FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物の下げ幅拡大で連れて売り優勢に

前日の米国株市場が反発した流れを引き継ぎ、朝方から買いが先行した。NYダウ先物の軟調推移を眺めて上げ幅を縮小する場面もあったが、前日終値近辺で踏みとどまった。日銀のETF買いへの期待や年金の買い観測なども出ている。市場では『米港株が下げ止まらないと日本株の本格的な反発は見込めない。新型コロナウイルスは中国国外での感染拡大が止まっておらず、あや戻しにすぎない」との声もあった。時間外取引でNYダウ先物が下げ幅を広げたことで、今晩の米国株式市場への警戒感から売りが優勢となった。結局、前営業日比284円安の1万6726円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:NYダウ先物の下落でドル売り

ドル/円は、NYダウ先物の下落や時間外取引での米長期金利低下を眺め、107.10円付近まで下落した。前日の海外時間に急伸した反動から、利益確定売りなどのドル売り・円買いも観測された。午後もこの流れは続き、日経平均株価が急速に伸び悩んで下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進み、107円を割り込んでいちい106.95円付近まで下落した。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ107.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を背景に持高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1045付近まで上昇した。

 

昨今の市場は『ミンスキー・モーメント』

一般的に「ミンスキー・モーメント」とは米経済学者ハイマン・ミンスキー氏の名前に因んだもので、投資家が保有する投機的でないポジションさえも債務支払いで売却の必要に迫られ、価格下落スパイラルと深刻な貨幣需要が生じる瞬間をいう。つまり、投資家が過剰な投機で生じた債務スパイラルにより、深刻なキャッシュフロー問題を抱えるポイントであり、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来るとされる。今回の米国株の急落は、バブル的な信用(債務)膨張に支えられた経済で長く隠れたリスクが突然、新型コロナウイルスのパンデミックにより『ブラックスワン』が顕在化、慌てふためいた投資家による資産『投げ売り』が株価暴落を誘発している可能性がある。

 

スペイン風邪も実は中国が発生源

中国を発現地とする疫病拡大の一つが1918年秋に全世界で猛威を振るったインフルエンザ『スペイン風邪』であり、当時の感染者は地球人口の20-40%に及び、感染からわずか4ヵ月で死者2000万人、死亡率2.5%の惨状に至った。日本でも2000万人以上が感染し、死者は約40万人に上った『スペイン風邪』は、その名称からスペインが発生源と誤解する人が多いが、実は、中国が発生源であり、1917年に中国南方で発生し船便を通じて世界各国へ拡散した。スペイン風邪だけでなく、インフルエンザ系ウイルスによる中国を発現地とする疫病拡大の歴史は枚挙に暇がない。1880年に広東で発現したコレラは、翌81年に北京で大流行、感染経路が広東を発源地とする03年SARS流行と酷似したことは記憶に新しい。新型コロナが『100年に一度のパンデミック』とすれば、感染拡大封じの封鎖・隔離『非薬事介入』政策の長期化による経済ショックが懸念される。

 

米国の新型コロナウイルス対策として巨額財政支出の検討

米ホワイトハウスと米連邦議会は、新型コロナウイルス対策として巨額の財政支出の検討に入った。トランプ米大統領は2020年だけで8000億ドル(約84兆円)という異例の大型減税を提案、野党・民主党にも家計や中小企業を対象に7500億ドル規模の財政支出案が浮上している。米経済は景気後退懸念が強まり金融緩和『限界論』と共に次は財政出動が求められている。米議会は3月6日ワクチン開発等に充てる83億ドルの緊急補正予算を成立、16日には下院で新型コロナの検査無償化などを盛り込んだ『第2弾』の経済対策を可決した。さらに、16日に連邦政府に500億ドル超の支援を要請した米航空業界への資金繰り支援策をホワイトハウスと議会は『第3弾』として検討する。米経済は小売店や飲食店の営業停止や欧州等の入国制限で景気後退懸念が浮上しており、米政権と議会は本格的な景気浮揚策の検討に着手せざるを得ない。

 

欧州各国も新型コロナウイルスの感染拡大による緊急対策

欧州各国は医療体制強化や企業資金繰り支援など新型コロナウイルスの感染拡大による社会混乱や景気失速を防ぐべく緊急対策を打ち上げ株価は2000ドル近く急反発した。1.7万人超と中国に次いで感染者が拡大したイタリア政府は、最大250億ユーロ(約3兆円)の経済支援策を用意、売り上げが大幅減少した企業の支援、医療体制の拡充などに充てる。スペインの感染者は5000人を超え、サンチェス首相は13日に非常事態を宣言、政府が強制力を持って人の往来を制限し一定物資を管理下に置く。ドイツ政府は13日、新型コロナの感染拡大の影響を受けた企業の資金繰りを支援すべく総額に上限なき無制限の信用供与を実施すると発表、メルケル首相は『必要なことは何でもやるつもり』と財政出動を示唆した。

 

米国の失業率が20%まで悪化する可能性も

ムニューシン米財務長官が与党共和党の上院議員に対し、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済の混乱により、米国の失業率が20%まで悪化する可能性があると警告したと報じている。現在は3.5%と約50年ぶりの低水準を維持しているが、2008年の金融危機時に比べて悪い状況に陥る恐れがあると懸念を示したという。 

 

欧米イベント

○17:00   2月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%/前年比4.5%)
○19:00   1月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:192億ユーロの黒字)
        ユーロ圏貿易収支(季調前)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.2%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.3%)
○21:30   2月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
○21:30   2月米住宅着工件数(予想:150.0万件、前月比▲4.3%)
        建設許可件数(予想:150.0万件、前月比▲3.2%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○未定   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.00%に引き下げ)
○米政権、対欧州連合(EU)への関税引き上げ発動

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