FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

東京都での新型コロナウイルスの感染者急増と外出自粛要請から警戒感が広がり、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。前日に丸紅が今期の当期損益予想を赤字に修正したことで、企業業績の下押しに対する懸念も出た。日経平均株価は3営業日で3,000円近く上昇していたことから、利益確定のタイミングとなった。結局、前営業日比882円安の1万8664円と4日ぶりに反落して終了した。海外投資家は6週連続で売り越しとなり、3月第3週は4,134億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:日本株の下落を睨みながら円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦実需勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、110.46円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えたことも、ドル売り・円買いを誘った。しかし、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、110.80円付近へ切り返した。午後は、日経平均株価を睨みながら、110円台後半でのもみ合いが続いた。パウエルFRB議長が今晩日本時間午後8時過ぎからテレビに出演してインタビューに応じるため、内容を見極めたいとの雰囲気から、上下に動きにくくなった。ユーロ/ドルは、今晩発表される週間の米新規失業保険申請件数が急増するとの警戒感から、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.09ドル台前半の高値圏で推移した。

 

原油市況の低迷は国際禁輸市場の動揺を増幅

原油市況の低迷は産油国経済の悪化に加え、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)による現金化懸念などを通じて折からの国際金融市場の動揺を増幅させる事態に発展している。 国際金融市場の動揺でリスク資産からの逃避が進むなか、産油国では原油市況の低迷も重なり中南米やロシアなどで通貨安圧力が強まっている。金融市場ではこれらの国々のリスクが意識されているが、事態長期化による経済への影響は経済規模が小さい中東や旧ソ連の産油国の方が大きくなりやすい。サウジやロシアは持久戦も辞さない姿勢をみせるなか、中東及び旧ソ連の国々には一段と厳しい事態も懸念される。

 

ユーロ圏の足並みの乱れが市場の不信感を招く可能性も

ユーロ圏各国政府はコロナ危機対応での財政出動を強化しているが、ユーロ圏として一体的な対応を打ち出すには至っていない。24日のユーログループ会合では、EUの救済基金(ESM)を活用し、コロナ対応で財政出動が必要となった国に信用枠を設定することが検討されたが、結論が持ち越された。 それは、オランダなど財政規律を重視する国が、通常の支援プログラム同様に、財政再建や構造改革の履行条件を課すことを求めた。ECBの緊急資産買い入れプログラム(PEPP)創設で、国債市場の緊張に機動的に対処することが可能となったことも、財政当局の危機感後退につながった。こうした危機対応でのユーロ圏の足並みの乱れは、市場の不信感を招きかねない。

 

NYダウの弱気相場でリセッションの確率は約8割

レーガン政権以来30年ぶり大型減税を掲げたトランプノミクス(トランプ大統領の経済政策)を追い風に3年掛けて今年2月12日2万9568ドルの史上最高値に駆け上がった『トランプ相場』はすでに消滅した。米NYダウ3万ドル目前で皮肉にも米中貿易戦争の仇を打つように『武漢ウイルス』(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)が襲撃、つるべ落としの様相を呈して3月23日に2016年の大統領選安値(11月9日)1万8252ドルを下回る1万8213ドルへと下落率38%の全値戻しを余儀なくされた。米国株『弱気相場』は過去90年超の間に13回あり、うち1年以内の米景気後退(リセッション)は11回、1987年と1966年の2回のみリセッションが回避された。つまり、米国株「『弱気相場』入りは約8割の可能性で米リセッションに繋がる。

 

米国5年債入札は好調な結果:資産現金化の債券売りも一巡

米財務省は410億ドル規模の5年債入札を実施した。結果で応札倍率は0.535%と過去最低を記録した。応札倍率は2.53倍とほぼ2年ぶりの高水準で、過去6回入札平均の2.42倍も上回り需要は強かった。各国中銀を含む間接ビッドは52.1%と、前回入札の61.5%を下回った。強い入札結果を受けて米国債は堅調推移した。米10年債利回りは0.87%から0.78%まで低下した。

 

欧米イベント

○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.2%/前年比0.8%)
        英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比1.1%)
○16:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:7.1)
○16:45   3月仏企業景況感指数(予想:97)
○18:00   2月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比5.2%)
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比4.4%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   MPC議事要旨
○21:00   2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.59%)
○21:30   10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.1%)
           個人消費(確定値、予想:前期比1.7%)
           コアPCE(確定値、予想:前期比1.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:100.0万件/179.1万人)
○27日02:00   米財務省、7年債入札
○20カ国・地域(G20)首脳、緊急ビデオ会談

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