FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:金融政策決定皆具尾に失望感広がり売り優勢

米FRBが緊急利下げを実施したほか、日銀が午後から企業金融の円滑化と市場の安定確保に向けた緊急会合を行うことになり、これらの材料に対して消火難とも言える状況になった。日経平均は上下に大きく振れながらも、前場中盤から前週末比変わらず近辺で一進一退の展開となった。日銀は本日前倒しで開催した金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ額を当面12兆円と倍増を決めた。これを受けて一時300円を超えたが、基本的な買い入れペースは従来通り6兆円ともしたため、徐々に取り組み姿勢に対する失望感が広がり、大引けにかけて売りがかさんだ。結局、前営業日比429円安の1万7002円と4日続落となり終了した。

 

東京外国為替市場:為替市場も乱高下

ドル/円は、FRBが緊急の大幅追加利下げを決定し、事実上のゼロ金利政策を復活させたことを背景にドル売り・円買いが先行し、一時105.69円近辺まで下落した。しかし、複数のメディアが『日銀が正午から前倒しで金融政策決定会合を開催する』と報じると、追加緩和に対する思惑からショートカバーが入り、106円台後半へ切り返した。東京市場に入ると、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ107.57円近辺まで上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大で、世界景気の減速懸念が高まっているため、有事のドル買いも観測された。ただ、このところ乱高下している米国株価動向を見極めたいとの雰囲気から上げ幅は一服、107円台前半は緩んだ。正午から始まった日銀金融政策決定会合の結果、予想通り追加の金融緩和を決定した。市場の想定した範囲の内容を受け取られたが、ドル/円は日経平均株価の下げ幅拡大を眺めて持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、106.40円付近へ軟化した。ユーロ/ドルは、夕方から参入するしてくる欧州勢待ちの様相となっており、1.11ドル台前半で方向感に欠ける動きとなった。

 

中国の1-2月経済指標は大幅減少:新型コロナウイルスの影響鮮明

中国国家統計局が発表した1-2月の鉱工業生産は前年同期比13.5%減少し、30年ぶりの大幅なマイナスを記録した。新型コロナウイルスの影響が鮮明に表れた。昨年の12月は6.9%の増加となっていた。1-2月の固定資産投資は前年比24.5%減少となり、予想の2.8%増加を下回った。固定資産投資が減少したのは統計開始以来初めてとなる。1-2月の小売売上高は20.5%減少し、予想の0.8%増を下回った。昨年12月は8%増だった。新型ウイルス感染を懸念した消費者が商業施設や飲食店、映画館など混雑した場所を敬遠した。国家統計局は声明を発表し、新型ウイルス感染拡大の影響は制御可能であり、短期的なものにとどまるとした上で、新型コロナウイルスの影響を相殺し、経済・社会の正常な秩序を回復するためマクロ政策措置を強化すると明言した。

 

日本の成長率見通しを下方修正:ゴールドマン・サックス証券

ゴールドマン・サックス証券は16日付レポートで実質GDP(国内総生産)成長率予測を下方修正した。2020年1~3月期は従来の前期比年率マイナス2.2%から同マイナス4.5%、4~6月期は従来の同プラス0.8%から同マイナス1.1%に引き下げた。

 

GPIFに日本株に5兆円の買い必要

SMBC日興証券は13日付のレポートで『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株比率が急低下』と指摘した。株価の急落を受けてGPIFの日本株比率が21.3%まで急低下する一方、外債は価格上昇を受けて許容かい離幅が拡大している。その結果、『日本株は5兆円超の買いが必要となる。日銀による年間のETF買入目標額に近く、非常に大規模なものであると考えられる』と指摘している。

 

日米金融政策:一旦の材料出尽くし

米連邦準備理事会(FRB)は日本時間午前6時に臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.00-0.25%の範囲に引き下げることを決めたと発表した。さらに、量的緩和再開として財務省証券保有を最低5000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)2000億ドルの購入を発表した。米FRBは、ECB、BOE、BOC、SNB、そしてBOJと、6大中銀とのドルスワップレートの0.25%引き下げを締結した。

一方、日銀金融政策決定会合では、CPの残高を2.2兆から3.2兆、社債の残高を3.2兆円から4.2兆円にそれぞれ引き上げた。また、ETFの保有残高を年間6兆円から12兆円、J-REITを年間900億円から1800億円に引き上げた。

 

 

米国株式市場はバフェットの買い待ち状態

新型コロナ感染症という『ブラックスワン』(予想ができず、起きた時の衝撃が大きい事象)に直撃され、そこにサウジとロシアの米シェール潰しの協調減産崩壊『オイルショック』が圧し掛かり、さらに大統領の欧州封鎖政策『トランプショック』の種々『外因性ショック』が折り重なり、米国株は高値から20%超下落の『弱気相場』に入った。しかも、FRBの追加利下げが感染拡大を止める訳でも、寸断されたサプライチェーンを復旧できる訳ではない。国際金融協会によれば、世界が抱える累積債務が19年7-9月期に世界GDPの3.2倍という過去最高を記録、コロナ感染拡大が続き実体経済の悪化から企業倒産が増えればリーマンショック級の金融システム崩壊が懸念される。さらに、リーマンショックと異なり、今回は疫病パンデミックでありワクチン開発や感染拡大『収束』まで待つしかない。何より、米国株はNYSEとナスダックの時価総額を米名目GDPで割った『バフェット指数』が150%で歴史的なダブルトップの様相を呈す。米GDPあるいは企業利益が増えていない中で株価だけ上がり続けるのは不健全であり、バフェット指数は100%を超えると過熱とされる。当のバフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイの2019年度末時点の手元資金は1280億ドル(約14.2兆円)であり、この膨大なキャッシュを今回の急落相場に投下し始めるバフェット買い出動が、コロナショック底入れの合図となりそうだ。

 

バクダッド近郊米軍駐留基地への攻撃を再び観測:中東リスクがじわりと高まる

イラク軍によると、米軍主導の有志連合部隊が駐留する首都バグダッド近郊のタジ基地に、ロケット弾30発以上が撃ち込まれた。有志連合報道官は、同連合メンバー3人とイラク軍関係者2人の計5人が負傷したと指摘していた。同基地は11日にもロケット弾攻撃を受け、米国人2人と英国人1人が死亡、約12人が負傷している。

 

欧米イベント

○15:30   2月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比2.65%)
○16:30   2月スイス生産者輸入価格
○17:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数(予想:▲10)
○21:30   3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:5.0)
○17日05:00   1月対米証券投資動向
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
○G7首脳、緊急ビデオ会談(23時~)
○メキシコ(ベニート・フアレス生誕日)、休場

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