FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀のETF買いに対する期待が下支え要因

時間外取引でNYダウ先物が弱含んだほか、アジア株式市場も波乱商状となる中で、買い戻す動きが活発化し底堅く推移した。引き続き市場環境は厳しいものの、日銀のETF買いに対する期待も下支え要因となっている。また、日経平均に影響力の大きいソフトバンクグループが大規模な保有資産の売却を原資とした自社株買いなどを発表して急伸したのも指数を押し上げた。年金などの買い観測もあり、下値が堅いとみた短期筋の買い戻しも入った。結局、前営業日比334円高の1万6887円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル売り強まり109円台後半へ下落

ドル/円は、上昇ピッチが速すぎるとの警戒感から、利食い売りなどに押されて110円台後半から110.00円まで下落した。米長期金利が低下したことや、日銀がドル資金供給オペを通知したこともドル売りを誘った。午後に入ると、日経平均株価の大幅反発に支えられ110.40円付近まで値を持ち直す場面もあった。しかし、今晩の米国株や原油相場への動向を見極めたいとのムードもあり、ドル買い・円売りは続かなかった。その後はユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及し、110円台を割り込んで一時109.80円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、先週末の海外時間におよそ2年11ヵ月ぶりの安値をつけた反動から、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.0750ドル台へ上昇した。

 

新規感染者は中国への逆輸入止まらず

中国では22日、新たに46人の新型コロナウイルス感染者が報告された。国家衛生健康委員会によると、このうち45人が海外からの入国者で、新規感染者は4日連続で前日を上回った。新型コロナの震源地となった中国は感染者を急速に減らしたが、海外から新たに持ち込まれるケースが着実に増えている。ほとんどは外国から帰国した中国人となっている。21日は41人の感染が報告され、全員が海外からの入国者だった。

 

食料品値上がりに中国の利下げは見送り

中国人民銀行は20日、政策金利である最優遇貸出金利(LPR)を年4.05%に据え置くと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による経済落ち込みに対応すべく利下げ観測がくすぶっていただけに、据え置きは意外感をもって受け止められた。その意味で、人民銀の利下げ見送りは想定外といっても過言ではなく、豚コレラ等による食料品値上がりに配慮した可能性がある。中国ではLPR(1年物)を貸出基準金利に替わる政策金利としており、大手国有企業など優良企業向け貸出金利との位置づけで、新型コロナ感染拡大で受けた経済的な打撃を和らげるべく2月は昨年11月から3ヶ月ぶりに引き下げられた。

 

リスクパリティー戦略が相場の下げを加速

シーポート・グローバル・ホールディングスのマネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は『債券市場で現在進行している出来事のほとんどは、株式投資で生じた損失を穴埋めするための買い持ち解消だと考えている』と述べた。同氏は今の値動きについて『株安・債券高というリスクオフからは大きくかい離しており、(債券の)換金売りで、できるだけ多くの現金を取ろうとしている』と説明する。過去数日間の売り圧力の一部は『リスクパリティー戦略』などを組み込んだコンピューターのシステム取引が原因だ。リスクパリティー戦略は、債券と株式の双方を買い持ちにするなどして、ポートフォリオ構成資産にリスクを分散、リスク量を均等化させ、資産全体のリスクを低下させることを目指す。しかし、こうした戦略は、ボラティリティーの高まった時間が長引くと、自動的なプログラム売りが発動されて全資産が一斉に売りに出され、相場の下げを加速させる。 

 

米大統領選は延期できるのか?

新型コロナウイルスの感染抑制に向けた措置が厳しくなる中、米大統領候補を選ぶ民主党の予備選・党員集会が最後まで実施できるのか、懸念が高まっている。秋までに感染拡大が収束していなければ、11月の本選の実施も危ぶまれる。
米国の選挙制度は、州法と連邦法が複雑に絡みあっている。大統領候補の選定プロセスを巡っては、民間組織である政党が自ら内部規定を設定できるため、さらに複雑さが増すとされている。

 

金融経済混乱後の反動で米長期金利は上昇

米国債金利は世界的キャッシュ化余波で上昇(価格は下落)となっているが、その一巡後も再上昇の余波が警戒される。過去の金融経済混乱における米10年債金利でいえば、2008年9月のリーマン・ショック直後、同年12月にかけて2.04%方向へと急低下した。しかし、その同月段階から、米国株が底入れ反転となる翌2009年3月の前に先行して金利は上昇へと転換した。現在と同じような過度な安全逃避の反動調整もあり、2009年6月にかけて4.00%方向に金利が急上昇した。2001年9月のNY同時テロの際にも、米10年債金利は同月最高の5.00%から11月には4.10%方向へ急低下した。しかしその後は現在期待されている財政出動の実際の始動などもあって、上昇へと転換した。翌2002年3-4月にかけて5.47%へと急上昇した。

 

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