FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:終日上下に振れる不安定な展開が継続

米FRBが金融利下げを実施したことが、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に対する懸念を強めた。前日の米国株式市場でNYダウが2997ドル下落し、過去最大の下げ幅となった。そのため、東京株式市場も米国株の流れを引き継ぎ続落スタートとなったものの、その後はNYダウ先物や為替のドル/円と連動し、プラス圏とマイナス圏を往来する展開となった。結局、前営業日比9円高の1万7011円と5日ぶりの小幅高となった。

 

東京外国為替市場:株価に連れた動きが継続

ドル/円は、引き続き株価につれた動きとなり、日経平均株価が後場に250円超高まで上げた場合で106.60円台まで下値を切り上げたが、株価が再び上げ幅を縮めたため戻りは鈍かった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半を中心としてもみ合う展開となった。欧州勢待ちの展開となっている。

 

東京五輪中止の場合3兆円以上の損失か:第一生命経済研究所

国際オリンピック委員会(IOC)は17日21時頃、電話会議による臨時理事会を開催する。第一生命経済研究所の16日のレポートでは、東京オリンピックが中止となった場合の損失が3兆円以上となる見込みと指摘した。1984年のロサンゼルス以降の夏季オリンピックを開催した国の経済成長率の平均では、開催年にプラス0.3%ポイント押し上げられており、GDP(国内総生産)の押し上げ額に換算するとプラス1.7兆円、経済波及効果ベースでプラス3.2兆円程度になるという。東京オリンピック・パラリンピックが中止になった場合に最も注意しなければならないのは、『日本人や外国人旅行客の特需が失われることだろう』と指摘している。

 

ロイター短観では過去最大の悪化の見込み

新型コロナウイルスの感染拡大による景況感の悪化で、製造業DIがマイナス20、非製造業DIがマイナス10と、そろって2桁のマイナスとなった。製造業で前月比15ポイントの悪化と、東日本大震災直後の2011年4月以来の悪化幅となった。非製造業は統計開始の1998年6月以来、過去最大の25ポイントの悪化幅となった。新型ウイルスの感染拡大に伴う受注の減少や、消費の落ち込み、イベント開催の中止による売り上げ減など、マイナス要因を挙げる声が多く聞かれた。今回は3月2日‐3月12日に調査が行われた。調査期間は、新型ウイルスの感染が拡大した最中にあたる。調査票発送企業は502社、回答社数は242社。

 

米FRBの金融性政策の出尽くしによる警戒感強まる

欧米での感染拡大は加速傾向にある。FRBは15日、FF金利の誘導目標水準を0.00-0.25%へと1.00%引き下げる緊急利下げを行った。同時に、量的緩和政策も復活させた。今後数ヶ月で米国債を少なくとも5,000億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を2,000億ドル買い入れることを決定した。また、日銀、ECB、BOE、カナダ中銀、スイス中銀と、ドル供給(米ドルスワップ)の拡充を決定した。FRBは緊急利下げについて、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした景気の下振れ圧力の増大への対応とした。 また、パウエルFRB議長は記者会見で、金融市場での資金の逼迫を警戒してのものでもあったと説明している。これを受けて日米の株価先物は一旦大幅に上昇したものの、その後は急落した。 異例ともいえる日曜夜(米国時間)での緊急利下げと主要中銀の協調は一旦は好意的に受け止められたものの、今回の措置で景気が浮揚するとの見方にも繋がらず、(財政政策などを含めて総合的に見れば)対策は不十分との見方が勝った。 また、金利がゼロにまで引き下げられたことで、FRBの執りうる手段は出尽くしてきた(今後はマイナス金利や量的緩和の拡大程度しかない)との警戒感を高めることにも繋がったと考えられる。

 

戦略石油備蓄の積み増し増加でも30ドル維持には不十分

米ゴールドマン・サックス(GS)は、現在の市場の供給超過量を勘案すると、米政府が緊急時に備えて積み立てている戦略石油備蓄(SPR)の積み増しに向け購入量を増大させても、第2・四半期および第3・四半期の原油価格30ドル割れを防ぐには不十分、との見方を示した。トランプ米大統領は13日、原油価格の急落を受け、政府が原油を大量に買い入れてSPRを積み増すと表明した。米がSPR拡大の方針を打ち出すのは、2001年9月の米同時多発攻撃後に当時のブッシュ(子)大統領が実施して以来のこととなる。しかし、GSは15日付のレポートで、SPR向け購入量は最大でも日量50万バレル程度であり、国際原油市場の供給超過量である日量600万バレルには及ばない、と指摘した。

 

米国市場では2月小売売上高を公表

1月実績は前月比+0.3%だった。1月は暖冬の影響で建築・園芸資材の需要が増加した。飲食サービスの売上も堅調だったが、衣料品店の売上は反動減となった。2月については、衣料品の売上高が反動増となる可能性が高いことや、生活必需品の売上増加も予想されることから、全体的には1月実績に近い数字となる可能性がある。

 

欧米イベント

○18:30   2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○18:30   1-3月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○19:00   3月独ZEW景況感指数(予想:▲26.4)
○19:00   3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:30   1月対カナダ証券投資
○21:30   1月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.5%)
○21:30   2月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:00   2月ロシア鉱工業生産(予想:前年比1.0%)
○22:15   2月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
       設備稼働率(予想:77.1%)
○23:00   1月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○23:00   3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:73)
○フロリダなど4州で米大統領選民主党予備選

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