まれた想定価格を大きく割り込んでおり、一部の国では国家財政がさらに圧迫される。

 

死者数が少ないことが国民のパニック化の抑制要因

死者数が少ないことが国民のパニック化を一定程度抑え、過度に医療機関に殺到することなく、オーバーシュート・リスク抑制に寄与している。
各国の総人口100万人当たりの死者数を対比した統計がある。イタリアが総人口6046万1826人に対し死者数5476人、100万人当たり90.6人と断トツに多く、スペイン4675万4778人に対し37.9人、イラン8399万2949人に対し20.0人、フランス6527万3511人に対し11.9人、英国4.1人、中国2.2人、韓国2.1人、米国1.7人、ドイツ1.1人、日本は0.7人である。イタリア、スペイン、イランは明らかにオーバーシュート(感染者の爆発的増加)状態に陥っており、英国、中国、韓国、米国、ドイツなどは1-5人程度で収束に向かう国とこれからクラスタ感染が増えて上昇する可能性のある国に分かれる。
日本は死者数が少ないことが、上記の政府筋が指摘するように国民のパニック化を一定程度抑制し、封鎖・隔離「非薬事介入」政策の早期解除思惑となっている。

 

見えない恐怖は9.11同時多発テロを上回る深刻な状態

新型コロナショックは9.11同時多発テロ時より『見えない恐怖』が強く、封鎖・隔離による経済活動制限の経済ショックが加わり、より深刻な状態に変わりない。9.11同時多発テロが起きた01年7-9月期の米GDP成長率は-1.3%と浅いマイナス成長であり、企業の設備投資や輸出減に拠るもので、個人消費はむしろプラスを維持した。だが、今回はトランプ大統領が非常事態を宣言し、新型コロナ感染拡大阻止の封鎖・隔離『非薬事介入』政策の徹底により米景気の牽引役の個人消費は消滅、『需要ショック』に4-6月期の2桁マイナス成長は避けられない。新型コロナ感染症の『ブラックスワン』に直撃され、そこにサウジとロシアの米シェール潰しの協調減産崩壊「オイルショック」が圧し掛かる『外因性ショック』だけに、米FRBの積極果敢かつ大規模緩和が効き辛い環境となっている。

 

リーマン・ショックを上回る景気後退の可能性も

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国の今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比24%減(年率換算)に落ち込む、との予想を米金融大手ゴールドマン・サックスが20日にまとめた。JPモルガンも・チェースも18日時点で前期比14%減と予想するなど、米銀大手は相次ぎ経済見通しを引き下げており、景気後退入りが確実視されつつある。米政府が現行方式でGDPを集計し始めてから、四半期ベースでもっとも成長率が低かったのは1958年1-3月期のマイナス10%。リーマン・ショック直後の2008年10-12月期でもマイナス8.4%だった。

 

米国市場では2月PCEコア価格指数が公表

1月実績は前年比+1.6%にとどまっており、インフレ加速を示唆する数値ではないことが確認された。2月時点では米国内での新型コロナウイルスの感染拡大の影響は小さいことから、コア価格指数に大きな変動はないとみられる。

 

欧米市場のイベント

○16:45   3月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○21:00   2月メキシコ貿易収支(予想:9.50億ドルの黒字)
○21:30   2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.2%)
       2月米個人所得(予想:前月比0.4%)
       2月米PCEデフレーター(予想:前年比1.7%)
       2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:90.0)
○29日 欧州が夏時間に移行

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