FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日銀の経済・物価情勢の展望(展望リポート)から消えたもの

本日、日銀は現区おの大規模な金融緩和の維持を決定した。同時に発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、これまで『2019年度頃』としていた2%の物価安定目標の達成時期を削除した。19年度までに達成するのが難しいと判断したのなら、日銀は金融緩和を長期的に続けると受け止めることが出来る。しかし、金融政策の正常化への布石ではないかとの判断も出来る。目標の達成時期をあいまいにすれば、2%という数字に縛られることもなく政策を変更出来るとも考えられる。

 

日経平均株価:ファナックが株価指数の重石に

前日の米国株が238ドル上昇した流れを引き継いで170円近く上昇して始まった。しかし、今期の大幅減益見通しと発表したファナックが大幅安となり、株価指数を押し下げた。後場からは徐々に下値を切り上げる展開となった。結局、前日比148円高の2万2467円と続伸して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定の売りでドル/円の上値重い

ドル/円は、米長期金利が低下したことや日経先物が朝高の後伸び悩んだことで、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り109.15円前後まで下げた。午後からも、日経平均株価をにらみながら109.20円台を中心とした狭いレンジでもみ合った。ただ、15時30分に予定されている黒だ日銀総裁の記者会見を見極めたいとのムードもあり、積極的な売り買い目立たなかった。ユーロ/ドルは1.2110ドル前後で方向かに欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

原油価格は高値圏で推移:ゴールドマンサックスの報告書

ゴールドマンサックスが19日に公表した報告書で『2016年の原油需要が前年を2%上回り、米国の保護主義が需要見通しを狂わせる可能性は低い』とし高値圏で推移する。しかし、米リグ(石油掘削装置)稼動数が1年で2割増加し、米生産量が1割以上増えるなど、原油高は米シェール企業の増産が重石となる。在NY金融筋は『米シェール企業の採算は40ドル以下、60ドル台の原油高で収益は急増し、今後もリグ稼動数を増やし増産大勢を続け原油高は72ドル近辺で抑制されよう』と指摘する。

イランはヒズボラやシリア、イエメンのシーア派に資金と武器を送り続けるし、シラの西半分をよこせとロシアが分割を迫り、サウジと米国はそうしたシリアやロシアと敵対ムードが続き中東地政学リスクがくすぶり続ける。

 

米国長期金利上昇の影響が顕在化しつつある

米議会予算局(CBO)は、2019年から2027年の財政赤字を対GDP比で5%弱と予想する。完全雇用の1960年代後半から70年台前半の失敗を想起させる。もっとも、すでに金利上昇の米実体経済への影響が顕在化し、インフレ抑制的に作用しつつある。米国の家計債務残高の増加に伴いクレジットカード破産が増え、米国破産協会(ABI)によれば3月の連邦破産法11条に基づく破産件数は+64%と急増している。超低金利の長期化の副産物として3月末の米企業債務残高が6.2兆ドルとリーマンショックが起きた2008年12月末の2.5兆ドルから2倍以上に膨れ上がった。超低金利の『仇花』レバレッジ企業債務増加や家計債務の膨張は、利息負担増となって消費や設備投資を抑制しインフレ高揚リスクを相殺させる効果をはらむ。

 

米国市場では1-3月期国内総生産速報値(GDP)が公表

市場の予想では前期比年率+2.0%となっており、昨年10-12月期は+2.9%だったことから鈍化傾向とみている。また、1-3月期個人消費の予想は前期比+1.1%となっており、10-12月期は+4.0%だったことで同様に鈍化している。

ゴールドマンサックスは1-3月期GDP見通しを従来の+1.9%から+2.2%へ引き上げている。また、バークレイズ銀行も+1.5%から+1.8%へ引き上げている。商務省のモデルと類似したモデルを使用しているアトランタ連銀の見通しは+2.0%だった。1-3月期の成長が鈍化したとしても、トランプ政権による1.5兆ドル規模の減税や政府の歳出増で、成長が今後加速するとみられ、ドルの底堅い展開が予想される。

もともと米国では、1-3月期は寒波の影響などから、景気減速しやすい。その反動が4-6月期に出やすいことから、もし鈍化傾向となっても過度な懸念は不要となる。

 

欧米イベント

○14:30   1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.4%)
○14:45   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○15:00   4月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○15:00   3月独輸入物価指数(予想:前月比0.1%/前年比横ばい)
○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○15:45   3月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   3月仏消費支出(予想:前月比0.5%)
○15:45   4月仏CPI速報値(予想:前月比0.1%)
○15:45   ラウテンシュレーガーECB専務理事、講演
○16:55   4月独雇用統計(予想:失業率5.3%/失業者数変化▲1万5000人)
○17:30   1-3月期英国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.3%/前年比1.4%)
○18:00   4月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲0.1)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.25%で据え置き)
○21:30   1-3月期米GDP速報値(予想:前期比年率2.0%)
○21:30   1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.7%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:98.0)
○23:00   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、講演
○23:15   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○南北首脳会談(板門店)
○米独首脳会談(ワシントン)
○南アフリカ(自由の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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